犬の尿毒症、治療と食事療法

病気の犬

犬の尿毒症は、腎臓病・腎不全の「進行ステージ4」で顕著となる病態です。BUN・クレアチニンといった数値が高くなり、末期腎不全の症状がみられ、余命告知を受けるケースも少なくありません。

犬が尿毒症になってしまうと、完治は難しくなりますが、ワンちゃんに負担がかからないよう、できる限り寿命を長くするための「治療」「食事療法」が望まれます。

このページでは、腎不全・ステージ3以前の早期対策についてふれるとともに、犬が尿毒症になってしまったときの治療方法・食事療法について、ご案内します。

<目次>

犬の尿毒症、よく見られる症状

尿毒症とは、腎臓機能の低下により体内毒素などを尿として適切に排泄できない病態であり、深刻な全身症状をきたします。犬が尿毒症となったときには、腎臓病・腎不全の進行ステージ4の段階に達しており、末期症状に陥っています。

尿毒症で見られる症状には、次のようなものが挙げられます。

  • 食欲不振、嘔吐(下痢)
  • 元気がない
  • 独特な口臭(尿のようなアンモニア臭)
  • 身体のむくみ
  • 低体温
  • けいれん
  • 薄い色の多尿、尿が出ない(末期症状)

尿毒症におけるBUN・クレアチニンの数値変動

犬の腎臓病・腎不全をチェックする指標として、血液検査の「BUN(尿素窒素)」「クレアチニン(Cre)」、尿検査の「尿比重」「尿タンパク」などが挙げられます。

尿毒症が見られる「腎臓病ステージ4」の段階では、BUN・クレアチニンの数値が非常に高くなるとともに、重度な尿タンパク、高血圧などが生じることが一般的です。例えば、クレアチニンは5.0㎎/dlを超えるような高値になります。

尿毒症を含む、腎臓病4ステージ

犬が尿毒症になってしまうと、腎臓機能の90%以上が失われていることも考えられ、余命を覚悟しなければならない状態です。そのため、尿毒症になる前段階で、できるだけ早期に腎臓病を見つけ、対処することが望まれます。

そこで、犬の腎臓病の進行をチェックする上で目安になるのが「4つのステージ」です。下記、犬の腎臓病・4つのステージをご案内します。

ステージ1

BUN・クレアチニンといった数値に大きな異常は見られませんが、犬の腎機能の障害は少しずつ進んでいる段階です。生検等で腎障害を確認することも可能ですが、ステージ1で腎臓病が特定されることは非常に稀です。

ステージ2

BUN・クレアチニンが少し高くなってきます。犬に軽い腎不全の徴候が見られるようになり、蛋白尿や高血圧が現れることもしばしばです。目安として、クレアチン値1.6~2.8mg/dlが定義されています。

ステージ3

腎不全の症状がはっきりと見られるようになる段階です。ステージ3で初めて腎臓病と確定されることもよくありますが、すでに腎機能の75%以上が障害を受けている状態にあり、治療と食事療法が必須です。

ステージ4

ステージ4の段階では、高BUN・高クレアチニンが顕著となるとともに、尿毒症がしばしば発症します。犬の症状にも、重度の腎不全・尿毒症の徴候が見られるようになります。

(※犬の腎臓病全般について、詳しくは「犬の腎臓病 症状にもとづく治療・7ポイントの食事療法」や「犬の腎不全、治療と7ポイントの食事療法」でご案内しています。)

犬の尿毒症、治療方法

犬の尿毒症では、完治にいたるようなことは望めません。犬の負担を軽くしながら、できるだけ余命を長くできるよう、対処的な治療を行うことになります。

こちらでは、尿毒症を含めた末期症状の腎不全について、治療方法をご紹介します。

①脱水状態の補正

尿毒症が見られる犬において、脱水対策は重要かつコントロールが難しい面があります。単に水分を補給するだけではなく、塩分バランスの調整など、尿毒症の対処療法とともに実施しなければなりません。また、尿路感染や尿路閉塞が見られる場合、その治療を行うことで、尿毒症の水分コントロールがうまくいくケースもあります。

②食事療法

低タンパク質・低塩分を中心とした「食事療法」は、尿毒症をはじめ、犬の腎臓病で「治療」とともに両輪となる対策です。食事療法については、次の項で詳しくお伝えします。

③嘔吐への対処

尿毒症を伴うステージ4の腎不全では、極度な食欲不振とともに、犬に嘔吐や吐き気が見られることもしばしばです。腎不全に応じた用量に留意しながら、嘔吐対策の薬が使用されることも一般的です。

(※嘔吐への対策について、「犬の嘔吐と食事対策」もご参照ください。)

④カリウム調整

慢性腎臓病の犬では、体内カリウムのバランスが崩れていることがあります。その場合は、クエン酸カリウムの投与などが行われます。

⑤高リンへの対処

尿毒症・腎不全の犬では、血液中のリン濃度が高まる「高リン酸血症」の状態が一般的です。そのため、リンを制限した食事療法とともに、リン結合薬の投与も検討されます。

⑥高血圧対策

尿毒症の犬では、高血圧が顕著なケースも多いです。そのため、エナラプリル・アムロジピンなどの抗高血圧薬が投与されることもあります。

⑦貧血対策

尿毒症の犬は、貧血に悩まされることもよくあります。その場合、エリスロポエチン系の貧血対策の治療薬などが投与されます。

尿毒症の食事療法7つのポイント

犬の食事対策

腎臓病に対応した「食事療法」は、犬の尿毒症にも有用です。

ただ、尿毒症になっている犬は、極度な食欲不振に陥っているケースが多く、食事療法の実践が難航することもあります。下記7ポイントの栄養内容で給餌するとともに、しっかり食べれるような、美味しさの工夫も望まれるところです。

①低タンパク質

尿毒症の犬は、タンパク質(窒素源)の代謝に大きな問題を抱えている状態にあります。そのため、タンパク質を少なく制限した食事が望まれます。

②低リン

尿毒症をはじめとする腎不全の犬は、体内にリンが異常貯留しているため、食事中のリン量を少なくしなければなりません。

③低ナトリウム&クロール

ナトリウムおよびクロールの量についても、尿毒症の犬では制限することがポイントとなります。

④カリウム調整

食事中のカリウム量を適切に調整することが、犬の尿毒症では求められます。

⑤オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の増量

DHA・EPAといったオメガ3脂肪酸を増量し、オメガ6脂肪酸よりも優位なバランスに調整することもポイントとなります。

⑥抗酸化物質の補給

犬の腎臓障害は、酸化ストレスが一つの原因となります。そのため、酸化を防ぐビタミンCビタミンEなどの抗酸化物質が、尿毒症の食事療法にも有用です。

⑦水分補給

治療のところでお伝えした「脱水対策」に付随し、水を飲める環境を作ってあげることも大切です。

まとめ

尿毒症のワンちゃん達にとって、少しでも寿命を長くすることにつながるとともに、負担がかからないような対策として「治療方法」「食事療法」を中心にお伝えしました。ご不明な点など、お問い合わせいただければ幸いです。

このページでご案内した内容を下記にまとめます。

  • 尿毒症は、腎臓病・腎不全の末期にあらわれる全身症状である。
  • 尿毒症の犬では、BUN・クレアチニンといった腎臓関連の数値がとても高くなる。
  • 犬の腎臓病において、進行の目安となる4つのステージが定義されている。そのうち、尿毒症はステージ4で現れる病態である。
  • 犬の尿毒症の治療方法として、「脱水対策」「食事療法」「嘔吐への対処」「カリウム調整」「高リン対策」「高血圧の対処」「貧血の対処」などが挙げられる。
  • 犬の尿毒症の食事療法には、「低タンパク質」「低リン」「低ナトリウム」「カリウム調整」「オメガ3脂肪酸増量」「抗酸化物質補給」「水分補給」の7ポイントがある。

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