犬に梨、3つの利点

梨

秋の味覚の一つ「梨」は、犬に与えても良いのでしょうか?

答えは「犬に梨はOK」です。

このページでは、動物栄養学や生化学の観点から、犬にとって梨のメリット・与え方などをご案内します。

<目次>

犬に梨、3つのメリット

梨は、他の果物と比べて、「ビタミン」量が非常に少なく、乳酸菌などの腸内細菌をアップさせる「水溶性食物繊維」がほとんど含まれていません。そのため、果物の中で、梨は栄養面での魅力に乏しいと言われることもあります。

そんな梨のどのような点が、犬に良いのでしょうか?

梨に含まれる栄養成分をチェックしながら、犬にとっての利点3ポイントをご紹介します。

①お通じ・利尿を良くする

梨に含まれる「ソルビトール」という成分は、犬の便を柔らかくする性質があります。また、梨に含まれる「不溶性食物繊維」は、便の水分とかさを増やす機能があります。そのため、便秘気味の犬や便の量が少なめのワンちゃんには、梨がお勧めです。

(※食物繊維について、詳しくは「犬と食物繊維の相性」をご参照ください。)

また、利尿作用のある「カリウム」を多く含んでおり、ストルバイト結石など、おしっこの量を増やすことが望ましい犬には、梨が有用です。

②消化を助ける

梨には、タンパク質分解酵素が含まれています。そのため、梨は、犬の食事・ドッグフードの消化をサポートしてくれる食べ物です。

③水分を補給する

犬は、水を飲むことが苦手な子も多いです。梨には90%近く水分が含まれており、犬の水分補給源としても力になってくれます。

梨の注意点

一方で、犬にとって、梨には要注意なポイントもあります。犬に梨を与える際に、注意すべき要素をお伝えします。

1)下痢のリスク

梨の成分「ソルビトール」「不溶性食物繊維」の影響により、犬が下痢をすることもあります。梨を過剰に食べると、犬の下痢リスクが高まりますので、注意しましょう。

(※犬の下痢については、「犬の下痢嘔吐、治療と食事」で詳しくご紹介しています。)

2)カリウム過剰

梨は、ミネラル成分「カリウム」が豊富です。利尿作用を発揮するなど、プラス要素のあるカリウムですが、腎臓病の犬では多く与えてはいけない成分であるため、要注意です。

※アスパラギン酸について

梨の特徴的な成分の一つに「アスパラギン酸」というアミノ酸があります。アスパラギン酸は、犬の必須アミノ酸ではなく、与えなくても問題ない成分です。(犬は、アスパラギン酸を体内で作ることができます。)

一方で、アスパラギン酸は、タンパク質合成に重要なアミノ酸であり、犬の体内タンパク質づくりに役立ちます。アスパラギン酸は、犬が過剰に摂取しても害がないため、梨のメリットとも言える成分です。

※血糖値アップのリスクについて

梨は、その甘さから、「犬の血糖値がアップしてしまうのでは?!」というイメージもあることでしょう。

しかし、犬の血糖値が高くなるリスクについて、梨は心配ないと言えます。理由として、血糖値アップの指標「GI値」に関し、梨は「低GI食品」に位置付けられることが挙げられます。GI値が低いほど、血糖値が上がりにくいため、糖尿病の犬であっても、少量の梨であれば与えても大丈夫と言えるでしょう。

洋梨の犬への適正

洋梨

ここまでは、いわゆる「和梨」についてご案内してきました。それでは、「洋梨(ラフランス)」について、犬ではどうなのでしょうか?

成分を見ると、和梨と洋梨(ラフランス)に大きな違いはありません。洋梨には、水溶性食物繊維が含まれている、という程度にすぎません。(水溶性食物繊維が含まれている分、洋梨は犬の乳酸菌・ビフィズス菌を増やしてくれる、という要素が少し加味されます。)

そのため、犬にとって洋梨は、和梨と同じようなメリット・注意点があると考えて良いでしょう。

梨の与え方

それでは、犬への梨の与え方をご案内します。特に難しいことはありませんが、梨のメリットを引きだし、注意ポイントをブロックできる、次の3ステップがお勧めです。

ステップ1)梨の選択

まずは、梨の選択です。和梨の品種として「幸水」「豊水」「二十世紀」などがありますが、成分に大きな差はないため、どれを選んでも問題ありません。もちろん、洋梨でもOKです。

ただし、未熟な梨は犬に好ましくありません。市販の梨で未熟なものはほとんど出回っていませんが、犬にNGな成分が残っている可能性もあるためです。

そのため、和梨・洋梨に関わらず、熟したものを犬に与えるようにしましょう。

ステップ2)梨のカット・調理

次に、犬が食べやすいサイズに梨をカットしてあげましょう。梨の繊維質は、犬にとって硬質な「不溶性食物繊維」であるため、大きすぎると下痢・嘔吐の原因となります。

犬の中には丸飲みしてしまう子もいるため、人が食べるよりも小さいサイズに梨をカットしてあげましょう。

なお、調理方法は、シンプルに生梨のまま与えることがお勧めです。理由として、加熱してしまうと、梨のメリットの一つ「犬の消化を助ける酵素」が失活してしまうためです。

ステップ3)少量のみ

そして、犬に与える梨は、あくまで少量にとどめるようにしましょう。梨の与えすぎは、犬がお腹を壊す原因になりかねません。おやつ替わりに、一口与える程度にとどめましょう。

まとめ

  • 犬にとって、梨には「お通じ・利尿を良くする」「消化を助ける」「水分補給」という3つのメリットがある。
  • 一方で、梨には「下痢リスク」「カリウム過剰」といった注意点も存在する。
  • 洋梨も和梨と大きな成分の違いはなく、犬に与えても問題ない。
  • 梨の犬への与え方は、「梨の選択」「梨のカット」「少量のみ」という3ステップがお勧め。

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