ドッグフード・ラボ https://dogfood-labo.com 愛犬の食事を本気で考えたい人のためのサイト。市販ドッグフードや、療法食まで専門家が紹介します Fri, 30 Mar 2018 03:20:42 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.2.4 犬の胆泥症 治療と食事療法 https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/tandeishou/ https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/tandeishou/#comments Fri, 30 Mar 2018 03:20:42 +0000 http://dogfood-labo.com/?p=1794 胆泥症は、胆嚢という器官に泥状のものが溜まる、犬に多い病気です。遺伝性や高脂血症などが原因となり、無症状であることが多い病気ですが、重症化すると肝臓トラブルや黄疸症状が見られることもあります。

犬の胆泥症の治療方法は、「ウルソなどのお薬」「胆嚢の摘出手術」や「低脂肪を中心とした食事療法」などが挙げられます。

このページでは、犬の胆泥症の原因・症状とともに、治療方法や食事療法(ドッグフードによる対策)などをご案内いたします。

<目次>

犬の胆泥症の症状

胆嚢は、肝臓で作られた「胆汁」という主に脂肪の消化に関わる液体をストックしておく、という役割を果たしています。この「胆汁」が何らかの原因で泥状になり、胆嚢にたまってしまった病状が「胆泥症」と呼ばれています。

胆泥症は、犬に多い病気であり、胆石・胆嚢粘液脳腫・胆嚢炎といったその他の胆嚢疾患とも関係があります。また、犬の胆泥症は、高脂血症・内分泌疾患(クッシング症候群や甲状腺機能低下症など)・膵炎・肝臓病などとも併発することが多い病気です。

胆泥症の症状について

犬の胆泥症は、症状がはっきりしない(無症状な)ことが多いです。検査により胆嚢に泥が溜まっていることが発覚し、顕在化するケースが少なくありません。

ただ、胆泥症に伴い、胆嚢から出ている「胆管」という管が詰まっているときなど、嘔吐や食欲不振、腹痛などが見られるとともに黄疸症状があらわれることもあります。

胆泥症の原因

犬の胆泥症の原因は、はっきりとしたことがわかっていません。ただ、傾向として「犬種など遺伝的要因」「高脂血症(血中コレステロール・中性脂肪が多い状態)や脂質代謝異常」「内分泌疾患(クッシング症候群や甲状腺機能低下症)」「膵炎など炎症」あたりが関与しています。

特に、シェットランドシープドッグが胆泥症および胆嚢粘液脳腫の好発犬種として知られています。

なお、研究により「メチオニン(アミノ酸の一種)を含まない高コレステロール食の継続摂取」「長期の絶食」「激しい溶血」なども、犬の胆泥症の原因となることが報告されています。

胆泥症と併発しやすい病気について

犬の胆泥症では、他の病気も合わせて見られるケースが多いです。併発疾患は、胆泥症の原因と関係していることもあります。以下、よく見られる合併症について、ご案内します。

高脂血症、脂質代謝異常症

犬の胆泥症は、高脂血症・脂質代謝異常症が関わるケースが多いと報告されています。特に、LDLコレステロールや中性脂肪の数値が高くなる傾向にあり、胆泥症の原因メカニズムなどでも研究が進められています。

(※犬の高脂血症について、より詳しくは「犬の高脂血症 治療と食事」をご覧ください。)

クッシング症候群、甲状腺機能低下症

胆泥症の犬は、クッシング症候群・甲状腺機能低下症などの内分泌疾患を伴うことが多いです。(糖尿病を併発するケースもあります。)

内分泌疾患と胆泥症が併発する原因について、はっきりとしたメカニズムは解明されていませんが、例えば胆汁酸の合成酵素に甲状腺ホルモンが影響を与えることなどが報告されています。

(※クッシング症候群・甲状腺機能低下症について、それぞれ「犬のクッシング症候群 治療と食事」「犬の甲状腺機能低下症 治療と食事」をご参照ください。)

胆石

胆石とは、高コレステロールなどにより胆汁の成分が変化し、石灰化してものです。通常、胆泥から更に石灰化が進み胆石になります。犬では胆泥症が多く胆石が見られることは稀です。

胆嚢粘液脳腫

胆嚢粘液脳腫とは、胆嚢内にムチンと呼ばれる多糖類が蓄積し、ゼリー状のものが異常に溜まった症状です。胆嚢肥大・破裂にもつながるため、胆嚢の摘出手術が行われることもしばしばです。そして、胆嚢粘液脳腫には、胆泥が認められることも一般的です。

犬の胆嚢粘液脳腫の原因は、ゼリー状物質ムチンの異常生成にあります。このムチン異常生成の原因メカニズムについて、細菌感染など幾つかの研究がなされており、遺伝子レベルでの解明が進んでいます。

胆嚢炎

犬の胆泥症は、胆嚢炎を伴うことも多いです。犬の胆嚢炎では、腹痛・嘔吐(吐き気)・発熱などの症状が見られることもあり、抗生物質の投薬など、胆泥症とは異なる治療がなされることもしばしばです。

膵炎

胆泥症に伴う胆嚢炎は、膵炎などの炎症性疾患を併発しているケースが多いです。犬の膵炎は、胆泥症・胆嚢炎と同じく「脂質代謝異常」が深く関係する病気であり、この点も併発しやすい原因です。

(※膵炎については「犬の膵炎 治療と食事」で詳しくご案内しています。)

肝臓病

肝臓と胆嚢の関係性から、胆泥症により肝臓にトラブルが生じることもしばしばです。また、犬の血液検査で肝臓数値に異常が見られ、調べてみると胆泥症だったというケースもよくあります。

(※犬の肝臓病について、「犬の肝臓病、数値・症状に応じた治療&食事対策」をご参照ください。)

胆泥症の治療方法

犬の胆泥症では、「治療薬」「胆嚢摘出手術」「食事療法」などの治療方法が検討されます。このうち「食事療法」については、後ほど詳しくお伝えするので、こちらでは「治療薬」「胆嚢摘出手術」をご案内します。

治療薬(ウルソなど)

犬の胆泥症では、「ウルソ(ウルソデオキシコール酸)」関連のお薬を使った治療が主に行われます。「ウルソ」は、胆汁の流れをよくしたり胆嚢から胆汁の排出を促す役割を果たす「利胆薬」の一種です。

胆嚢摘出手術

胆泥が溜まって胆嚢が肥大していたり、破裂しそうになっている場合、胆嚢の摘出手術が行われることがあります。この場合、手術によってワンちゃんの胆嚢が無くなってしまいますが、命に別状はないため、健常な生活を続けることが可能です。

※併発疾患がある場合

高脂血症・クッシング症候群・甲状腺機能低下症・膵炎・肝臓病など、犬が胆泥症以外の病気に併発している場合、ウルソの投薬等とともに各併発疾患への治療も進めることになります。

犬の胆泥症、食事療法

犬の胆泥症・対策では、「治療」「食事療法」が両輪となります。食事療法で重要となるポイントをお伝えします。

1)良質な低脂肪

犬の胆泥症では、高脂血症・脂質代謝異常症を併発するなど、脂肪の代謝にトラブルを抱えることが多く、この点に留意した食事対策が最重要です。

具体的には、「低脂肪」の食事・ドッグフードが望まれます。例えば、市販のドッグフード・食事療法食として、ドライフードで粗脂肪10%未満のものを選ぶことが望ましいです。手作り食の場合は、脂肪量が多いお肉・脂身は避けるようにしましょう。

脂肪の「酸化」について

胆泥症のワンちゃんでは、「低脂肪」だけではなく、脂肪の「質」にも十分な配慮が必要です。

まず、「酸化した脂肪」を避けなければなりません。脂肪は、空気に触れたり加熱により「酸化」という劣化現象をおこします。酸化した脂肪は、犬にとって毒とも言える成分であり、もちろん胆泥症にも良くありません。そのため、できるだけ酸化を防いだドッグフード・食事療法食を選ぶようにしましょう。

とはいっても、ドッグフードには「酸化防止剤」を含んだものも多いです。酸化防止剤は、脂肪の酸化を防ぐことに寄与しますがワンちゃんの健康には良くない原料です。そのため、酸化防止剤をできるだけ使わず、かつ、脂肪の酸化に配慮したドッグフード・食事療法食が望ましいところです。

望ましい脂肪成分

胆泥症の犬でも、脂肪を全く与えないわけにはいきません。だから、与える脂肪成分にできるだけ配慮してあげたいところです。

胆泥症の犬が取り入れるべき脂肪成分は「オメガ3脂肪酸」「中鎖脂肪酸」などが挙げられます。これらは、脂質代謝異常につながりにくいヘルシーな脂肪成分です。

まとめると、胆泥症の犬には「低脂肪」かつ「酸化防止への配慮」「オメガ3脂肪酸・中鎖脂肪酸などをメインにした脂肪成分」といった点を満たしたドッグフード・食事療法食が望まれます。

2)タンパク質&アミノ酸への留意

犬の胆泥症では、脂肪とともに「タンパク質」にも留意することが好ましいです。

特に、胆泥症では肝臓トラブルを併発するケースが多く、肝臓負担にならない範囲でタンパク質量を検討することがお勧めです。

具体的には、高タンパク質すぎるドッグフード・食事療法食は、肝臓負担になるリスクがあるため、胆泥症の犬には好ましくありません。肝臓数値に問題がなければ、ドライフードで25%前後の粗タンパク質量で大丈夫ですが、胆泥症+肝臓トラブルがある場合は、より少ない粗タンパク質量が望ましいです。(この点、確かな研究報告が見たらないため、あくまで私見になります。)

アミノ酸について

犬の体内で「分枝鎖アミノ酸」と呼ばれる成分が不足すると胆汁が濃縮されてしまい、胆泥症につながりうるという報告があります。そのため、分枝鎖アミノ酸「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」などを多めに与えることが、犬の胆泥症には良いかもしれません。

いずれにしても、タンパク質の素となっている「アミノ酸」のバランスを整えることは、犬の胆泥症対策にも重要です。アミノ酸バランスがとれたドッグフード・食事療法食を選ぶことも大切なポイントです。

3)高消化性

胆泥症は、脂肪の消化を助ける「胆汁」の異常とともに、栄養代謝にも悪影響を及ぼす病気です。そのため、栄養の消化・吸収・代謝に負担を与えにくい、「高消化性」の食事・ドッグフードを与えることが望まれます。

まとめ

以上、犬の胆泥症について、治療方法や食事療法などをご案内いたしました。この記事により、少しでも胆泥症のワンちゃん達のサポートができれば幸いです。ご不明な点など、いつでもお問い合わせくださいませ。

下記、本ページのまとめです。

  • 犬の胆泥症は、特徴的な症状が見られるないケースが多い。
  • 犬の胆泥症の原因として、「高脂血・脂質代謝異常」「内分泌疾患」「炎症」などが挙げられる。
  • 胆泥症の犬は、「高脂血症・脂質代謝異常症」「クッシング症候群・甲状腺機能低下症」「胆石・胆嚢粘液脳腫・胆嚢炎」「膵炎」「肝臓病」などがしばしば併発します。
  • 犬の胆泥症の治療方法には、「ウルソなど治療薬」「胆嚢摘出手術」「食事療法」がある。
  • 胆泥症の犬では、「良質な低脂肪」「タンパク質・アミノ酸への配慮」「高消化性」といった内容の食事療法が望ましい。
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犬の尿毒症、治療と食事療法 https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/inu-nyoudokushou/ https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/inu-nyoudokushou/#respond Tue, 16 Jan 2018 21:40:59 +0000 http://dogfood-labo.com/?p=1590 犬の尿毒症は、腎臓病・腎不全の「進行ステージ4」で顕著となる病態です。BUN・クレアチニンといった数値が高くなり、末期腎不全の症状がみられ、余命告知を受けるケースも少なくありません。

犬が尿毒症になってしまうと、完治は難しくなりますが、ワンちゃんに負担がかからないよう、できる限り寿命を長くするための「治療」「食事療法」が望まれます。

このページでは、腎不全・ステージ3以前の早期対策についてふれるとともに、犬が尿毒症になってしまったときの治療方法・食事療法について、ご案内します。

<目次>

犬の尿毒症、よく見られる症状

尿毒症とは、腎臓機能の低下により体内毒素などを尿として適切に排泄できない病態であり、深刻な全身症状をきたします。犬が尿毒症となったときには、腎臓病・腎不全の進行ステージ4の段階に達しており、末期症状に陥っています。

尿毒症で見られる症状には、次のようなものが挙げられます。

  • 食欲不振、嘔吐(下痢)
  • 元気がない
  • 独特な口臭(尿のようなアンモニア臭)
  • 身体のむくみ
  • 低体温
  • けいれん
  • 薄い色の多尿、尿が出ない(末期症状)

尿毒症におけるBUN・クレアチニンの数値変動

犬の腎臓病・腎不全をチェックする指標として、血液検査の「BUN(尿素窒素)」「クレアチニン(Cre)」、尿検査の「尿比重」「尿タンパク」などが挙げられます。

尿毒症が見られる「腎臓病ステージ4」の段階では、BUN・クレアチニンの数値が非常に高くなるとともに、重度な尿タンパク、高血圧などが生じることが一般的です。例えば、クレアチニンは5.0㎎/dlを超えるような高値になります。

尿毒症を含む、腎臓病4ステージ

犬が尿毒症になってしまうと、腎臓機能の90%以上が失われていることも考えられ、余命を覚悟しなければならない状態です。そのため、尿毒症になる前段階で、できるだけ早期に腎臓病を見つけ、対処することが望まれます。

そこで、犬の腎臓病の進行をチェックする上で目安になるのが「4つのステージ」です。下記、犬の腎臓病・4つのステージをご案内します。

ステージ1

BUN・クレアチニンといった数値に大きな異常は見られませんが、犬の腎機能の障害は少しずつ進んでいる段階です。生検等で腎障害を確認することも可能ですが、ステージ1で腎臓病が特定されることは非常に稀です。

ステージ2

BUN・クレアチニンが少し高くなってきます。犬に軽い腎不全の徴候が見られるようになり、蛋白尿や高血圧が現れることもしばしばです。目安として、クレアチン値1.6~2.8mg/dlが定義されています。

ステージ3

腎不全の症状がはっきりと見られるようになる段階です。ステージ3で初めて腎臓病と確定されることもよくありますが、すでに腎機能の75%以上が障害を受けている状態にあり、治療と食事療法が必須です。

ステージ4

ステージ4の段階では、高BUN・高クレアチニンが顕著となるとともに、尿毒症がしばしば発症します。犬の症状にも、重度の腎不全・尿毒症の徴候が見られるようになります。

(※犬の腎臓病全般について、詳しくは「犬の腎臓病 症状にもとづく治療・7ポイントの食事療法」や「犬の腎不全、治療と7ポイントの食事療法」でご案内しています。)

犬の尿毒症、治療方法

犬の尿毒症では、完治にいたるようなことは望めません。犬の負担を軽くしながら、できるだけ余命を長くできるよう、対処的な治療を行うことになります。

こちらでは、尿毒症を含めた末期症状の腎不全について、治療方法をご紹介します。

①脱水状態の補正

尿毒症が見られる犬において、脱水対策は重要かつコントロールが難しい面があります。単に水分を補給するだけではなく、塩分バランスの調整など、尿毒症の対処療法とともに実施しなければなりません。また、尿路感染や尿路閉塞が見られる場合、その治療を行うことで、尿毒症の水分コントロールがうまくいくケースもあります。

②食事療法

低タンパク質・低塩分を中心とした「食事療法」は、尿毒症をはじめ、犬の腎臓病で「治療」とともに両輪となる対策です。食事療法については、次の項で詳しくお伝えします。

③嘔吐への対処

尿毒症を伴うステージ4の腎不全では、極度な食欲不振とともに、犬に嘔吐や吐き気が見られることもしばしばです。腎不全に応じた用量に留意しながら、嘔吐対策の薬が使用されることも一般的です。

(※嘔吐への対策について、「犬の嘔吐と食事対策」もご参照ください。)

④カリウム調整

慢性腎臓病の犬では、体内カリウムのバランスが崩れていることがあります。その場合は、クエン酸カリウムの投与などが行われます。

⑤高リンへの対処

尿毒症・腎不全の犬では、血液中のリン濃度が高まる「高リン酸血症」の状態が一般的です。そのため、リンを制限した食事療法とともに、リン結合薬の投与も検討されます。

⑥高血圧対策

尿毒症の犬では、高血圧が顕著なケースも多いです。そのため、エナラプリル・アムロジピンなどの抗高血圧薬が投与されることもあります。

⑦貧血対策

尿毒症の犬は、貧血に悩まされることもよくあります。その場合、エリスロポエチン系の貧血対策の治療薬などが投与されます。

尿毒症の食事療法7つのポイント

犬の食事対策

腎臓病に対応した「食事療法」は、犬の尿毒症にも有用です。

ただ、尿毒症になっている犬は、極度な食欲不振に陥っているケースが多く、食事療法の実践が難航することもあります。下記7ポイントの栄養内容で給餌するとともに、しっかり食べれるような、美味しさの工夫も望まれるところです。

①低タンパク質

尿毒症の犬は、タンパク質(窒素源)の代謝に大きな問題を抱えている状態にあります。そのため、タンパク質を少なく制限した食事が望まれます。

②低リン

尿毒症をはじめとする腎不全の犬は、体内にリンが異常貯留しているため、食事中のリン量を少なくしなければなりません。

③低ナトリウム&クロール

ナトリウムおよびクロールの量についても、尿毒症の犬では制限することがポイントとなります。

④カリウム調整

食事中のカリウム量を適切に調整することが、犬の尿毒症では求められます。

⑤オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の増量

DHA・EPAといったオメガ3脂肪酸を増量し、オメガ6脂肪酸よりも優位なバランスに調整することもポイントとなります。

⑥抗酸化物質の補給

犬の腎臓障害は、酸化ストレスが一つの原因となります。そのため、酸化を防ぐビタミンCビタミンEなどの抗酸化物質が、尿毒症の食事療法にも有用です。

⑦水分補給

治療のところでお伝えした「脱水対策」に付随し、水を飲める環境を作ってあげることも大切です。

まとめ

尿毒症のワンちゃん達にとって、少しでも寿命を長くすることにつながるとともに、負担がかからないような対策として「治療方法」「食事療法」を中心にお伝えしました。ご不明な点など、お問い合わせいただければ幸いです。

このページでご案内した内容を下記にまとめます。

  • 尿毒症は、腎臓病・腎不全の末期にあらわれる全身症状である。
  • 尿毒症の犬では、BUN・クレアチニンといった腎臓関連の数値がとても高くなる。
  • 犬の腎臓病において、進行の目安となる4つのステージが定義されている。そのうち、尿毒症はステージ4で現れる病態である。
  • 犬の尿毒症の治療方法として、「脱水対策」「食事療法」「嘔吐への対処」「カリウム調整」「高リン対策」「高血圧の対処」「貧血の対処」などが挙げられる。
  • 犬の尿毒症の食事療法には、「低タンパク質」「低リン」「低ナトリウム」「カリウム調整」「オメガ3脂肪酸増量」「抗酸化物質補給」「水分補給」の7ポイントがある。
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犬の腎不全、治療と7ポイントの食事療法 https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/inu-jinfuzen/ https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/inu-jinfuzen/#comments Tue, 16 Jan 2018 04:16:09 +0000 http://dogfood-labo.com/?p=1580 犬の腎臓機能が低下し、体内環境を正常にキープできない症状を「腎不全」と呼びます。末期症状の腎不全になると、尿毒症が生じるなど、余命に関わる問題となります。

犬の腎不全では、「急性/慢性」「BUN・クレアチニンの数値、尿検査などに基づくステージ分け」といった病態に応じ、治療が施されます。そして、投薬などの治療とともに「食事療法」が腎不全・対策のカギとなります。

このページでは、腎不全の症状に応じた「治療方法」と「7ポイントの食事療法」をご案内します。ご愛犬の腎不全対策について、お力になれればと思っています。

<目次>

犬の腎不全、よく見られる症状

通常、「犬の腎不全」は、腎臓機能の3/4以上が失われた病態のことを指します。腎不全対策のファーストステップとして、できるだけ早期の「腎障害」の段階で、病気のタネを見つけてあげることが大切です。

しかし、腎臓の血液検査項目である「BUN」「クレアチニン」といった数値は、おおよそ腎不全が発症する段階になって、はじめて正常値より高くなってくることが一般的です。そのため、犬が高齢になるに従い、腎不全特有の症状が見られないか、チェックする意識も必要です。下記、犬の腎不全・腎臓トラブルでよく見られる症状をご紹介します。

  • 多飲多尿
  • おしっこの色の変化、無臭化
  • 食欲不振、痩せ
  • 便秘気味
  • 毛並みが悪い
  • 口臭
  • 嘔吐下痢
  • 震えや痙攣

特に、何らかの「おしっこの変化」が見られた場合など、腎不全ならずとも何か問題を抱えていることも考えられるため、動物病院で受診することをお勧めします。

「BUN」「クレアチニン」などのチェック法

犬の腎不全では、「BUN」「クレアチニン」をはじめとする血液検査や、「尿比重」「尿pH」「尿タンパク」「尿糖」といった尿検査などのチェックにより、病状・ステージを判断し、治療方針を検討します。

一方で、飼い主さんにとっては、「BUN」や「クレアチニン」などが何を意味しているのか、どう判断すれば良いのか、わかりにくいのではないでしょうか?

そこで、犬の腎不全で特に重視される「BUN」「クレアチニン」について、検査の意図とチェック方法をご案内します。

BUN

血液検査の「BUN」は、血液中の尿素窒素の数値です。腎不全の進行に伴い、BUNが高い数値となってあらわれる傾向にあります。

通常、尿素窒素(BUN)は、適切に尿として排出されるよう、体内でコントロールされています。しかし、犬が腎不全になると血液中に尿素窒素(BUN)が漏れ出るようになり、数値が高くなってしまいます。

※腎臓トラブル以外で「BUN」が高くなる要因

ただし、BUNの上昇は、腎臓以外の要因によっても起こります。例えば「食後すぐの検査」「高タンパク質の食事」「消化器内の出血」「飢餓・カロリー不足」「発熱」「コルチコステロイドなどの投薬」「筋肉損傷」などでも、BUNの数値が高くなります。

それでも、BUNの上昇は、腎臓トラブルに由来することが多く、犬の腎不全を見つける第一段階の手段として、役立つことに違いはありません。

※腎臓以外のところに原因がある「腎不全」の検出

犬の腎不全には、腎臓以外の部位トラブルにより発症する(腎臓そのものの障害が原因ではない)ケースもあります。

BUNは、そのような「腎外性腎不全」の症状に対して、腎臓に原因がある「腎性腎不全」よりも数値が高くなる傾向にあります。対して、次にご紹介する「クレアチニン」の数値では、腎外性・腎性の違いが見られません

これらBUNとクレアチニンの感度の違いは、両方の数値を合わせてチェックすることにより、腎臓病の原因を調べることに役立ちます。

クレアチニン(Cre)

クレアチニン(Cre)の数値は、BUN以上に腎臓トラブルへの特異性が高く、犬の腎不全検査に重宝されています。

クレアチニンは筋肉由来の窒素化合物で、健康な犬では尿として排出されます。しかし、犬が腎臓障害に見舞われると、クレアチニンが血液中に漏れてしまい、高い数値となってあらわれます。一般的に、クレアチニン値が上昇していれば、腎機能の50%以上に障害があると解釈されます。

※クレアチニン数値の問題点

一方で、腎不全の検出において、クレアチニンにも問題点があります。クレアチニンは、腎トラブルに対する感度が高いわけではなく、数値が正常値であっても、腎不全が発症している可能性もあるのです。

また、「若い犬では、クレアチニン値が低く出る傾向にある」「筋肉量が多い犬は、クレアチニン値が高くなりやすい」という点も考慮しなければなりません。

それでも、早期の腎障害の検出には、クレアチニンが最も優れていると考えられています。

「BUN」&「クレアチニン」同時チェックの大切さ

BUNとクレアチニンは、それぞれを単独でチェックするだけではなく、両方を同時に評価することで、より正確な腎不全診断を行うことができます

下記、「BUN&クレアチニンを同時に評価する方法」をまとめます。

BUN/クレアチニン比率について

先にお伝えしたように、BUNとクレアチニンには、犬の腎不全チェックにおいて、下記のような特性の違いがあります。

  • BUNは、「腎性腎不全(腎臓に原因)」よりも「腎外性腎不全(腎臓以外に原因)」で数値が高くなる傾向がある
  • クレアチニンは、「腎性腎不全」「腎外性腎不全」両者の差がない
  • クレアチニンの方が、腎臓病特異的な数値上昇がある(BUNは、高タンパク食など、腎臓病以外の要因でも高くなる可能性がある)

BUNとクレアチニンの違いを活かし、両数値データを同時に評価することが大切です。例えば、下記のようなケースにより、腎不全の治療内容が異なってきます。

①BUNが高くクレアチニン正常、もしくは、BUN/クレアチンが高いケース

「BUNのみが高値の場合」もしくは「BUN/クレアチニンの比率数値が20以上のケース」では、「腎臓以外のトラブルを原因とする腎不全」を疑うとともに、「高タンパク食など腎臓病以外の要因」であることも考えられます。

そのため、まずは犬に「脱水症状」「血液量低下」「低血圧」などが無いかをチェックし、該当症状が見られれば、それらに対する治療処置をとることが望まれます。

合わせて、高タンパク食などの「腎臓病以外の要因」をチェックするようにします。

※多い症例ではありませんが、癌などにより筋力低下が見られ、クレアチニンが腎不全の進行度合よりも低い数値となることもあります。犬に痩せ・筋力低下があれば、このことを考慮しなければなりません。

②BUNは正常でクレアチニンが高い、もしくは、BUN/クレアチニンが低いケース

「クレアチニンのみが高い」「BUN/クレアチニンが20以上」といった場合、腎不全の可能性が高いです。

一方、これらのケースでは、「なぜBUNが高くならないのか」を探らなければなりません。BUNのみが高くならない原因として、例えば「肝臓トラブル」「多飲多尿」「低たんぱく食」などが挙げられます。これらBUNのみが高くならない要因を見極め、腎不全の治療と合わせて対策をとることが重要です。

※まれに、「筋肉の炎症」「薬物」「悪質な食事」などにより、クレアチニンが不当に高くなるケースもあります。こういった誤診が起こらないよう、留意することもポイントです。

「急性腎不全」と「慢性腎不全」の見分け方

犬の腎不全は、「急性」と「慢性」で対策が異なります。そのため、急性腎不全・慢性腎不全を正しく見極めることも大切です。

急性腎不全の症状

犬の腎不全が急に発生・進行する病態です。

  • 今までに腎不全になった病歴がない
  • 数日内で急な進行が見られる
  • 元気がない、脱水、低体温などの急性症状がある

といった腎不全症状があれば、「急性」の可能性があります。

慢性腎不全の症状

犬の慢性腎不全は、数ヶ月以上をかけて少しずつ進行していくことが特徴です。急性腎不全では完治も見込めますが、慢性腎不全は、壊れた腎機能の回復は見込めません。進行性の腎不全であることを考慮し、残された腎機能に負担をかけず、ダメージを緩和させる治療を実施することになります。

下記、犬の慢性腎不全の特徴です。

  • 今まで、腎臓病になった病歴がある
  • 多尿、体重減少、被毛の艶がなくなる、寝てばかりいる、食欲低下などが継続して見られる
  • 腎不全の病態が続いている

犬の慢性腎不全、4つの進行ステージ

犬の慢性腎不全において、進行段階に応じた4つのステージが定義されています。下記4つのステージ分類を目安に、治療方針を定める視点も必要となります。

ステージ1(ステージⅠ)

最初のステージⅠの段階は、腎不全よりも前の「慢性腎障害」と言えるような時期です。例えば、犬のクレアチニン数値は1.4㎎/dl未満であることが目安です。

この時期は、「BUN・クレアチニンの上昇」や「体液・イオンバランスの異常」など、犬に腎不全の徴候は見られませんが、生検でチェック可能な腎病変は存在しています。より厳密な検査では、腎臓に起因する「尿比重の異常」「蛋白尿」などが見られるとともに、クレアチニンが少しずつ上昇していきます。

ステージ2(ステージⅡ)

目安として、犬のクレアチニン数値が1.4~2.0㎎/dlとなるステージです。ステージ2では、「多尿」が特徴的な症状としてあらわれやすく、尿濃縮能の低下に伴う「尿比重の異常」が進んできます。

犬がステージ2以上の段階になると、脱水・外傷・手術などにより、腎不全症状が進行しやすくなるため、注意が必要です。

ステージ3(ステージⅢ)

腎不全の徴候がより明確になり、BUN・クレアチニン数値が高くなる(クレアチニン2.1~5.0㎎/dlが目安)とともに、犬に「多尿」「イオンバランスの異常(高リン・低カルシウム)」「貧血」「体重減少」が見られるようになります。

ステージ3では、犬の腎組織の75以上がダメージを受けているとされています。

ステージ4(ステージⅣ)

ステージ4は、犬に「尿毒症」もしくは「末期腎不全」の症状が見られる段階です。積極的な治療なしには寿命を保つことができず、余命告知を受けることもしばしばです。

全身の「尿毒症」症状とともに、クレアチニン数値が5.0㎎/dl以上となるなど、重度な「高窒素血症」が現れます。

(※犬の尿毒症について、詳しくは「犬の尿毒症、治療と食事」をご覧ください。)

腎不全の治療

治療

今までご案内してきたように、犬の腎不全はとても複雑な病気であり、病態に合わせた治療を進めることが大切です。下記、「急性腎不全」と「慢性腎不全」に分けて、治療方法をご案内します。

急性腎不全の治療方法

犬の急性腎不全では、病状により、下記のようなステップで治療が検討されています。

①尿の産生チェック

犬の急性腎不全では、尿の量が少ないor尿の生産がない、といった症状もあります。特に、「尿の生産が全くない」という疑いがあれば、「尿路閉塞」「膀胱破裂」の可能性もあり、尿道カテーテルなどで検査が行われることもあります。

②輸液

急性腎不全による「尿の欠乏量」をチェックし、対応した輸液を補給する、という治療も施されます。

③利尿薬

輸液療法で尿量が確保できなければ、フロセミド・マンニトールといった利尿薬が検討されます。この際、投薬方法・種類・薬の量などが不適切であれば、犬に負担が生じるケースもあるため、慎重に経過を見なければなりません。

④ドパミン

フロセミドなどの利尿薬が効かない犬の場合、「ドパミン」という治療薬が検討されます。ドパミンは、ナトリウムの排泄促進・血管拡張などの作用があり、排尿効果が期待できます。

⑤透析

以上の治療でもNGの場合、「透析治療」が検討されます。ただし、犬の急性腎不全の状態が、可逆性(回復しうる)の場合のみで有効です。

⑥嘔吐コントロール

重度の急性腎不全では、「嘔吐」が顕著なトラブルです。そのため、犬の嘔吐がひどい場合は、嘔吐対策の薬を使用するケースもあります。

⑦栄養補給

犬の急性腎不全は、病期が長くないため、栄養補給はそれほど重視されません。ただし、食欲不振・嘔吐が続いていた場合、予後を含めて腸をサポートすることが大切です。

例えば、腸管から栄養を補給する「経腸栄養補給」が進められることもあります。

⑧予後チェック

犬の急性腎不全では、予後も慎重にチェックするようにします。具体的には、「排尿は適切か」「血液中のリン濃度に異常はないか」「症状に改善は見られるか」といった点を見てあげるようにしましょう。

慢性腎不全の治療方法

犬の慢性腎臓病では、「治療」と「食事療法」が両輪となり、対策を進めます。そのうち、まずは治療方法をご案内します。

①ストレス緩和

犬の慢性腎不全では、ストレスが進行を招くことになります。特にステージ2以上の腎不全では、ケガなどにも注意し、不要な手術をできるだけ行わないことが望まれます。

②脱水対策

脱水症状は、犬の腎不全を進行させる要因となります。

脱水の対策は、「水分補給」だけではありません。「体内イオンバランスの補正(適切なミネラル補給)」「尿路感染の治療」「尿路閉塞の治療」「尿毒症の緩和」「全体的な栄養管理」「貧血への対策」など、全てが脱水症状の改善につながります。

輸液の投与や水素水の補給なども含めて、犬の慢性腎不全において、治療のカギとなる要素です。

③嘔吐・吐き気への対処

慢性腎不全の進行に伴い、犬は吐き気や嘔吐に悩まされることもあります。そのため、嘔吐・吐き気への対策となる治療薬などが検討されます。

④カリウムの補正

慢性腎不全の犬では、「低カリウム血症」の症状がしばしば現れます。そのような場合、カリウム量を調整した食事やクエン酸カリウムの投与が行われます。

⑤高リンへの対処

犬の腎不全ではリンの代謝が不全となり、「高リン酸血症」の症状に見舞われます。そのため、腎不全の初期ステージから、リンを制限した食事療法が推奨されています。

さらに、リンを結合し排出する性質のある薬を投与するケースもあります。

高リン酸血症の症状は、ホルモンバランスに異常をきたし、犬の体内での活性化ビタミンD不足を招くなど、深刻な影響を及ぼします。そのため、犬の腎不全にといて、高リン対策も非常に大切なポイントです。

⑥高血圧対策

慢性腎不全の犬の50%以上において、「高血圧」が見られると報告されています。実際に、「体内ナトリウムの貯留」「腎臓の交感神経系の活性化」「ホルモン異常」「血流の悪化」など、慢性腎不全でみられる病状は、高血圧の原因となります。

そのため、エナラプリル・アムロジピンなどの高血圧対策の治療薬が検討されます。

(※腎不全と併発しやすい、高血圧などの心臓トラブルについて、詳しくは「犬の心臓病 症状・治療・5ポイントの食事療法」をご参照ください。)

⑦貧血への対応

犬の慢性腎不全では、貧血症状も散見されます。そこで、エリスロポエチンなどの貧血用治療薬が使われるケースもあります。

※投薬への注意点

他の病気を併発している場合など、犬にとって腎毒性を有する薬があるため、注意が必要です。

腎毒性を持つ薬として、「アミノグリコシド系抗生物質」「トリメトプリムサルファ」などが挙げられます。

※予後管理について

犬の慢性腎不全は、進行性の病気であるため、治療後も継続的なチェックが必要となります。基本的には、食事療法を続けながら、脱水・高リン・高血圧・貧血などの対策をとっていくことになります。

そして、BUNやクレアチニンなどの検査を定期的に行うことも必須です。

犬の腎不全、食事療法7ポイント

犬の食事対策

犬の腎不全では、食事療法に明らかな延命効果が得られるという報告がなされています。下記でご紹介する「7ポイントの食事療法」は、犬の腎不全において必須の対策と言えるでしょう。

1)低タンパク質

尿毒症や高窒素血症(高BUN・高クレアチニン)があらわれる、犬の腎不全では、「タンパク質の制限」が有用です。

そして、腎臓対策に合った「アミノ酸バランス」を実現したタンパク質を補給することが望まれます。

腎不全の食事療法において、ドライフードでタンパク質量20%以下に調整することが推奨されています。

2)低リン

「高リン酸血症」を生じる、犬の腎不全において、「リンの制限」も食事療法の重要ポイントです。

リンとタンパク質の両方を適切に制限することで、慢性腎不全の犬は、生存期間が3倍に延びるという報告もあります。

リンの量をドライフードで0.2~0.5%に調整することが推奨されています。

3)低ナトリウム/クロール

腎不全の犬では、体内ナトリウムおよびクロールが貯留した状態になりがちです。そのため、ナトリウム&クロールを制限した食事が望まれます。

ドライフード換算で、ナトリウム0.3%以下、クロールがナトリウムの1.5倍という食事内容が、腎不全の犬では推奨されています。

4)カリウムの調整

腎不全の犬は、血液中のカリウム・バランスも崩しやすい状態にあります。そのため、ドライフードでカリウム0.4-0.8%が目安となります。

5)オメガ3脂肪酸の増量

魚油などに含まれるEPA・DHAなどの「オメガ3脂肪酸」は、犬の腎不全対策に有用な成分です。実際に、魚油とキャノーラ油をそれぞれ与えて比較した実験により、魚油を与えた方が腎不全で延命効果が認められた、という結果が報告されています。

腎不全の犬では、「オメガ3脂肪酸」を0.4%以上、「オメガ3脂肪酸:オメガ6脂肪酸の比率」を1:1~7:1に調整した食事療法が望ましいです。

6)抗酸化物質の添加

犬の腎不全では、ビタミンC・ビタミンEやある種のポリフェノールなどを添加することが有用です。理由として、腎不全では、酸化によるダメージが見られることが一般的であり、それをビタミンC・Eなどの抗酸化物質が緩和してくれるためです。

ビタミンCビタミンEには、相乗的な抗酸化力も知られており、ポリフェノール類を含めた抗酸化物質をしっかり補給することが望まれます。

7)水分の補給

腎不全の犬では、尿の濃度が薄まってしまうトラブルが見られます。そして、必要以上に尿を排出してしまいます。

そのため、適切な量の水をいつでも補給できるように、水分摂取の工夫をとることも重要です。

※その他、重要な栄養

腎不全の犬において、上記7ポイント以外にも重要度が高い栄養成分について、ご案内します。

  1. ビタミンD:カルシトリオールは、別名「活性化ビタミンD」と呼ばれ、腎臓機能に重要なホルモン成分です。通常、カルシトリオールは、腎臓内でビタミンDから合成されますが、腎不全の犬では合成がうまく進まないことが知られています。カルシトリオール(活性化ビタミンD)の不足は、カルシウム欠乏と血液中のリン濃度の上昇をまねき、腎不全の進行にもつながります。そのため、医薬品としてカルシトリオールが腎不全の犬に投与されることもあります。
  2. ビタミンB群:腎不全の犬では、ビタミンB群の必要量がアップすると報告されています。腎臓病対応の食事療法食では、ビタミンB群が強化されていることが一般的であり、そのような食事・ドッグフードを与えることが望まれます。また、手作り食や市販ドッグフードにおいても、ビタミンB群をしっかりとれるような配慮が求められます。
  3. 食物繊維:可溶性の食物繊維は、過剰なアンモニアやリン・ナトリウムなどの塩分を絡めとり、排出してくれることが期待できます。そのため、腎不全の犬で問題となる「タンパク質過剰」「リン・ナトリウム過剰」のトラブル対策としても、食物繊維の補給はプラスに作用します。

まとめ

犬の腎不全対策の両輪となる「治療」「食事療法」のことを中心に、ご案内しました。特に、食事療法については、できるだけ早期の段階で取りくむことが長寿につながることが報告されています。腎不全のワンちゃん達の健康に、少しでもお力になれれば幸いです。

ご不明な点など、仰っていただければ幸いです。

  • 犬の腎不全をできるだけ早期に見つけてあげれるよう、症状をチェックすることが大切。
  • 犬の腎不全を見極める検査項目として、BUN・クレアチニン・尿比重などがある。特に、BUN・クレアチニンが重要な指標となる。
  • 急性腎不全・慢性腎不全、どちらの症状なのかを判断し、適切な対策をとるようにする。
  • 犬の慢性腎不全では、進行段階に応じた4つのステージが定義されている。
  • 犬の腎不全では、治療・食事療法が対策の両輪となる。病態に応じた治療が望まれる。
  • 犬の腎不全の食事療法として、「低タンパク質」「低リン」「低ナトリウム」「カリウム調整」「オメガ3脂肪酸の増量」「抗酸化物質の補給」「水分補給」という7つのポイントが挙げられる。
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犬のクッシング症候群、症状を緩和する4つの方法 https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/cussing-shoujou/ https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/cussing-shoujou/#respond Mon, 25 Sep 2017 09:08:24 +0000 http://dogfood-labo.com/?p=1105 犬のクッシング症候群では、皮膚の荒れや脱毛、痩せているのにお腹が膨らむ、多飲多尿、などが症状としてあらわれます。

そして、これらクッシングの症状とともに、ホルモンバランスの崩れから様々な代謝トラブルが生じ、治療が難しいだけではなく命にも関わる病気です。

このページでは、難治性の病気「犬のクッシング症候群」について、症状緩和につながる方法をご案内します。

<目次>

クッシング症候群が難治性の理由

犬のクッシング症候群は、「一生完治することはない」難治性の病気とされています。副腎ホルモンの分泌量が異常に増える病気であり、犬の副腎・脳下垂体に腫瘍ができることが一般的な原因です。

コルチゾールなどの副腎ホルモンの異常分泌は、投薬治療によってコントロールすることはできますが、根本的にホルモンの分泌機構を修復することはできないため、犬にとって「難治性の病気」とされているのです。

クッシング、症状緩和につながる「治療」「食事」「サプリ」「生活習慣」

一方で、犬のクッシング症候群は確かに難治性の病気ですが、治療・食事・サプリメント・生活習慣などにより、症状ケアの対策をたてることはできます

①「治療」について

薬による治療

犬のクッシング症候群の治療は、コルチゾールなどの副腎ホルモン分泌異常をコントロールすることが目的です。アドレスタンなどの治療薬により、クッシング症候群の症状をうまくコントロールできれば、健常な犬と変わらない生活を送ることができます。

ただし、アドレスタンなどのクッシング治療薬は、副作用に注意が必要です。投薬量を間違えると、犬に負担がかかり、クッシング症候群とは真逆の病気「アジソン病」のような症状が出ることもあります。アジソン病は、クッシングとは反対に副腎ホルモンの分泌が低下する病気であり、注意が必要です。

「治療薬」を選ばない選択

飼い主さんの中には、治療薬の副作用を恐れ、アドレスタンなどを使わないクッシング症候群対策を検討される方もいらっしゃいます。また、犬のクッシングん症候群は、症状や血液検査のデータだけでは病状が確定しないケースもあります。

しかし、間違いなく「クッシング症候群」という診断が下されたのであれば、ある程度の治療は必要になります。犬のクッシング症候群では、薬による治療を行わずに放置すると、症状が悪化するリスクもあるためです。

②「食事」について

クッシング症候群の犬は、タンパク質・脂肪・炭水化物といった主要栄養について、それぞれ代謝トラブルを抱えています。ホルモンの分泌異常が、犬の栄養代謝に問題を生じさせているのです。そのため、クッシング症候群の栄養代謝トラブルに合わせた食事対策を実施することが、犬の症状ケアにプラスとなることは間違いありません。

(※クッシング症候群の治療や食事対策について、より詳しくは「犬のクッシング症候群、治療と食事」をご欄ください。)

③「サプリメント」について

犬のクッシング症候群では、サプリメントも対策の選択肢となります。具体的には、「免疫力をキープする」「犬の腸内善玉菌を増やす」といったサプリメントがお勧めです。詳しくは、「犬のクッシング症候群と腸内細菌の関係」をご参照ください。

④「生活習慣」について

ストレスのかからない生活習慣

クッシング症候群の犬では、生活環境への配慮もポイントとなります。

クッシングで分泌異常がおこる副腎ホルモンは、「ストレスホルモン」とも呼ばれています。実際に、犬のクッシング症候群では、ストレスが原因となっているケースも良く見られます。そのため、犬にとってストレスの少ない生活習慣が、クッシング症候群では大切です。

私たち人間には、問題とならないことでも、犬の本能から外れたことがストレスになることもあります。食事・睡眠・運動などはもちろん、犬の本能からストレスとなりやすい要因があれば、クッシング症候群の対策として考えてあげるようにしましょう。

まとめ

  • 犬のクッシング症候群は、副腎ホルモンの分泌異常から生じる病気であり、治療による完治が難しい。そのため、難治性の病気とされている。
  • 犬のクッシング症候群の症状を緩和する対策として「治療」「食事」「サプリ」「生活習慣」が挙げられる。
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犬のクッシング症候群と腸内細菌の関係 https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/cushing-nyuusankin/ https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/cushing-nyuusankin/#respond Thu, 21 Sep 2017 08:10:05 +0000 http://dogfood-labo.com/?p=1098 クッシング症候群は、副腎ホルモンが過剰分泌される病気であり、犬でよく見られます。犬のクッシング症候群は、治療が難しい難治性の病気と言われています。

犬のクッシング症候群は、まだまだ未解明な病気ですが、乳酸菌をはじめとする腸内細菌との関わりが考えられます。

このページでは、犬のクッシング症候群と腸内細菌の関係について、科学の知見にもとづいたお話をご紹介します。

<目次>

犬のクッシング症候群と腸内細菌の関係

犬とストレス

犬のクッシング症候群は「ストレス」がカギとなる病気です。

クッシング症候群の犬は、「コルチゾール」と呼ばれる副腎から分泌されるホルモンなどが過剰になります。この「コルチゾール」は、別名「ストレスホルモン」とも呼ばれており、犬がストレスを感じると分泌されるホルモンです。

つまり、クッシング症候群の犬では、常にコルチゾールが異常に分泌してしまうトラブルを抱えています。

コルチゾールが過剰に分泌されると、タンパク質・脂質・炭水化物、それぞれに代謝異常がみられるようになり、免疫力や肝機能なども不安定になる傾向が出てきます。

ストレスと腸内細菌

犬のクッシング症候群のカギとなる「ストレス」は、腸内細菌と深く関わっています。

まず、ストレスは腸内細菌の構成を変化させます。動物実験において、絶食・熱さなどのストレスは、明らかに腸内細菌バランスを変えるという報告がなされています。また、ヒトにおいても、宇宙飛行の訓練で過剰なストレスがかかると腸内細菌に異常が見られたことなどが知られています。

また、腸内細菌の内容が、ストレス耐性に関与していることも研究報告されています。

犬の腸内細菌とストレスの関係性を調べた研究は多くありませんが、動物やヒトでの知見から、深く関わっていることは間違いないでしょう。(参考:ストレスと腸内フローラ

クッシング症候群と腸内細菌

お伝えしたように、犬のクッシング症候群はストレスがカギとなる病気です。そして、ストレスは腸内細菌と深く関わっています。つまり、犬のクッシング症候群は、腸内細菌と関係していることが考えられます。犬のクッシング症候群において、腸内細菌に期待できる2つの要素を見てみましょう。

①コルチゾール抑制?!

まず、乳酸菌やビフィズス菌など、犬の腸内善玉菌が優勢になると、クッシング症候群で過剰分泌が問題となる「コルチゾール」が抑制される方向へ働くことが期待できます。

②根本原因・腫瘍対策?!

合わせて、乳酸菌などが優位な腸内環境は、犬の免疫力を良い状態にキープしてくれることが考えられます。この点、クッシング症候群は副腎や脳下垂体に「腫瘍」ができることが根本原因とされており、免疫力を高い状態に保つことは、腫瘍対策としてもプラスに働くことが想像できます。

これら、「犬のクッシング症候群と腸内細菌」の関係性について、今後の研究成果が待たれるところです。

クッシング症候群をひも解く?ストレスと腸内細菌の研究例

ここで、犬のクッシング症候群と腸内細菌の関係について、参考になりうる研究事例をご紹介します。内容は、「アスリートと腸内細菌」です。

アスリート(スポーツ選手)は、激しいトレーニング・勝負へのプレッシャーといった異常なストレスにさらされています。そのため、犬のクッシング症候群と同様に「コルチゾール」が多く分泌されています。そして、腸内細菌の状態も良くないケースが多いようです。

そのような高ストレスのアスリートが乳酸菌を取りいれることは、コルチゾールが関わる炎症を抑えるなど、プラス効果が報告されてます。

「高コルチゾール」という点で、犬のクッシング症候群と重なる要素もあり、腸内細菌をケアすることが期待できる研究例だと感じています。

クッシングの犬にお勧め、乳酸菌・ビフィズス菌を増やす工夫

サプリメント

最後に、クッシング症候群の犬にお勧めできる、腸内乳酸菌・ビフィズス菌を増やす工夫について、ご案内します。詳しくは、「犬への乳酸菌の効果を高めるコツ」でお伝えしていますので、このページでは簡単にご紹介します。

1)乳酸菌・ビフィズス菌を与える

乳酸菌・ビフィズス菌そのものを与えることは、クッシング症候群の犬にお勧めできます。死菌・生菌、どちらでも構いませんが、「生きて犬の腸まで届く」タイプのものがベターです。また、「腸のどの部分に届くのか」「定着するのか」、そして、「乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸菌など、善玉菌の種類」などもチェックポイントとなります。

2)腸内善玉菌を増やす食事・栄養

元々、犬の腸内で生息している善玉菌を増やす食事も、クッシング症候群の対策では良いと思います。具体的には、「発酵性の食物繊維」「難消化性炭水化物」「オリゴ糖」などの栄養成分を含んだ食事・サプリメント・ドッグフードは、クッシング症候群の犬に一考の価値があると思います。

(※クッシング症候群の治療方法や食事については、「犬のクッシング症候群、治療と食事」でより詳しくご案内しています。)

まとめ

  • 犬のクッシング症候群と腸内細菌は、深く関係していることが考えられる。
  • クッシング症候群の犬には、「乳酸菌・ビフィズス菌を与える」「腸内善玉菌を増やす食事・栄養」といった工夫がお勧めできる。
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犬の膵炎、タンパク質の注意点 https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/tanpakusitu/ https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/tanpakusitu/#respond Thu, 21 Sep 2017 02:39:44 +0000 http://dogfood-labo.com/?p=1095 犬の膵炎の食事では、「低脂肪」であることが重要です。合わせて、もう一つ注意しなければならないポイントとして「タンパク質」に関わることが挙げられます。

このページでは、犬の膵炎と食事中のタンパク質について、動物栄養学の観点からご案内します。

<目次>

膵炎の犬、タンパク質の留意点

犬の膵臓は、消化酵素などを分泌する器官です。健康な犬では、膵臓で作られた消化酵素が小胞に包まれ、腸などに運ばれて食事の消化吸収をサポートしてくれます。ところが、膵炎の犬では、酵素が腸などに運ばれる前に働いてしまい、自分の細胞に炎症をおこしてしまいます。

そのため、膵炎の犬では、膵臓酵素の分泌に刺激を与えないような食事が望まれます。

犬において、膵臓からの酵素分泌に刺激を与える要因が、「脂肪」そして「ある種のタンパク質」です。脂肪については、犬の膵炎でよく知られており、食事対策の一番手に挙げられています。(※犬の膵炎、脂肪などの留意点については、「犬の膵炎、治療と食事」で詳しくご案内しています。)

膵臓の酵素分泌に刺激を与えるタンパク質とは?

膵臓の酵素分泌に刺激を与える、つまり「犬の膵炎の症状を悪化させうる」タンパク質について、ご紹介します。

食事中のタンパク質は、20種類のアミノ酸の連なりでできています。それらタンパク質中のアミノ酸のうち、「フェニルアラニン」「トリプトファン」「バリン」といった種類が、犬の膵臓分泌に強い刺激を与えることが報告されています。これら3種のアミノ酸は、脂肪以上に犬の膵炎の負担になる成分と考えられています。

そのため、フェニルアラニン・トリプトファン・バリンを多く含むタンパク質は、膵炎の犬には与えすぎないことが望まれます。

犬の膵炎、タンパク質リスクを和らげる2つの食事対策

フェニルアラニン・トリプトファン・バリンによる、犬の膵酵素分泌の刺激は、腸内で起こります。つまり、これら3種のアミノ酸が腸内に滞留すればするほど、膵臓が刺激され、犬の膵炎症状が悪化する恐れがあります。

それならば、3種のアミノ酸を極力省けばよいのかというと、そう簡単ではありません。肉を含むほとんどのタンパク源には、3種のアミノ酸も一定量含まれており、どの食べ物を選んだとしても、犬の膵臓負担をゼロにすることはできません。

犬の膵炎における、タンパク質の重要性

また、膵炎の犬において、タンパク質はとても重要な成分です。犬の体内の炎症を修復してくれるのが「タンパク質」であり、膵炎には一定量以上のタンパク質が必要となります。

タンパク質を補給しながら、膵炎悪化リスクを抑える食事対策

フェニルアラニン・トリプトファン・バリンによるリスクをコントロールしながら、膵炎の犬に必要なタンパク質をしっかり補給するためには、次のような2つの食事対策が望まれます。

①タンパク質を与えすぎない

第一に、タンパク質の総量を抑えることです。市販のドッグフード(ドライタイプ)で言えば、粗タンパク質量で30%を超えるものは避けた方が良いでしょう。かと言って、タンパク質量が少なすぎる食事も、膵炎の犬には不適です。少なすぎず多すぎないタンパク質量が、膵炎の犬には適しています

②消化の良いタンパク質を与える

第二に、「タンパク質の消化性」もポイントです。消化の良いタンパク質は、犬の腸内での滞留時間が短く、膵臓への刺激が少なくなります。

「タンパク質の消化性」を決める要素は幾つかありますが、「フレッシュなタンパク源を選ぶ」「加熱しすぎない」「アミノ酸バランスに留意する」「食物繊維の種類と量をチェックする」などが挙げられます。こういったタンパク質の消化性については、「犬にお肉・生肉、注意すべき4ポイント」をご参照ください。

市販ドッグフード・手作り食でのチェックポイント

ドッグフード

それでは、犬の膵炎の食事について、タンパク質に配慮したチェックポイントをご案内します。市販ドッグフード・手作り食、それぞれで見ていきましょう。

市販ドッグフード

  1. ドライフードでタンパク質量が15~30%のものを選ぶ
  2. タンパク資の消化性に配慮したものを選ぶ

手作り食

  1. 肉食に偏りすぎないようにする
  2. 肉を与える場合、肉と同量程の穀物・イモ類・野菜などをミックスして与える

まとめ

  • 膵炎の犬にとって、タンパク質に含まれる3種のアミノ酸「フェニルアラニン」「トリプトファン」「バリン」は、膵臓負担となる成分。
  • 3種のアミノ酸が膵炎負担となりにくい食事対策として、「多すぎず少なすぎないタンパク質量」「消化しやすいタンパク質」の2ポイントが挙げられる。
  • 犬の膵炎の食事について、市販ドッグフード・手作り食でのポイントは、「タンパク質が多すぎない・肉食に偏りすぎない」「消化性に配慮する」などがある。
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犬にお肉・生肉、注意すべき4ポイント https://dogfood-labo.com/erabikata/genzairyou/niku-namaniku/ https://dogfood-labo.com/erabikata/genzairyou/niku-namaniku/#comments Sat, 16 Sep 2017 23:34:59 +0000 http://dogfood-labo.com/?p=1087 犬が好む食べ物のナンバーワンは、何といっても「お肉・生肉」です。犬は肉食性の強い雑食動物であり、栄養学からも「お肉・生肉」をメインの食事に添えることが理にかなっています。

かといって、お肉関連の食材・原料であれば、何でも犬に与えれば良い訳ではありません。

このページでは、動物栄養学の観点から、犬にお肉・生肉を与える際に、注意すべきポイントなどについてご案内します。

<目次>

なぜ、犬に肉が良いのか?

動物栄養学の基準では、犬の食事のうち50~70%は肉・魚関連の食べ物を与えることが好ましいとされています。

なぜ、犬にはお肉をメインとした食事が良いのでしょうか?

その理由は「肉食性の強い雑食動物」という犬の食性にあります。犬は、肉食動物であるオオカミを祖先としています。オオカミから犬への進化の過程で、穀物や野菜への適応をある程度果たしましたが、それでも、「肉」から栄養を取りいれることに適した特性を有しているのです。

そのため、犬の食事では、お肉をメインに穀物などを適量添えるような栄養バランスが適しています。

犬にお肉・生肉、注意すべき4ポイント

お肉

犬に「お肉・生肉」を与える際に、注意点があります。以下、4つのポイントにまとめました。

1)高脂肪への注意

犬にとって、肉類から得られる栄養成分の一つに「脂肪」があります。脂肪は、犬にとって有用なエネルギー源・カロリー源であり、とても大切な栄養素です。そのため、脂肪を含む肉類は、犬にエネルギーを与えてくれます。

しかし、肉の中には、過剰に脂肪を含むものもあります。過剰な動物性脂肪は、犬にとっても健康被害をもたらすリスクがあるため、脂肪分が多いお肉は控えめにしなければなりません。肉の脂肪のカタマリなどは、犬に与えない方が良いでしょう。

2)脂肪の酸化

肉に含まれる「脂肪の酸化」も要注意です。脂肪は、空気に触れる時間が長かったり、加熱プロセスによって「酸化」と呼ばれる現象がおこります。酸化された脂肪は、犬にとって大きな健康被害をもたらし、様々な病気につながる恐れがあります。

そのため、肉を必要以上に加熱したり、保存期間が長くなると、脂肪の酸化が進み、犬にとってデメリットとなります。

「生肉」が犬に好ましいとされる理由の一つは、「脂肪の酸化を防ぐ」という観点があります。

3)タンパク質のアミノ酸バランス

「タンパク質」も、肉から得られる重要な犬の栄養素です。タンパク質は、犬の身体をつくり、日常生活・活力の素となります。

そして、犬にとって、栄養としてのタンパク質を考えるうえで大切なポイントが「アミノ酸バランス」です。タンパク質は、20種類のアミノ酸の連なりで作られています。犬が必要な各種のアミノ酸は、それぞれで必要量が決まっており、できる限り必要量にそったバランスで補給することが望まれます。

肉は、犬にとってアミノ酸バランスがとれているタイプの食材であり、消化しやすく栄養活用されやすいという特徴があります。

(※ただし、1種類の肉のみで、犬にとってのアミノ酸バランスを整えることは難しいです。複数の肉・魚や乳製品、卵、植物性タンパク質をミックスし、アミノ酸バランスを計算して与えることが望まれます。)

4)タンパク質の変性

肉に含まれるタンパク質も、加熱などにより劣化が進みます。加熱によりタンパク質が劣化する現象は「変性」と呼ばれています。

変性したタンパク質は、犬の消化が悪くなるばかりか、アレルギーの原因物質になり、腸内細菌バランスが崩れる要因ともなります。タンパク質の変性の点からも、肉を過剰に加熱することは、犬にとって好ましくありません

※「加熱した肉」VS「生肉」、犬にはどちらがベター?

以上のように、「脂肪の酸化」「タンパク質の変性」を考慮すると、肉は加熱せずに「生肉」のまま与えた方が、犬の健康には良いように思えます。実際に、栄養面からは、生肉が犬にとってベターです。

しかしながら、生肉には別の問題点があります。「感染リスク」です。全く非加熱の生肉には、犬に胃腸炎などの重篤なトラブルを引き起こしうる菌・寄生虫が潜んでいる可能性もあるのです。

そのため、「人間が食べても問題ないようなタイプの生肉」かどうか、チェックしてから犬に与えるようにしましょう。生肉として安全かどうか、確証が持てない場合は、過剰な加熱にならず感染リスクがない範囲で、適度に火にかけるにようにしましょう。

ドッグフードの肉に関係した原料について

ドッグフード

市販ドッグフードには、肉に関係した原料が多く使われています。ただ、この肉関連原料には、犬にとって好ましくないものもあります。この点、消費者の方にはわかりにくいポイントであるため、下記、整理してご案内します。

ドッグフードの危険な肉原料

まず、市販ドッグフードに記載されている原材料表示をチェックすることが重要です。その表示の中に、「肉粉」「肉骨粉」「肉副産物」「鶏脂」などの記載をよく見かけます。これらは、犬の健康上、要注意原料です。その他、「チキンエキス」「チキンパウダー」なども、「肉粉」と同じ可能性が高いです。

これらの肉原料が、どうして犬に良くないのでしょうか?

肉粉・肉骨粉が犬に良くない理由

まず、「肉粉」「肉骨粉」などは、粉にするプロセスで高熱がかかっていることが挙げられます。そのため、犬に好ましくない「脂肪の酸化」「タンパク質の変性」が進んだ肉原料になってしまいます。

さらに、肉粉にしてから保管時間が長くなるため、保存料を添加することになります。ところが、この時に使う保存料などは、ドッグフードの原材料表示に掲載されません。そのため、犬にとって悪質な原料なのに、「肉粉」という表示だけで済まされてしまうことになるのです。

肉副産物について

肉副産物」は、さらに何物なのか得体が知れません。人が食べることなどとんでもない原料であることが多く、もちろん、犬にとって好ましくありません。

鶏脂について

「鶏脂」は、犬の食いつきをよくしたり、脂肪分を足したり、フードを成型するためなどに使用されます。こちらも、「酸化した脂肪」であるため、犬の健康上好ましくない肉原料です。

ドッグフードで安心できる肉原料とは?

ドッグフードに使用されているものの中で、犬にとって安心できるお肉関連の原料は、「生肉」だけと言えます。ただし、「生肉」の鮮度はもちろん、ドッグフードの製造プロセスにも留意が必要です。

つまり、生肉をフレッシュな状態のまま製造にかけ、できるだけ高温加熱をさけてドッグフードを作ることが、犬にとっては理想です。私たちがお届けしている「犬心」は、そのような生肉の使い方・作り方をしていますし、最近は同じような製法のドッグフードも増えてきています。

(※ドッグフードの気になる原材料について、詳しくは「ドッグフードの気になる原材料」でご案内しています。)

犬にお肉・生肉、与え方

それでは、犬用の手作り食において、お肉・生肉の与え方をご紹介します。次の3ステップでお肉を与えることがお勧めです。

ステップ1)生肉の選択

まずは、犬に適したお肉を選びます。もちろん、生肉がお勧めです。犬の健康面から、低脂肪タイプの生肉が好ましいです。脂肪がついたタイプの生肉は、脂肪部分を落とすようにしましょう。

ステップ2)生肉の加熱

次に、生肉の加熱です。ここでのポイントは、「生肉の殺菌・殺虫」「加熱しすぎない」という2点です。犬の安全性・健康、両面に配慮して、生肉を適度に加熱してあげましょう。茹でても焼いても、どちらでも結構です。

ステップ3)お肉のカット・他の食べ物とミックス

仕上げに、犬がお肉を食べやすいサイズにカットします。(加熱前にカットしておいても構いません。)そして、お肉以外の食べ物とミックスし、犬の栄養バランスを考慮してあげましょう。

お勧めは、お肉5~6・穀物3・茹で野菜1~2ほどの割合です。この割合で犬に与えることで、おおよその栄養バランスをとることができます。お肉を市販ドッグフードに混ぜて与えることも、栄養や総合カロリーに問題が無ければOKです。

まとめ

  • 「肉食性が強い雑食動物」の犬にとって、肉をメインにすえる食事は栄養バランスをとりやすい。
  • 犬にお肉・生肉を与える際の注意点として、「高脂肪への注意」「脂肪の酸化」「タンパク質のアミノ酸バランス」「タンパク質の変性」の4ポイントがある。
  • 犬の栄養上、加熱した肉より生肉が好ましい。一方で、生肉には、感染リスクがあるため、適度に加熱して与える。
  • ドッグフードには、肉粉・肉副産物など、犬に良くない原料を含むものが多い。ドッグフードの原料としても、生肉を使用しており、製法にもこだわったタイプが好ましい。
  • 犬に肉を与える際、「生肉の選択」「生肉の加熱」「肉のカット・他の食べ物とのミックス」という3ステップがお勧め。
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犬の胃腸炎、治療と食事 https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/ichouen/ https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/ichouen/#respond Tue, 12 Sep 2017 02:12:16 +0000 http://dogfood-labo.com/?p=1077 急な下痢・嘔吐が見られる犬は、胃腸炎を発症していることがあります。

犬の胃腸炎は、食事を原因とすることが多いです。栄養バランスが悪かったり、食べ物による感染が中毒症状を起こしたり、といった原因です。つまり、犬の胃腸炎では、治療とともに食事原因をチェックし、対策をとらなければなりません。

このページでは、科学的な視点から、犬の胃腸炎の治療・食事対策などについて、ご案内します。

<目次>

犬の胃腸炎、症状・原因

犬の胃腸炎でよく見られる症状は、「下痢」「嘔吐」「血便」「食欲不振」「元気の喪失」などです。特に、「水下痢」「液状便・液体便」「小腸性下痢」などと呼ばれる、水のような下痢を伴うことが特徴的です。また、急に症状が現れる、急性胃腸炎が犬では多く見られます。発熱を伴う脱水症状にも要注意です。

犬の胃腸炎の原因

犬の胃腸炎の原因は多岐にわたるため、診断で確定させることは困難を伴います。よくある犬の胃腸炎の原因としては、下記が挙げられます。

  • 高脂肪の食事、肉食に偏りすぎたこと(栄養のアンバランス)
  • 生ごみや腐敗物を食べたこと
  • 胃腸を傷つけるものを飲み込んだこと
  • サルモネラ菌など、有毒微生物(細菌・ウィルス・真菌・寄生虫)の感染
  • 腸内細菌の異常繁殖

これら胃腸炎の原因をチェックしながら、犬の状態が「自然に治るものなのか」「命に関わる症状なのか」を判別することが大切です。もし、犬の胃腸炎の症状が「命に関わる」のであれば、血球数や糞便の検査をはじめ、より厳密な診察を行い、できるだけ迅速に治療を行うことが望まれます。

胃腸炎の治療法

犬の胃腸炎の治療は、できる範囲で上記の「原因」にもとづくことが好ましいです。

例えば、サルモネラ菌の感染が胃腸炎の原因となっているのであれば、菌に対する抗生剤(抗生物質)を投与しながら、胃腸を保護するお薬を併用する、などが考えられます。また、抗生剤により、犬の腸内善玉菌も抑えてしまうことが考えられるため、ビオフェルミンなどの整腸剤もしばしば併用されます。

いずれにしても、抗生剤・炎症を抑えるステロイド・胃腸の粘膜を保護するお薬・ビオフェルミンなどの整腸剤・脱水症状や栄養失調の対策(点滴など)、そして、これらの治療とともに「食事対策」を検討することが犬の胃腸炎には大切です。

胃腸炎の食事対策、4つのポイント

犬の食事対策

それでは、治療とともに実施すべき「犬の胃腸炎の食事対策」を見ていきましょう。4つのポイントにまとめてご案内します。

1)良質な脂肪&適切なカロリー

高脂肪に偏りすぎた食事は、犬の胃の運動性が低下し、食べ物が胃に止まりやすくなります。食べ物が胃に止まると、消化負担が増え、胃腸炎の犬には好ましくありません。そのため、胃腸炎の犬には、高脂肪するぎる食事を与えるべきではありません。

一方で、脂肪は、犬にとって濃厚なカロリー源です。つまり、ある程度の脂肪を含む食事は、少ない量でも犬の必要エネルギーを満たすことができるため、胃腸への負担を和らげます

そのような観点から、胃腸炎の犬には、多すぎず・少なすぎない、中程度の脂肪量を与えることがポイントとなります。そのうえで、できる限りフレッシュで良質な脂肪を適量与えることができれば、犬の胃腸炎にも良い影響を及ぼします。

2)高消化性

胃腸炎の犬では、消化器の負担を減らしながら、しっかりと栄養補給を行うことが重要です。そのため、できるだけ各栄養素が消化しやすいタイプのものであることが望まれます。犬の胃腸炎では、十分に「高消化性」の食事・ドッグフードを選択することが大切です。

3)犬の胃腸炎に合った食物繊維

食物繊維は、犬の胃腸に次のような好影響を及ぼします。

  1. 食べ物の胃での滞留時間の変化
  2. 腸の運動性・消化物の移動スピードの正常化
  3. 胃腸内の毒素を薄める
  4. 過剰な水分を保持する
  5. 腸内細菌バランスのコントロール
  6. 強すぎる胃酸を緩衝する

一方で、「犬に不適切な食物繊維は、食べ物の消化を悪くする」というデメリットもあります。そのため、適量かつ犬に合った食物繊維を与えることが、胃腸炎対策のポイントとなります。

しかし、食物繊維の適量については、胃腸炎の症状などにより、犬の個体差があります。そのため、「高食物繊維タイプの食事」「低食物繊維でより消化しやすい食事」のどちらが合っているのか、胃腸炎の症状を見極めながら犬の個体ごとに検討しなければなりません。

(※食物繊維について、詳しくは「犬と食物繊維の相性」をご覧ください。)

4)ミネラルバランス(脱水対策)

胃腸炎の犬では、異常な下痢・嘔吐がみられるため、脱水症状をケアすることが必要です。適切に水分を補うことはもちろん、ナトリウム・カリウム・クロールといった、主なミネラル成分をコントロールすることもポイントとなります。

胃腸炎の犬において、食事中の適切なミネラルバランスは、ナトリウム0.3~0.5%・カリウム0.8~1.1%・クロール0.5~1.3%が目安となります。

※乳酸菌など腸内善玉菌を増やすことについて

乳酸菌・ビフィズス菌など、犬の腸内善玉菌を増やすことも、中長期的な胃腸炎対策に有効です。ただ、犬の胃腸炎は急性症状であることが多いため、時間のかかる乳酸菌・善玉菌のアップ対策は、追いつかないケースが一般的です。また、善玉菌であっても、乳酸菌サプリメントなどで多量に取り入れすぎると、胃腸炎の犬には刺激となって下痢症状などが悪化することもあります。

そのため、特に急性胃腸炎の犬では、症状の予後管理のために乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸菌を増やす対策をとることが良いでしょう。

(※胃腸炎以外の犬の消化器トラブル対策については、「犬の下痢嘔吐、治療と食事」で詳しくご案内しています。)

まとめ

  • 犬の胃腸炎では、下痢・嘔吐・血便・食欲不振などの症状が見られる。その中でも、水下痢・液体便が特徴的。
  • 犬の胃腸炎の原因は、食事や感染など多岐にわたる。原因を特定することは困難なこともあるが、「命に関わる症状なのかどうか」を診断し、犬の胃腸炎症状に合った治療を施すことが大切。
  • 犬の胃腸炎の治療方法として、抗生剤・ステロイド・粘膜保護・整腸剤などが挙げられる。
  • 胃腸炎の犬の食事は、「良質な脂肪&適切なカロリー」「高消化性」「胃腸炎に合った食物繊維」「ミネラルバランス」が重要。
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犬の大腸炎、治療と食事 https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/daichouen/ https://dogfood-labo.com/inu-byouki-taisaku/daichouen/#respond Fri, 08 Sep 2017 10:34:38 +0000 http://dogfood-labo.com/?p=1069 下痢や血便など、犬の消化器トラブルで多い病気の一つに「大腸炎」があります。

犬の大腸炎は、原因が多岐にわたる複雑な疾患です。そのため、治療方法も大腸炎の症状・原因にあわせたものでなければなりません。

このページでは、科学的な見地から、犬の大腸炎の「治療」と「食事」について、詳しくご案内いたします。

<目次>

犬の大腸炎、症状・原因

犬の大腸炎といっても、様々な原因があります。症状としては、大腸性下痢・血液便といったところが一般的ですが、根本的な原因を突き止めることができないケースも多いです。

まずは、「愛犬が本当に大腸炎なのか、症状をチェックする」ことが大切です。そして、可能な限り大腸炎の原因を突きとめることで、その後の治療や食事対策も進めやすくなります。そこで、犬の大腸炎の症状・原因をまとめましたので、見ていきましょう。

(※犬の下痢嘔吐など、大腸炎を含めた消化器トラブル全般については、次のページで詳しくご案内しています。→「犬の下痢嘔吐、治療と食事」)

大腸炎の症状

犬の大腸炎の症状は、「大腸性下痢」が見られる特徴があります。犬の大腸性下痢は、次のような症状が一般的です。

  • 下痢が続くものの、排便時には出しにくそうな仕草が見られる(下痢と普通便を繰り返すこともある)
  • 犬が切迫した排便の姿勢をとる
  • 粘膜や血液便を排出する(血が混じった血便というよりは、血液そのものを出すような傾向がある)

このあたりは、小腸にトラブルを抱える「小腸性下痢」とは異なる症状となります。

(※犬の下痢の種類については、「犬の下痢 4つのタイプ」で詳しくご案内しています。)

大腸炎の原因

犬の大腸炎の原因として、大きくわけると「食事」「感染」「腸内細菌バランスの異常」などが挙げられます。

原因①食事

「肉食」「高脂肪」に偏りすぎた食事は、犬の大腸炎の原因となります。質の悪い脂肪・タンパク質が大腸内で腐敗をおこし、炎症につながることが要因です。さらに、食物繊維が少なくなると大腸内の細菌バランスを崩してしまい、大腸炎の症状を促進させます。

また、異物やゴミなどを食べることによる物理的なダメージや中毒症状が、犬の大腸炎発症の原因となるケースもあります。

原因②感染

感染を原因とする、犬の大腸炎も多種多様です。細菌・真菌・ウィルス・寄生虫など、様々な感染源により大腸炎を発症します。

原因③腸内細菌バランスの異常

原因の①や②に付随することでもありますが、大腸内の細菌バランスが崩れ、大腸炎を発症していることも多いです。つまり、犬の腸内善玉菌よりも悪玉菌が異常繁殖している状態です。最近の研究では、ほとんどの犬の大腸炎において、腸内細菌バランスの乱れが見られるという報告もなされています。

大腸炎の治療方法

治療

犬の大腸炎の治療方法は、できる限り原因を特定し、それに応じた対処をとることが望まれます。例えば、「感染」に原因がある場合、問題となっている菌種を見極め、それに対する抗生剤(抗生物質)を投与する、などの治療が挙げられます。

実際のところ、犬の大腸炎では複数の原因が絡んでいることも多く、総合的に治療にあたることが望まれます。以下、原因ごとの大腸炎の治療方法をまとめました。

治療①「食事」が原因のケース

全ての大腸炎の犬に共通する「食事対策」については、後述します。ここでは、特に「食事が主原因」となっている大腸炎について、治療方法をご案内します。

まず、肉食・高脂肪食に偏り過ぎている犬では、食事内容のバランスを改める必要があります。そのうえで、腸内細菌の状態などを見極め、整腸剤や抗生剤・粘膜の保護などを検討します。治療も大切ですが、大腸炎の原因となっている「食事」の改善に努めることがポイントです。場合によっては、犬の絶食を検討することも一つの選択肢です。

治療②「感染」が原因のケース

菌や寄生虫の感染が原因となっている大腸炎の場合、どのような種類の菌・虫なのか、できれば特定したいところです。そのうえで、感染微生物に対する抗生剤などを投与することで、犬に負担が少なく、大腸炎を治療することができます。また、犬の大腸炎の炎症を抑えるために、ステロイドを投与することもあります。抗生剤やステロイドの使用は、腸内善玉菌を抑えこむことにつながるため、合わせて整腸剤なども検討されます。

治療③「腸内細菌バランスの異常」が原因のケース

腸内細菌バランスが崩れると、犬の腸表面の粘膜組織が壊れ、悪玉菌の侵入を許すことになります。このことが、犬の大腸炎を悪化させる要因の一つです。

腸内細菌バランスの異常を原因とする場合、どのような乱れ方をしているのか、菌の傾向をつかむことが望まれますが、検査・診断により、犬の大腸内の状態を検知することは困難が伴います。そのため、犬の状態を見極めながら、ビオフェルミンをはじめとする整腸剤・粘膜の保護剤・抗生剤・ステロイドなど、複数の治療方法を検討することになります。また、犬の食事を含めた、中長期的な大腸炎対策を進めることも大切です。

大腸炎の食事対策、5つのポイント

犬の食事対策

それでは、犬の大腸炎の食事対策について、5つのポイントに分けてご案内します。

1)高・食物繊維

犬の大腸炎では、食物繊維の含有量を多くした食事が有効であるケースが多いです。そして、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよくミックスし、食事全体の7%ほどを食物繊維が占めるようなバランスが「犬の大腸炎には良い」、という報告がなされています。

食物繊維のメリット

犬の大腸炎への食物繊維のメリットとして、次のような要素があります。

  1. 腸の運動性をよくし、未消化物の腸の通過時間を正常化する
  2. 腸内の毒素を薄め、無毒化する
  3. 過剰な水分を貯めこんでくれる
  4. 腸内細菌バランスの正常化
  5. 犬の大腸細胞へのエネルギー供給

これら食物繊維の有用性により、犬の大腸炎をケアすることができます。

(※食物繊維について、より詳しくは「犬と食物繊維の相性」をご参照ください。)

2)高消化性のタンパク質

必要十分な量のタンパク質を効率よく消化できることも、犬の大腸炎にはプラスに働きます。

大腸炎の犬は、病気を抱えているとはいえ、タンパク質の必要量は健康なワンちゃんと同じレベルにあります。一方で、大腸にトラブルを抱えていることもあり、消化吸収に負担をかけることは避けなければなりません。また、タンパク質の消化が悪いと炎症を増長したり、アレルギーの一因ともなりえます。そのため、消化の良いタンパク質をしっかり補給することが、犬の大腸炎の食事には大切です。

3)良質な脂肪

大腸炎の犬では、脂肪の消化吸収システムが一部破綻しているケースがあります。大腸内で未吸収の脂肪に対して、腸内細菌が作用し、「ヒドロキシ脂肪酸」という犬にとっての毒素が排出されることがあるのです。

そのため、大腸炎の犬では、高脂肪をさけつつ「脂肪の質」を良くし、吸収されやすいフレッシュな食事を与えることが要求されます。

4)ミネラルバランス

大腸炎に限らず、慢性下痢の犬は脱水症状に陥りがちです。そして、水分とともに、ナトリウム・クロール・カリウムといったミネラル成分のバランスが崩れた状態にあります。そのため、大腸炎の犬では、ナトリウム・クロール・カリウムのバランスに配慮した食事が求められます。

5)腸内善玉菌をアップ

最近の研究により、犬の大腸炎では、腸内細菌の乱れが顕著であることが理解されるようになってきました。一部の悪玉菌が異常増殖し、善玉菌が劣勢に立たされているケースが見られます。そのため、犬の腸内善玉菌を増やすような食事内容が望まれます。

腸内善玉菌を増やす工夫とは?

乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸菌など、犬の腸内善玉菌を増やすためには、「善玉菌を取りいれ生きて大腸まで届ける」「犬の腸内に住む善玉菌をアップさせる」という2つの工夫が挙げられます。いずれも、犬の大腸炎に有効です。

善玉菌を生きて大腸まで届ける方法

善玉菌を生きたまま犬の大腸まで届けることは、簡単ではありません。ほとんどの乳酸菌・ビフィズス菌は犬の胃酸により死滅してしまいますし、多くの善玉菌は酸素に触れるだけで死んでしまいます。そのため、「生きて大腸まで届くタイプの有胞子性乳酸菌や枯草菌を活用する」「大腸まで届くコーティング加工を施したサプリメントを利用する」などの方法が対策として考えられます。

犬の大腸内に住む善玉菌をアップさせる方法

もう一つ、もともと犬の大腸内に住んでいる善玉菌をアップさせることも重要です。そのために、善玉菌のエサとなり悪玉菌には利用されにくい成分「発酵性食物繊維」「難消化性炭水化物」「オリゴ糖」などを、犬の食事に加えることが有効です。実際に、犬の大腸炎の治療現場でも、これらの成分を増量することにより、有効な治験が得られています。

まとめ

  • 犬の大腸炎では、「大腸性下痢」という症状がみられる。
  • 犬の大腸炎の原因として「食事」「感染」「腸内細菌バランスの異常」などの原因が挙げられる。
  • 犬の大腸炎の治療では、原因を見極めながら、整腸剤・抗生剤・ステロイド・粘膜保護剤・食事などの対策を検討する。
  • 大腸炎対策の食事のポイントとして、「高食物繊維」「消化の良いタンパク質」「良質な脂肪」「ミネラルバランス」「善玉菌アップ」が犬に有効。
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犬にビオフェルミン(整腸剤)の効果 https://dogfood-labo.com/shoujou/bioferumin/ https://dogfood-labo.com/shoujou/bioferumin/#comments Fri, 08 Sep 2017 04:25:36 +0000 http://dogfood-labo.com/?p=1064 下痢などの消化器トラブルが続く犬には、動物病院で「ビオフェルミン」などの整腸剤が処方されることがあります。また、飼い主さんの判断で、ビオフェルミンを犬に与えることもあるでしょう。

実際のところ、犬にビオフェルミン(整腸剤)は効果的なのでしょうか?

このページでは、科学の知見をもとに、犬にビオフェルミンを与える効果などについて、ご案内します。

<目次>

犬にビオフェルミンが良い理由

サプリメント

そもそも、ビオフェルミンとは何でしょうか?

ビオフェルミンは、乳酸菌などの腸内善玉菌を原料とした整腸剤です。医薬品や指定医薬部外品として認可されており、確かな整腸剤としての効果が立証されています。

そして、人だけではなく犬にもビオフェルミンはお勧めできます。理由として、犬と人の腸内細菌には類似点があり、人で整腸剤として優れているビオフェルミンは、犬にも良いことが考えられるためです。

(※乳酸菌について、詳しくは「犬への乳酸菌の効果を高めるコツ」をご覧ください。)

ビオフェルミンの種類・比較

ビオフェルミンと言っても、幾つかの種類があります。「動物用ビオフェルミン」を含め、犬に使えそうなシリーズ商品をご紹介します。

1)新・ビオフェルミンS

「人にはヒトの乳酸菌」などのCMで有名な、ビオフェルミンシリーズの代表的な商品です。

性質の異なる3種の乳酸菌・ビフィズス菌を配合し、小腸から大腸まで、善玉菌を定着させることを意図しています。犬の腸内にも定着してくれるかどうかは実証されていないようですが、効果は期待できると思います。

2)ビオフェルミンVC

乳酸菌を主とするラクトミンと呼ばれる原料やビフィズス菌に、ビタミンC・B2・B6を配合した商品です。気味でお腹が張る人に対して、有用なビオフェルミンとのことです。犬の便秘などに良いかもしれませんね。

3)動物用ビオフェルミン

2種類の乳酸菌が配合されています。ただ、新ビオフェルミンSに比べて商品化されたのが古く、乳酸菌の種類が2種類のみということもあり、「動物用ビオフェルミン」より「新ビオフェルミンS」の方が犬にも良い、という噂があります。この点、どちらのビオフェルミンが犬に好ましいのか、検証データが見当たらないため、何とも言えないところです。

4)ビオフェルミンR

もう一つ、抗生剤(抗生物質)との併用で有効な「ビオフェルミンR」にもふれておきます。

慢性下痢をはじめとする犬の消化器トラブルでは、抗生剤を治療に活用することも多いです。ところが、抗生剤は悪玉菌のみならず、犬の腸内善玉菌をも抑え込んでしまいます。これでは、中長期的な犬の健康に好ましくない面もありますが、ビオフェルミンRは、抗生剤との併用でもOKな商品です。つまり、抗生剤への耐性がある乳酸菌を活用しており、治療によっては犬にも効果を発揮すると考えられます。

犬の整腸剤、ビオフェルミン以外の選択肢

ビオフェルミン以外にも、犬に使えそうな整腸剤はあります。代表的な整腸剤をご案内します。

①ミヤリサン

ビオフェルミンとは異なる善玉菌「酪酸菌」を含む整腸剤です。ミヤリサンに含まれる酪酸菌は、犬の腸内でも有用性が知られるようになり、大きな注目を集めています。(参考文献:「イヌ・ネコの腸内細菌と健康」ペット栄養学会誌, 2004

ミヤリサン内の酪酸菌は、犬の大腸で食物繊維や難消化性炭水化物を発酵し、「短鎖脂肪酸」という有用物質を作ることなどで健康に寄与します。ミヤリサンは、ビオフェルミンとの作用機序が異なっており、犬での併用による相乗効果なども期待できます。

②ビオイムバスター

生きて犬の腸まで届く「有胞子性乳酸菌」と総合消化酵素「パンクレアチン」を含む、動物用医薬品の整腸剤です。ビオフェルミンとは異なる善玉菌を使っており、生きて犬の腸まで届く確率が高い整腸剤です。一方で、有胞子性乳酸菌は、犬の腸内に定着するタイプではないため、継続的に与えることがお勧めです。犬の食欲不振や消化不良、下痢などに使用するとのことです。

③ディアバスター

腸内善玉菌は含まず、5種の有効成分により、犬の胃腸を整えるタイプの動物用医薬品です。犬の下痢症状を改善する整腸剤とされています。

※犬の下痢・消化器トラブル、整腸剤以外の対策

このページでは、ビオフェルミンをはじめとする犬でも使える「整腸剤」について、ご案内してきました。一方で、犬の下痢をはじめとする消化器トラブル対策には、整腸剤以外にも有用な対策があります。善玉菌サプリメントも良いですし、犬の食事・ドッグフードによる対策も非常に重要です。

整腸剤以外の、食事などによる犬の消化器トラブル対策については、次のページで詳しくご案内していますので、合わせてご参照ください。→「犬の下痢嘔吐、治療と食事

まとめ

  • ビオフェルミンをはじめとする整腸剤は、犬でも有用。その理由として、犬と人の腸内細菌には共通点があり、人で良い整腸剤は犬にも効果が期待できるため。
  • ビオフェルミンには、配合される乳酸菌や成分により、犬にも利用できそうな複数の商品がある。
  • ビオフェルミン以外にも、犬にお勧めでき、違った特徴をもつ整腸剤がある。また、整腸剤の他、善玉菌サプリメントや食事も、犬の下痢などの対策に重要。
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