犬にピーナッツをお勧めできない理由

ピーナッツ

犬にピーナッツを与えることは、お勧めできません。

動物栄養学の観点で、ピーナッツには犬に合わない要素があります。

このページでは、犬にピーナッツをお勧めできない理由について、ご案内します。

<目次>

犬にピーナッツ、良くない3つの成分

ピーナッツは、犬にとって多量摂取が好ましくない3つの成分を含んでいます。下記3つの成分は、ピーナッツをはじめとする豆類に特徴的なものであり、犬が多量に取りいれるとトラブルの原因になる恐れがあります。

①レクチン

ピーナッツに含まれる「レクチン」は、犬の腸にくっついてしまう成分です。レクチンにより、犬の腸にくっつきがちなピーナッツは、栄養素の吸収をブロックしてしまったり、下痢など消化器トラブルの原因にもなります。

②サポニン

ピーナッツ成分「サポニン」は、天然の界面活性剤として作用します。サポニンは、脂質を溶かしてしまう力があり、犬の腸表面の細胞膜の炎症要因となります。

③フィチン酸

「フィチン酸」は、抗酸化力などの機能性を有する成分ですが、ミネラルの吸収を阻害するなどネガティブな要素もあります。ピーナッツは、フィチン酸を含んでおり、犬に必要なミネラルをブロックしてしまうリスクがあります。

(※豆類特有の3つのネガティブ成分について、次の「納豆」に関する記事でもお伝えしています。→「犬に納豆が良い理由」)

多量に与えると、どんなリスクが?

上記3つの成分により、ピーナッツを多量に与えると、犬の健康トラブルになる恐れがあります。どのようなリスクが考えられるのか、ご案内します。

栄養不良

まず挙げられるリスクが、犬の「栄養不良」です。

ピーナッツに含まれる「レクチン」による犬の腸での栄養吸収ブロック、「フィチン酸」によるミネラル吸収阻害、などが問題となりえます。

下痢など胃腸トラブル

ピーナッツのネガティブ3成分「レクチン」「サポニン」「フィチン酸」、いずれも犬の腸にダメージを与える可能性があります。そのため、ピーナッツを食べすぎると、犬は下痢などの消化器トラブルに見舞われることが考えられます。

(※犬の下痢嘔吐など消化器トラブルについては、「犬の下痢嘔吐、治療と食事」をご覧ください。)

アレルギー

ピーナッツ(落花生)は、犬のアレルギーを発症しやすい食べ物です。ピーナッツの消化吸収における問題が、アレルギー発症と関係しているのかもしれません。

少量のピーナッツはOK?

多量のピーナッツはNGだけれども、少量であれば、犬に与えることは良いのでしょうか?

少量のピーナッツであれば、大丈夫です。

理由は、ピーナッツのネガティブ成分「レクチン」「サポニン」「フィチン酸」は、少量であれば、むしろ犬にプラス効果が期待できるためです。これら3成分は、少ない量なら「整腸」「脂質代謝」「抗酸化作用」など、犬にとって機能的な力を発揮してくれることが考えられます。

ピーナッツの栄養成分

また、ピーナッツには犬にとって健康メリットとなる栄養成分も含まれています。

ビタミンE

ピーナッツは、最も多く「ビタミンE」を含む食べ物の一つです。ビタミンEは、体内の脂肪酸化を防ぐことで知られ、犬にたっぷり与えたい成分です。

(※ビタミンEについて、詳しくは「犬にとってのビタミンE」をご参照ください。)

レシチン

ピーナッツに含まれる「レシチン」は、犬の脳神経に関わる成分です。シニアのワンちゃんなどには、特に良い成分と考えられます。

抗酸化成分

ピーナッツには、犬の体内で抗酸化力を発揮してくれる成分が豊富に含まれています。先にお伝えした「フィチン酸」をはじめ、ポリフェノール系の「レスベラトロール」などもピーナッツ成分です。

(※ポリフェノールについて、詳しくは「犬にポリフェノールの是非」をご参照ください。)

ピーナッツを犬に与えるなら・・・

それでは、もし、犬にピーナッツを与えるなら、どのようなあげ方が良いのか、2つの方法をご紹介します。

方法1)少量のみにとどめる

大前提の方法となりますが、犬に与えるピーナッツは少量のみにとどめましょう。少量だけであれば、健康メリットが期待できます。

実際に、私たちの研究でも、ピーナッツをはじめとする豆類は、多量に与えると下痢など犬へのデメリットが見られるものの、少量のみなら腸内環境が良くなるなどのメリットが多いという結果が得られています。

方法2)茹でて与える

ピーナッツの食べ方を考えると邪道かもしれませんが、茹でて与えることも一つです。加熱により、ピーナッツのネガティブ成分が、ある程度毒性を失うためです。

また、ピーナッツの商品によっては、高塩分のものも存在しますが、茹でることにより塩分も抜けてくれます。ピーナッツを茹でて且つ少量にとどめることが、犬へのベストな与え方かもしれませんね。

まとめ

  • ピーナッツには、犬に良くない成分「レクチン」「サポニン」「フィチン酸」が含まれているため、多量に与えることはお勧めできない。
  • ピーナッツを多量に与えると、犬に「消化不良」「下痢など消化器トラブル」「アレルギー」などの健康被害リスクがある。
  • 少量のピーナッツであれば、犬への健康リスクも低い。そして、ピーナッツには、犬に良い成分「ビタミンE」「レシチン」「抗酸化成分」が含まれている。
  • ピーナッツは、「少量のみ」「できれば茹でて」犬に与えることがお勧め。

関連記事

  1. 犬に牛乳を与えても良い理由

  2. 豆乳

    犬に豆乳がお勧めできない理由

  3. グレープフルーツ

    犬とグレープフルーツの栄養学

  4. チーズ

    犬とチーズの栄養学

  5. スイカ

    犬にスイカは控えめに?!(動物栄養学の視点から)

  6. キャベツ

    犬にキャベツ、正しい与え方

  7. 日本酒

    犬に日本酒がNGな理由

  8. 食パン

    犬に食パン、与えない方が良い4つの理由

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)