犬の肝臓病では、病気の進行に伴い、「肝臓サイズの変化(肝臓肥大・肝腫大・肝臓萎縮)」「黄疸」「食後の異常行動」といった特徴的な症状が見られることもあります。そして、そのような症状に先立ってALP・ALT・AST・GGT・ビリルビンなど、血液検査の数値が高くなる傾向が現れます。
犬の肝臓トラブルは、多種多様であり、症状や肝臓数値をチェックしながら、病態に合わせた治療・食事対策をとることが大切です。
このページでは、犬の肝臓病に関わる数値・症状のチェック方法をご案内しながら、病気内容に応じた治療・食事対策をご案内します。
<目次>
- 犬の肝臓病、特徴的な3症状
- 肝臓数値のチェック方法
- 犬の肝臓病、原因と進行パターン
- 肝臓病の種類と治療方法
- 犬の肝臓病、6ポイントの食事対策
- まとめ
犬の肝臓病、特徴的な3症状
犬の肝臓病ならではの特徴的な症状として、「肝臓サイズの変化」「黄疸」「食後の異常行動」の3つが挙げられます。ただし、これら3症状が見られるのは、一部の肝臓病にとどまり、なお且つ、ある程度進行してはじめて表面化してきます。
それでも、これら3症状は、犬の肝臓病診断で大切な所見となりますので、下記に概要をまとめます。
1)肝臓サイズの変化(肝臓肥大・肝腫大・肝臓萎縮)
肝臓病に伴い、犬の肝臓サイズが変化するケースがよくあります。特に肝臓肥大・肝腫大があると、触診で判断できることが一般的です。
犬に肝臓肥大・肝腫大が起こる原因として、静脈うっ血(血流障害で血がたまった状態)・炎症・腫瘍・結節性過形成(ふしのようなものが異常形成されること)・肝脂肪・グリコーゲン含量の増加、などが挙げられます。
2)黄疸
血液検査で「ビリルビン」数値が高くなるとき、黄疸症状が現れることがあります。
犬の黄疸は、白目が黄色くなってくることがわかりやすい症状です。しかし、目に黄疸が現れた時には、すでに肝臓疾患が重症化しているため、その前に「尿の色が濃くなっていないか」などをチェックすることが望ましいです。
黄疸が見られる犬では、「胆管閉塞」などの病状が考えられます。
3)食後の異常行動
犬の肝臓機能低下がひどくなると、「肝性脳症」と呼ばれる神経障害を発症することがあります。
肝性脳症は、血液中のアンモニアが多くなって有毒化し、神経が侵されてしまいます。そのため、食後にタンパク質代謝がうまくいかず、血中アンモニア濃度が増えたタイミングで「異常行動」が見られるケースがあります。
※肝臓病とは限らない、要チェック症状
犬の肝臓病では、上記3症状に加えて、次のような容体もしばしば見られます。
これらは、肝臓病に限った症状ではないため、他の疾患の可能性も考慮しながら、慎重に経過を見ることが望まれます。
肝臓数値のチェック方法
犬の肝臓病は、表面的な症状がわかりにくいため、血液検査の「肝臓数値」がとても大切です。
ただ、血液検査の項目は、飼い主さんにとってわかりにくいのではないでしょうか。そこで、犬の肝臓病が関わる数値について、簡単なチェック方法をご案内します。
①ALP
犬の肝臓トラブルの初期状態として、代表的なものに「胆汁うっ滞」があります。胆汁うっ滞は、胆のう・肝臓のどこかで胆汁の流れが滞っている病態です。
この「胆汁うっ滞」や「肝腫大」が見られる犬では、ALPの数値が高くなります。ALPの数値が1000を超えるような高値の場合、「胆管閉塞」など、より進行した症状も疑われます。
一般的に、ALPが正常値上限の3倍を超えると、より精密な検査が望まれるところです。
肝臓以外に関連したALP上昇
一方で、ALP数値の上昇は、肝臓とは異なるトラブル・病気に関連するケースも多々あります。
例えば、「クッシング症候群・糖尿病・甲状腺機能低下症など内分泌疾患」「肝臓以外の腫瘍」「消化器疾患」「腎臓疾患」「自己免疫疾患」などの犬において、しばしばALPが高い数値となるため、注意が必要です。
②ALT/AST(GPT/GOT)
ALPと合わせてチェックすべき検査項目として「ALT(GPT)」および「AST(GOT)」が挙げられます。
特に、「ALT」は肝臓に特異的な項目であり、犬の肝臓病診断では重宝されています。「AST」は、肝臓トラブルに限った指標ではないものの、ALTなどとの掛け合わせにより、病気を特定する際に役立ちます。
ALT・ASTが共に高値である場合、肝臓病の疑いが高まりますし、重症化しているケースもあります。
③GGT
GGTは、ALPと似た肝臓部位「胆管上皮」というところから産生される酵素を測定しています。
GGTはALPほど感度が高くはなく、通常、急性肝障害では数値上昇が見られません(急性肝障害では、ALPのみ上昇するケースが多いです)。
ただし、GGTは、ALPよりも肝臓限定、といった性質が強いため、GGT&ALPの両方が高くなった際は「胆管閉塞」「胆管炎」などより進行した病気が疑われます。
※その他、肝臓病が関わる検査数値
上記3種以外に、肝臓病で重視される検査として「ビリルビン(Bil)」「アルブミン(Alb)」「コレステロール(cho)」「グルコース(血糖値、Glu)」「尿素窒素(BUN)」「胆汁酸(TBA)」「リンパ球」などが挙げられます。
これらの検査数値を組み合わせて考慮することで、犬の肝臓病を絞り込むことができます。
数値・症状をトータルでチェックしたうえで、場合によっては画像検査(X線検査)・超音波検査・肝生検などを実施し、犬の病態が確定されることになります。
犬の肝臓病、原因と進行パターン
犬の肝臓病では、非常に多くの原因が考えられます。例えば、肝臓病タイプごとに、下記のような原因が挙げられます。
- 肝炎→「免疫異常」「ウィルス・細菌の感染」「薬物」「何らかの中毒」
- 血管障害が関係する肝疾患→「遺伝性」「門脈の血栓」「動静脈の滞り」
- 異物蓄積が問題となる症状→「銅中毒」「脂質代謝異常」「ステロイド誘発性」
- 胆管トラブル(胆管炎・胆嚢炎・胆石)→「細菌感染」「薬物」「ビリルビン」「コレステロール」「膵炎」
そして、多くの肝臓トラブルにおいて、共通した進行パターンがあります。原因とともに、犬の肝臓病の進行パターンを知ることは、中長期的な治療方針・食事対策にもプラスとなります。
肝臓病の進行パターン
犬の肝臓病・進行パターンとして、下記①~⑤の順番に起こることが散見されます。
①胆汁うっ滞
まず、犬の肝臓病の第一段階として「胆汁うっ滞」と呼ばれる症状が見られます。
胆汁うっ滞は、犬の胆のう・肝臓において、胆汁の流れが低下している病態です。この症状では、ALPなどの数値が上昇して現れます。
②黄疸
重度の胆汁うっ滞は、胆管閉塞などを招き、犬の「黄疸」症状となって表面化します。
③肝硬変・門脈高血圧
黄疸が起こると、肝臓の線維化が進み、「肝硬変」が見られるようになります。さらに、肝臓の血流にトラブルが生じ、「門脈高血圧」という部分的な高血圧が見られるようになります。
④腹水・門脈体循環シャント
門脈高血圧により、、肝臓に「門脈体循環シャント」が形成されるようになります。門脈循環体シャントとは、血液が肝臓に届かなくなる病態で、肝不全を招きます。
そして、門脈循環体シャントの形成とともに、犬に「腹水」が生じます。
⑤肝性脳症
門脈循環体シャントが悪化すると、肝臓が委縮し、「肝性脳症」を発症します。肝性脳症を発症した犬は、神経障害を有するようになり、異常行動が見られるようになります。
肝臓病の種類と治療方法
それでは、犬でよく見られる肝臓病の種類、そして、各病気の治療方法について、ざっとご案内します。
1)急性肝不全
「重金属をはじめとする中毒」「治療薬の副作用」「感染」「貧血など全身性の病気」などを原因に、犬の肝細胞が急激に広くダメージを受けると「急性肝不全」を発症します。
肝臓の数値検査の他、肝毒性物との接触がないかなど、原因を突き止めることが重視されます。もし、原因が特定できない場合は、肝生検を行うケースもあります。
急性肝炎の原因として、このところ増えているものの一つに、人間用のガムに含まれる「キシリトール」の中毒があります。キシリトールは、犬の低血糖や肝細胞壊死を引き起こすことが知られ、十分に注意しなければなりません。
急性肝不全の治療方法
原因に応じた治療が望まれるところです。
例えば、中毒や治療薬が原因となっている場合、それらを除去するための補液の投与などが行われます。
感染が原因なら抗生物質、全身性の病気が要因ならそれに応じた治療や栄養補給を実施します。
2)慢性肝不全
犬の慢性肝不全では、肝臓の再生を助ける治療が基本です。
慢性肝不全の治療例
例えば、「ケージレスト」と呼ばれる治療法では、ケージの中で犬に生活をしてもらい、活動を一時的に制限することで肝臓負担を避けるようなことを行います。
その他、輸液の補給や、後述する食事対策もポイントとなります。
そして、肝臓病の進行を防ぐために、抗炎症作用の「コルチコステロイド」や肝保護剤「ウルソデオキシコール酸」、肝線維化防止の「コルヒチン」などの治療薬投与も適宜検討がなされます。
慢性肝不全の合併症対策
また、肝臓の再生・保護だけではなく、リスクのある合併症対策を進めることも重要です。例えば「肝性脳症」「胃潰瘍」「血液凝固トラブル」「腹水」「細菌感染」などについて、下記のような対処を行わなければなりません。
- 「肝性脳症」対策として、食事のタンパク質制限・二糖類の補給、抗生物質の投与
- 胆汁酸濃度アップに伴う「胃潰瘍」対策として、治療薬の投与
- 「血液凝固トラブル」対策に、ビタミンKの補給・輸血・凍結血漿治療
- 「腹水」コントロールに、ナトリウム制限の食事・利尿薬の投与
- 「細菌感染」への対処として、抗生物質・抗炎症薬の投与
3)銅蓄積性肝障害
肝細胞に過剰の銅が蓄積することにより、肝炎が発症する病態です。発症しやすい犬種も報告されており、特にべドリントン・テリア、ウェスト・ハイランド・ホワイトテリアなどが代表犬種です。
銅蓄積性肝障害の治療方法
他の肝臓病では行われない治療方法として、トリエンチンなど「銅キレート剤」による銅の捕捉があります。銅キレート剤とは、銅をつかまえてくれる物質で、食事前に与えることにより効果が期待できます。この治療は、一生続ける必要があるとされています。
補助的に、「亜鉛」を添加することも有効です。亜鉛添加により、犬の腸で銅の排泄が促されることが知られており、肝臓の銅蓄積にも有用という報告があります。
合わせて、銅の含有量を制限した食事療法が望まれるところです。
4)門脈体循環シャント
犬の門脈体循環シャントでは、門脈と静脈の間に異常な通り道ができてしまった病態であり、肝臓に十分な血液が供給されなくなります。
門脈循環シャントは、先天性タイプ・後天性タイプ、両方があります。
門脈体循環シャントの治療方法
先天性タイプであれば、外科手術が治療の選択肢となります。後天性の場合は、外科治療が難しく、発症リスクのある「肝性脳症」を予防するために、食事管理が重視されます。
5)肝臓腫瘍・肝臓がん
犬でよく見られる肝臓の悪性腫瘍として、「転移性腫瘍」「リンパ腫」「血管肉腫」「肝細胞がん」「胆管がん」があります。肝臓腫瘍は、進行して初めて見つかるケースが多いです。
肝臓腫瘍・肝臓がんの治療方法
腫瘍が肝臓の一部のみに限って存在するケースを除き、手術による切除は困難です。また、リンパ腫を除き、化学治療(抗がん剤)も大きな効果は期待できません。
6)胆管閉塞
胆嚢・肝臓、それぞれから出ている管で合流する「胆管」が詰まってしまっている症状です。胆汁の流れが遮断されてしまい、数週間で深刻な肝臓障害が起こります。
胆管閉塞の治療方法
胆管閉塞の犬では、経腸および非経口の栄養補給とともに、手術を行うべきケースも多いです。また、膵炎・膵外分泌不全・炎症性腸疾患を併発している症例もあり、その場合は合併症の対策も進めることになります。
犬の肝臓病、6ポイントの食事対策
犬の肝臓病では、治療とともに食事管理が対策の両輪となります。6ポイントに分けて、肝臓病の食事対策を見ていきましょう。
①エネルギー(カロリー)、炭水化物、脂肪
肝臓病の犬では、エネルギー源をしっかり補うことが重要です。
- 肝臓再生に必要なタンパク質合成をサポートする
- 肝臓へのダメージ因子「アンモニア」産生につながる、組織の異化(体内タンパク質等が分解利用されること)を防ぐこと
これら2つの観点から、総合的なカロリーを十分に補給しなければなりません。
カロリー補給源「炭水化物」について
犬の肝臓病では、総合的なカロリーを補うために、「炭水化物」を十分に補給することが推奨されます。
特に、胆管閉塞や脳性肝症のワンちゃんでは、タンパク質・脂肪を制限する必要があるため、より多くの炭水化物を与えなければなりません。(※ただし、胆管閉塞・肝性脳症など、重度の肝疾患では、炭水化物の代謝にも異常が見られるケースもあり、無造作に炭水化物を増やすことも問題となりえます。)
肝臓病の犬において、可消化炭水化物を45~50%含んだドッグフード・食事療法食を与えることが望ましいです。
カロリー補給源「脂肪」について
「肝臓病の犬には、低脂肪食がお勧め」といった情報が散見されますが、正しくありません。「胆管閉塞」がなく、「脂肪代謝が問題となる病気」(高脂血症・脂質代謝異常症・膵炎・膵外分泌不全など)を併発していなければ、むしろ、肝臓病の犬では脂肪をしっかり補給することが大切です。(※胆管閉塞・脂質代謝異常の犬では、低脂肪が望ましいです。)
肝疾患における脂肪の役割として、「十分なエネルギー補給」「タンパク質の温存」「炭水化物代謝の負担軽減」「脂溶性ビタミンの吸収アップ」「必須脂肪酸の補給」「食いつきを良くする」といった点が挙げられます。
中でも、「オメガ3脂肪酸」という脂肪成分をしっかり補うことで、肝臓の炎症が緩和されることが期待できます。
②タンパク質、アミノ酸
主な栄養源の中で、肝臓病の犬にとって、代謝異常が最もはっきりしているものが「タンパク質」です。特に、血液中のアンモニアが多くなってしまうこと(高アンモニア血症)が問題となります。
そのため、肝臓病の犬では、「タンパク質の制限」「アミノ酸バランスの調整」などを施した食事が望まれます。
アミノ酸バランスについて
肝臓トラブルにより、犬の血液中のアミノ酸バランスに異常が見られるようになります。具体的には、「チロシン・フェニルアラニン・トリプトファン」の3種のアミノ酸が過剰になり、「ロイシン・イソロイシン・バリン」が比較的少ない状態となります。
そのため、「チロシン・フェニルアラニン・トリプトファン」が少なく、「ロイシン・イソロイシン・バリン」をやや多めに含むドッグフード・食事療法食を与えることが望まれます。
胆汁うっ滞を緩和する「タウリン」の重要性
システインというアミノ酸から作られる「タウリン」は、犬の肝臓病対策にとても大切です。
タウリンには、胆汁の代謝・排出を促す力があります。そのため、タウリンは、犬の肝臓病で広く見られる「胆汁うっ滞(胆汁の流れが滞る病態)」を緩和することが期待できます。
タウリンは、主に魚介類などに多く含まれる成分であり、ドッグフード・食事療法食に0.1%以上(乾燥重量での比率)含まれていることが望ましいです。
③ミネラル(塩分)
ナトリウムの制限
腹水・門脈高血圧・低アルブミン血症、などが見られる肝臓病のワンちゃんでは、ナトリウムの過剰摂取を避けなければなりません。
市販ドッグフード・食事療法食では、ナトリウム0.25%以下が推奨されています。
銅の制限
銅蓄積性肝障害の犬では、銅を制限した食事をとることが大切です。
併せて、銅キレート剤の投与、亜鉛との併用により、さらに銅の影響をコントロールすることが可能です。
亜鉛の補給
亜鉛は、肝保護作用を有する重要成分です。慢性肝炎や肝硬変の犬では、肝臓の亜鉛濃度低下が見られるケースも報告されています。
肝疾患の犬では、ドッグフード・食事療法食の中に200㎎/㎏の亜鉛を含むことが推奨されています。
鉄の調整
炎症性の肝疾患や胆汁うっ滞の犬では、肝臓の鉄量がアップすることが知られています。こういった病態を「鉄関連性肝障害」と呼ぶこともあります。
そのため、肝臓病対策ドッグフード内の鉄含量を80~140㎎/㎏の範囲に収めることが好ましいところです。
一方で、胃潰瘍を併発したり、肝疾患により出血が見られる場合、鉄不足になることもあります。そのため、上記範囲よりも少なすぎる鉄量にもリスクがあるため、注意が必要です。
④抗酸化物質
急性肝障害や慢性肝炎の発症時、「脂質の過酸化」が関与しているとされています。また、犬の肝臓病の進行にも、酸化障害が関係しています。
そこで、肝臓の酸化を防ぐ「抗酸化物質」を犬の食事に取り入れることが有効です。
ビタミンEとビタミンCは、お互いの相乗効果が知られる抗酸化物質です。犬の肝臓対策に、ビタミンE・ビタミンCを補給することが推奨されています。
⑤食物繊維
食物繊維の中で、「発酵性食物繊維」と呼ばれるタイプを増量することは、犬の肝臓病対策に有効です。
発酵性の食物繊維は、腸内細菌の増殖をうながし、腸内窒素物の量を減らすことに役立ちます。腸内窒素物は、血中に入ると高アンモニア血症などにつながるリスクがあり、肝臓病の犬には良くありません。
市販ドッグフードでは、発酵性食物繊維が3~8%含んでいることが望ましいです。また、オオバコ由来の「サイリウム」と呼ばれる繊維質を、サプリメントとして適量食事に追加することもお勧めです。
(※食物繊維については、「犬と食物繊維の相性」で詳しくご案内しています。)
⑥ビタミン
ビタミン類の不足は、慢性肝疾患の犬でよく見られる現象です。肝臓疾患により、ビタミンの吸収不良が起こるとともに代謝トラブルやビタミン必要量が増えることなども、原因と考えられます。
中でも、ビタミンKの欠乏は、肝臓病の犬でよくあります。そのため、ビタミンKをはじめとするビタミン類を食事でしっかり補給することが大切です。
まとめ
犬の肝臓病について、症状・検査数値・治療方法・食事対策など、ご案内しました。ご不明な点など、お問い合わせいただければ幸いです。
下記、このページ内容のまとめです。
- 犬の肝臓病特有の症状として、「肝臓サイズの変化」「黄疸」「食後の異常行動」がある。その他、必ずしも肝臓トラブルだけの症状ではない「食欲不振」「元気がない」「腹水」「嘔吐」「下痢」「多飲多尿」なども含めて、犬の所見をチェックする。
- 肝臓トラブルに関与する血液検査として、ALP・ALT/AST(GPT/GOT)・GGTが重要。その他、ビリルビン(Bil)・アルブミン(Alb)・コレステロール(cho)・グルコース(血糖値、Glu)・尿素窒素(BUN)・胆汁酸(TBA)・リンパ球などの数値もチェックし、犬の肝臓病の病態を診断する。
- 犬の肝臓病では、「胆汁うっ滞」→「黄疸」→「肝硬変」「門脈高血圧」→「腹水」「門脈循環体シャント」→「肝性脳症」という順番に進行することが一般的。
- 犬でよく見られる肝臓病として、「急性肝不全」「慢性肝不全」「銅蓄積性肝障害」「門脈体循環シャント」「肝臓がん・肝臓腫瘍」「胆管閉塞」が挙げられる。正確に病態を把握したうえで、各病気にあった治療方法をとることが大切。
- 犬の肝臓病の食事対策では、「十分なエネルギー補給(炭水化物・脂肪)」「タンパク質の制限・アミノ酸バランスの調整」「ミネラル調整」「抗酸化物質の強化」「発酵性食物繊維」「ビタミン調整」の6ポイントが重要。