犬の腎臓機能が低下し、体内環境を正常にキープできない症状を「腎不全」と呼びます。末期症状の腎不全になると、尿毒症が生じるなど、余命に関わる問題となります。
犬の腎不全では、「急性/慢性」「BUN・クレアチニンの数値、尿検査などに基づくステージ分け」といった病態に応じ、治療が施されます。そして、投薬などの治療とともに「食事療法」が腎不全・対策のカギとなります。
このページでは、腎不全の症状に応じた「治療方法」と「7ポイントの食事療法」をご案内します。ご愛犬の腎不全対策について、お力になれればと思っています。
<目次>
- 犬の腎不全、よく見られる症状
- 「BUN」「クレアチニン」などのチェック法
- 「急性腎不全」と「慢性腎不全」の見分け方
- 犬の慢性腎不全、4つの進行ステージ
- 腎不全の治療方法
- 犬の腎不全、食事療法7ポイント
- まとめ
犬の腎不全、よく見られる症状
通常、「犬の腎不全」は、腎臓機能の3/4以上が失われた病態のことを指します。腎不全対策のファーストステップとして、できるだけ早期の「腎障害」の段階で、病気のタネを見つけてあげることが大切です。
しかし、腎臓の血液検査項目である「BUN」「クレアチニン」といった数値は、おおよそ腎不全が発症する段階になって、はじめて正常値より高くなってくることが一般的です。そのため、犬が高齢になるに従い、腎不全特有の症状が見られないか、チェックする意識も必要です。下記、犬の腎不全・腎臓トラブルでよく見られる症状をご紹介します。
- 多飲多尿
- おしっこの色の変化、無臭化
- 食欲不振、痩せ
- 便秘気味
- 毛並みが悪い
- 口臭
- 嘔吐下痢
- 震えや痙攣
特に、何らかの「おしっこの変化」が見られた場合など、腎不全ならずとも何か問題を抱えていることも考えられるため、動物病院で受診することをお勧めします。
「BUN」「クレアチニン」などのチェック法
犬の腎不全では、「BUN」「クレアチニン」をはじめとする血液検査や、「尿比重」「尿pH」「尿タンパク」「尿糖」といった尿検査などのチェックにより、病状・ステージを判断し、治療方針を検討します。
一方で、飼い主さんにとっては、「BUN」や「クレアチニン」などが何を意味しているのか、どう判断すれば良いのか、わかりにくいのではないでしょうか?
そこで、犬の腎不全で特に重視される「BUN」「クレアチニン」について、検査の意図とチェック方法をご案内します。
BUN
血液検査の「BUN」は、血液中の尿素窒素の数値です。腎不全の進行に伴い、BUNが高い数値となってあらわれる傾向にあります。
通常、尿素窒素(BUN)は、適切に尿として排出されるよう、体内でコントロールされています。しかし、犬が腎不全になると血液中に尿素窒素(BUN)が漏れ出るようになり、数値が高くなってしまいます。
※腎臓トラブル以外で「BUN」が高くなる要因
ただし、BUNの上昇は、腎臓以外の要因によっても起こります。例えば「食後すぐの検査」「高タンパク質の食事」「消化器内の出血」「飢餓・カロリー不足」「発熱」「コルチコステロイドなどの投薬」「筋肉損傷」などでも、BUNの数値が高くなります。
それでも、BUNの上昇は、腎臓トラブルに由来することが多く、犬の腎不全を見つける第一段階の手段として、役立つことに違いはありません。
※腎臓以外のところに原因がある「腎不全」の検出
犬の腎不全には、腎臓以外の部位トラブルにより発症する(腎臓そのものの障害が原因ではない)ケースもあります。
BUNは、そのような「腎外性腎不全」の症状に対して、腎臓に原因がある「腎性腎不全」よりも数値が高くなる傾向にあります。対して、次にご紹介する「クレアチニン」の数値では、腎外性・腎性の違いが見られません。
これらBUNとクレアチニンの感度の違いは、両方の数値を合わせてチェックすることにより、腎臓病の原因を調べることに役立ちます。
クレアチニン(Cre)
クレアチニン(Cre)の数値は、BUN以上に腎臓トラブルへの特異性が高く、犬の腎不全検査に重宝されています。
クレアチニンは筋肉由来の窒素化合物で、健康な犬では尿として排出されます。しかし、犬が腎臓障害に見舞われると、クレアチニンが血液中に漏れてしまい、高い数値となってあらわれます。一般的に、クレアチニン値が上昇していれば、腎機能の50%以上に障害があると解釈されます。
※クレアチニン数値の問題点
一方で、腎不全の検出において、クレアチニンにも問題点があります。クレアチニンは、腎トラブルに対する感度が高いわけではなく、数値が正常値であっても、腎不全が発症している可能性もあるのです。
また、「若い犬では、クレアチニン値が低く出る傾向にある」「筋肉量が多い犬は、クレアチニン値が高くなりやすい」という点も考慮しなければなりません。
それでも、早期の腎障害の検出には、クレアチニンが最も優れていると考えられています。
「BUN」&「クレアチニン」同時チェックの大切さ
BUNとクレアチニンは、それぞれを単独でチェックするだけではなく、両方を同時に評価することで、より正確な腎不全診断を行うことができます。
下記、「BUN&クレアチニンを同時に評価する方法」をまとめます。
BUN/クレアチニン比率について
先にお伝えしたように、BUNとクレアチニンには、犬の腎不全チェックにおいて、下記のような特性の違いがあります。
- BUNは、「腎性腎不全(腎臓に原因)」よりも「腎外性腎不全(腎臓以外に原因)」で数値が高くなる傾向がある
- クレアチニンは、「腎性腎不全」「腎外性腎不全」両者の差がない
- クレアチニンの方が、腎臓病特異的な数値上昇がある(BUNは、高タンパク食など、腎臓病以外の要因でも高くなる可能性がある)
BUNとクレアチニンの違いを活かし、両数値データを同時に評価することが大切です。例えば、下記のようなケースにより、腎不全の治療内容が異なってきます。
①BUNが高くクレアチニン正常、もしくは、BUN/クレアチンが高いケース
「BUNのみが高値の場合」もしくは「BUN/クレアチニンの比率数値が20以上のケース」では、「腎臓以外のトラブルを原因とする腎不全」を疑うとともに、「高タンパク食など腎臓病以外の要因」であることも考えられます。
そのため、まずは犬に「脱水症状」「血液量低下」「低血圧」などが無いかをチェックし、該当症状が見られれば、それらに対する治療処置をとることが望まれます。
合わせて、高タンパク食などの「腎臓病以外の要因」をチェックするようにします。
※多い症例ではありませんが、癌などにより筋力低下が見られ、クレアチニンが腎不全の進行度合よりも低い数値となることもあります。犬に痩せ・筋力低下があれば、このことを考慮しなければなりません。
②BUNは正常でクレアチニンが高い、もしくは、BUN/クレアチニンが低いケース
「クレアチニンのみが高い」「BUN/クレアチニンが20以上」といった場合、腎不全の可能性が高いです。
一方、これらのケースでは、「なぜBUNが高くならないのか」を探らなければなりません。BUNのみが高くならない原因として、例えば「肝臓トラブル」「多飲多尿」「低たんぱく食」などが挙げられます。これらBUNのみが高くならない要因を見極め、腎不全の治療と合わせて対策をとることが重要です。
※まれに、「筋肉の炎症」「薬物」「悪質な食事」などにより、クレアチニンが不当に高くなるケースもあります。こういった誤診が起こらないよう、留意することもポイントです。
「急性腎不全」と「慢性腎不全」の見分け方
犬の腎不全は、「急性」と「慢性」で対策が異なります。そのため、急性腎不全・慢性腎不全を正しく見極めることも大切です。
急性腎不全の症状
犬の腎不全が急に発生・進行する病態です。
- 今までに腎不全になった病歴がない
- 数日内で急な進行が見られる
- 元気がない、脱水、低体温などの急性症状がある
といった腎不全症状があれば、「急性」の可能性があります。
慢性腎不全の症状
犬の慢性腎不全は、数ヶ月以上をかけて少しずつ進行していくことが特徴です。急性腎不全では完治も見込めますが、慢性腎不全は、壊れた腎機能の回復は見込めません。進行性の腎不全であることを考慮し、残された腎機能に負担をかけず、ダメージを緩和させる治療を実施することになります。
下記、犬の慢性腎不全の特徴です。
- 今まで、腎臓病になった病歴がある
- 多尿、体重減少、被毛の艶がなくなる、寝てばかりいる、食欲低下などが継続して見られる
- 腎不全の病態が続いている
犬の慢性腎不全、4つの進行ステージ
犬の慢性腎不全において、進行段階に応じた4つのステージが定義されています。下記4つのステージ分類を目安に、治療方針を定める視点も必要となります。
ステージ1(ステージⅠ)
最初のステージⅠの段階は、腎不全よりも前の「慢性腎障害」と言えるような時期です。例えば、犬のクレアチニン数値は1.4㎎/dl未満であることが目安です。
この時期は、「BUN・クレアチニンの上昇」や「体液・イオンバランスの異常」など、犬に腎不全の徴候は見られませんが、生検でチェック可能な腎病変は存在しています。より厳密な検査では、腎臓に起因する「尿比重の異常」「蛋白尿」などが見られるとともに、クレアチニンが少しずつ上昇していきます。
ステージ2(ステージⅡ)
目安として、犬のクレアチニン数値が1.4~2.0㎎/dlとなるステージです。ステージ2では、「多尿」が特徴的な症状としてあらわれやすく、尿濃縮能の低下に伴う「尿比重の異常」が進んできます。
犬がステージ2以上の段階になると、脱水・外傷・手術などにより、腎不全症状が進行しやすくなるため、注意が必要です。
ステージ3(ステージⅢ)
腎不全の徴候がより明確になり、BUN・クレアチニン数値が高くなる(クレアチニン2.1~5.0㎎/dlが目安)とともに、犬に「多尿」「イオンバランスの異常(高リン・低カルシウム)」「貧血」「体重減少」が見られるようになります。
ステージ3では、犬の腎組織の75以上がダメージを受けているとされています。
ステージ4(ステージⅣ)
ステージ4は、犬に「尿毒症」もしくは「末期腎不全」の症状が見られる段階です。積極的な治療なしには寿命を保つことができず、余命告知を受けることもしばしばです。
全身の「尿毒症」症状とともに、クレアチニン数値が5.0㎎/dl以上となるなど、重度な「高窒素血症」が現れます。
(※犬の尿毒症について、詳しくは「犬の尿毒症、治療と食事」をご覧ください。)
腎不全の治療
今までご案内してきたように、犬の腎不全はとても複雑な病気であり、病態に合わせた治療を進めることが大切です。下記、「急性腎不全」と「慢性腎不全」に分けて、治療方法をご案内します。
急性腎不全の治療方法
犬の急性腎不全では、病状により、下記のようなステップで治療が検討されています。
①尿の産生チェック
犬の急性腎不全では、尿の量が少ないor尿の生産がない、といった症状もあります。特に、「尿の生産が全くない」という疑いがあれば、「尿路閉塞」「膀胱破裂」の可能性もあり、尿道カテーテルなどで検査が行われることもあります。
②輸液
急性腎不全による「尿の欠乏量」をチェックし、対応した輸液を補給する、という治療も施されます。
③利尿薬
輸液療法で尿量が確保できなければ、フロセミド・マンニトールといった利尿薬が検討されます。この際、投薬方法・種類・薬の量などが不適切であれば、犬に負担が生じるケースもあるため、慎重に経過を見なければなりません。
④ドパミン
フロセミドなどの利尿薬が効かない犬の場合、「ドパミン」という治療薬が検討されます。ドパミンは、ナトリウムの排泄促進・血管拡張などの作用があり、排尿効果が期待できます。
⑤透析
以上の治療でもNGの場合、「透析治療」が検討されます。ただし、犬の急性腎不全の状態が、可逆性(回復しうる)の場合のみで有効です。
⑥嘔吐コントロール
重度の急性腎不全では、「嘔吐」が顕著なトラブルです。そのため、犬の嘔吐がひどい場合は、嘔吐対策の薬を使用するケースもあります。
⑦栄養補給
犬の急性腎不全は、病期が長くないため、栄養補給はそれほど重視されません。ただし、食欲不振・嘔吐が続いていた場合、予後を含めて腸をサポートすることが大切です。
例えば、腸管から栄養を補給する「経腸栄養補給」が進められることもあります。
⑧予後チェック
犬の急性腎不全では、予後も慎重にチェックするようにします。具体的には、「排尿は適切か」「血液中のリン濃度に異常はないか」「症状に改善は見られるか」といった点を見てあげるようにしましょう。
慢性腎不全の治療方法
犬の慢性腎臓病では、「治療」と「食事療法」が両輪となり、対策を進めます。そのうち、まずは治療方法をご案内します。
①ストレス緩和
犬の慢性腎不全では、ストレスが進行を招くことになります。特にステージ2以上の腎不全では、ケガなどにも注意し、不要な手術をできるだけ行わないことが望まれます。
②脱水対策
脱水症状は、犬の腎不全を進行させる要因となります。
脱水の対策は、「水分補給」だけではありません。「体内イオンバランスの補正(適切なミネラル補給)」「尿路感染の治療」「尿路閉塞の治療」「尿毒症の緩和」「全体的な栄養管理」「貧血への対策」など、全てが脱水症状の改善につながります。
輸液の投与や水素水の補給なども含めて、犬の慢性腎不全において、治療のカギとなる要素です。
③嘔吐・吐き気への対処
慢性腎不全の進行に伴い、犬は吐き気や嘔吐に悩まされることもあります。そのため、嘔吐・吐き気への対策となる治療薬などが検討されます。
④カリウムの補正
慢性腎不全の犬では、「低カリウム血症」の症状がしばしば現れます。そのような場合、カリウム量を調整した食事やクエン酸カリウムの投与が行われます。
⑤高リンへの対処
犬の腎不全ではリンの代謝が不全となり、「高リン酸血症」の症状に見舞われます。そのため、腎不全の初期ステージから、リンを制限した食事療法が推奨されています。
さらに、リンを結合し排出する性質のある薬を投与するケースもあります。
高リン酸血症の症状は、ホルモンバランスに異常をきたし、犬の体内での活性化ビタミンD不足を招くなど、深刻な影響を及ぼします。そのため、犬の腎不全にといて、高リン対策も非常に大切なポイントです。
⑥高血圧対策
慢性腎不全の犬の50%以上において、「高血圧」が見られると報告されています。実際に、「体内ナトリウムの貯留」「腎臓の交感神経系の活性化」「ホルモン異常」「血流の悪化」など、慢性腎不全でみられる病状は、高血圧の原因となります。
そのため、エナラプリル・アムロジピンなどの高血圧対策の治療薬が検討されます。
(※腎不全と併発しやすい、高血圧などの心臓トラブルについて、詳しくは「犬の心臓病 症状・治療・5ポイントの食事療法」をご参照ください。)
⑦貧血への対応
犬の慢性腎不全では、貧血症状も散見されます。そこで、エリスロポエチンなどの貧血用治療薬が使われるケースもあります。
※投薬への注意点
他の病気を併発している場合など、犬にとって腎毒性を有する薬があるため、注意が必要です。
腎毒性を持つ薬として、「アミノグリコシド系抗生物質」「トリメトプリムサルファ」などが挙げられます。
※予後管理について
犬の慢性腎不全は、進行性の病気であるため、治療後も継続的なチェックが必要となります。基本的には、食事療法を続けながら、脱水・高リン・高血圧・貧血などの対策をとっていくことになります。
そして、BUNやクレアチニンなどの検査を定期的に行うことも必須です。
犬の腎不全、食事療法7ポイント
犬の腎不全では、食事療法に明らかな延命効果が得られるという報告がなされています。下記でご紹介する「7ポイントの食事療法」は、犬の腎不全において必須の対策と言えるでしょう。
1)低タンパク質
尿毒症や高窒素血症(高BUN・高クレアチニン)があらわれる、犬の腎不全では、「タンパク質の制限」が有用です。
そして、腎臓対策に合った「アミノ酸バランス」を実現したタンパク質を補給することが望まれます。
腎不全の食事療法において、ドライフードでタンパク質量20%以下に調整することが推奨されています。
2)低リン
「高リン酸血症」を生じる、犬の腎不全において、「リンの制限」も食事療法の重要ポイントです。
リンとタンパク質の両方を適切に制限することで、慢性腎不全の犬は、生存期間が3倍に延びるという報告もあります。
リンの量をドライフードで0.2~0.5%に調整することが推奨されています。
3)低ナトリウム/クロール
腎不全の犬では、体内ナトリウムおよびクロールが貯留した状態になりがちです。そのため、ナトリウム&クロールを制限した食事が望まれます。
ドライフード換算で、ナトリウム0.3%以下、クロールがナトリウムの1.5倍という食事内容が、腎不全の犬では推奨されています。
4)カリウムの調整
腎不全の犬は、血液中のカリウム・バランスも崩しやすい状態にあります。そのため、ドライフードでカリウム0.4-0.8%が目安となります。
5)オメガ3脂肪酸の増量
魚油などに含まれるEPA・DHAなどの「オメガ3脂肪酸」は、犬の腎不全対策に有用な成分です。実際に、魚油とキャノーラ油をそれぞれ与えて比較した実験により、魚油を与えた方が腎不全で延命効果が認められた、という結果が報告されています。
腎不全の犬では、「オメガ3脂肪酸」を0.4%以上、「オメガ3脂肪酸:オメガ6脂肪酸の比率」を1:1~7:1に調整した食事療法が望ましいです。
6)抗酸化物質の添加
犬の腎不全では、ビタミンC・ビタミンEやある種のポリフェノールなどを添加することが有用です。理由として、腎不全では、酸化によるダメージが見られることが一般的であり、それをビタミンC・Eなどの抗酸化物質が緩和してくれるためです。
ビタミンC・ビタミンEには、相乗的な抗酸化力も知られており、ポリフェノール類を含めた抗酸化物質をしっかり補給することが望まれます。
7)水分の補給
腎不全の犬では、尿の濃度が薄まってしまうトラブルが見られます。そして、必要以上に尿を排出してしまいます。
そのため、適切な量の水をいつでも補給できるように、水分摂取の工夫をとることも重要です。
※その他、重要な栄養
腎不全の犬において、上記7ポイント以外にも重要度が高い栄養成分について、ご案内します。
- ビタミンD:カルシトリオールは、別名「活性化ビタミンD」と呼ばれ、腎臓機能に重要なホルモン成分です。通常、カルシトリオールは、腎臓内でビタミンDから合成されますが、腎不全の犬では合成がうまく進まないことが知られています。カルシトリオール(活性化ビタミンD)の不足は、カルシウム欠乏と血液中のリン濃度の上昇をまねき、腎不全の進行にもつながります。そのため、医薬品としてカルシトリオールが腎不全の犬に投与されることもあります。
- ビタミンB群:腎不全の犬では、ビタミンB群の必要量がアップすると報告されています。腎臓病対応の食事療法食では、ビタミンB群が強化されていることが一般的であり、そのような食事・ドッグフードを与えることが望まれます。また、手作り食や市販ドッグフードにおいても、ビタミンB群をしっかりとれるような配慮が求められます。
- 食物繊維:可溶性の食物繊維は、過剰なアンモニアやリン・ナトリウムなどの塩分を絡めとり、排出してくれることが期待できます。そのため、腎不全の犬で問題となる「タンパク質過剰」「リン・ナトリウム過剰」のトラブル対策としても、食物繊維の補給はプラスに作用します。
まとめ
犬の腎不全対策の両輪となる「治療」「食事療法」のことを中心に、ご案内しました。特に、食事療法については、できるだけ早期の段階で取りくむことが長寿につながることが報告されています。腎不全のワンちゃん達の健康に、少しでもお力になれれば幸いです。
ご不明な点など、仰っていただければ幸いです。
- 犬の腎不全をできるだけ早期に見つけてあげれるよう、症状をチェックすることが大切。
- 犬の腎不全を見極める検査項目として、BUN・クレアチニン・尿比重などがある。特に、BUN・クレアチニンが重要な指標となる。
- 急性腎不全・慢性腎不全、どちらの症状なのかを判断し、適切な対策をとるようにする。
- 犬の慢性腎不全では、進行段階に応じた4つのステージが定義されている。
- 犬の腎不全では、治療・食事療法が対策の両輪となる。病態に応じた治療が望まれる。
- 犬の腎不全の食事療法として、「低タンパク質」「低リン」「低ナトリウム」「カリウム調整」「オメガ3脂肪酸の増量」「抗酸化物質の補給」「水分補給」という7つのポイントが挙げられる。
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