犬に牛乳を与えても良い理由

■撮影用に作成した牛乳パックを使用しています。本物ではありません。イメージです。

「犬に牛乳を与えても大丈夫ですか?」という問い合わせをよくいただきます。
中には、「牛乳は良くないのに、犬に与えてしまっています・・・」と罪悪感を持っている飼い主さんもいるくらいです。

これらの質問やコメントにあるように、「犬に牛乳→NG」という認識をもつ飼い主さんが多いようです。

でも、犬の栄養学の視点からは、「犬に牛乳→OK!」です。
このページでは、「犬に牛乳を与えても、大丈夫。」というテーマでお話します。

<目次>

犬に牛乳、4つのメリット

牛乳は、ワンちゃんに様々な恩恵をもたらします。
中でも、次の4ポイントは、犬の健康にプラスとなる要素です。

1)善玉菌アップ

牛乳は、善玉菌のエサとなりやすく、悪玉菌には利用されにくい素材です。
つまり、犬の腸内を善玉菌優位に整えることが期待できます。

(※乳酸菌をはじめとする、犬の善玉菌アップの方法について、詳しくは次のページをご覧ください。→「犬への乳酸菌の効果を高めるコツ」)

2)良質なタンパク源

牛乳はタンパク質が豊富です。
そして、タンパク質の量が多いだけではなく、犬にとってアミノ酸バランスがとれており、タンパク源として優れています。

3)水分補給

ワンちゃんの中には、必要な水分を十分にとらない子もいます。
そんなワンちゃんでも、牛乳ならしっかり飲むことが多いです。
犬の水分補給源として、牛乳を活用することができます。

4)食欲アップ

犬の食欲不振で悩まれている飼い主さんもいらっしゃることと思います。
市販フードや手作り食に牛乳をプラスすることで、美味しさが増し、犬の食欲アップにつながることが期待できます。

私たちの研究では、現代の犬の70%以上は、腸内細菌が乱れています。
そして、タンパク質の摂取バランスが悪く、水分量も足りていないワンちゃんが多いです。

食欲対策も含めて、犬の不足要素を補うために、「牛乳」はお勧めできる食品です。

「牛乳NG」2つの誤解

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犬にとって、メリットの多い牛乳なのに、どうして「犬に良くない」という誤解を招いているのでしょうか。
動物栄養学の視点から、検証してみます。

誤解1)「乳糖」が犬にNG?!

牛乳には、「乳糖」と呼ばれる糖質が含まれています。
そして、犬は「乳糖」を利用することができず、下痢などを引き起こすために与えてはいけない、という論調が散見されます。

本当でしょうか?

確かに、犬は「乳糖」の代謝を苦手としています。
しかし、全く利用できないわけではありません。

さらに、「乳糖」は乳酸菌などのエサになります。
そのため、適量の「乳糖」は、乳酸菌をはじめとする善玉菌を増やすことが期待できます。

つまり、「乳糖」は、犬に健康にプラスとなる要素があります。

誤解2)牛乳の「脂肪」が良くない?!

牛乳に含まれる「脂肪」も、犬に良くないとされています。
低脂肪タイプの牛乳を選び、ワンちゃんに与えている飼い主さんも多いことと思います。

犬は、私たち人間よりも肉食性が強い動物ということもあり、比較的、脂肪代謝を得意としています。
そのため、ある程度の脂肪を与えることが望まれます。

牛乳には、脂肪が含まれているものの、特に注意が必要なほど高脂肪というわけではありません。私たち人間飲んでも問題ないような脂肪内容であるため、もちろん、犬にも大丈夫です。
以上のように、「乳糖」「脂肪」という牛乳の2大デメリットには、誤解があります。
動物栄養学の視点からも、牛乳は犬に問題ない食品であることがわかります。

牛乳が要注意な犬のタイプ

とはいっても、牛乳に注意が必要な犬もいます。例えば、次のようなタイプの犬は、牛乳を与える際に気を付けましょう。

高脂血症・膵炎の犬

コレステロール値や中性脂肪値が高い「高脂血症」や「膵炎」のワンちゃんは、牛乳の脂肪量に注意が必要です。これらの病気のワンちゃんは、低脂肪の食事をとることが好ましく、牛乳も低脂肪・無脂肪タイプを選んだ方が良いでしょう。

牛乳アレルギーの犬

牛乳(乳製品)アレルギーの犬は、もちろん、牛乳を与えてはいけません。牛乳により、アレルギー症状が出る場合は、与えないようにしましょう。

お腹が弱い犬

牛乳により下痢をするワンちゃんもいます。乳糖が苦手な子もいるでしょうし、乳製品すべてに合わないこともあります。

お腹が弱い犬は、牛乳を与える際に、下痢などがみられないかチェックするようにしましょう。

「山羊ミルク」がベターな理由

牛乳も悪くはないのですが、犬によりお勧めできる乳製品があります。それは「山羊ミルク」です。

「山羊ミルク」がより良い理由は、タンパク質のアミノ酸バランスなどが、「犬の母乳に近い栄養」であるからです。犬にとって自然な栄養源であるため、「山羊ミルク」は吸収されやすく、牛乳以上に犬にピッタリの飲み物と言えるでしょう。

もし、牛乳が合わないワンちゃんへのミルクを探している方や、より優れた栄養を与えたい、という場合は「山羊ミルク」をご検討ください。

愛犬に安心して牛乳を与えれる、4ステップ

それでは、牛乳についての実践編です。次の4つのステップに従って「犬に牛乳を安心して与える」ことにチャレンジしてみてください。

ステップ1)事前に愛犬の「牛乳適正」をチェック

「高脂血症・膵炎など、低脂肪食が望まれる犬ではないか」「牛乳(乳製品)アレルギーはないか」「お腹が弱いタイプか」、まずはこれら3項目をチェックしましょう。お腹が弱いワンちゃんでも、牛乳がプラスに働くことはありますが、与えはじめは少量のみで様子をみましょう。

ステップ2)牛乳の種類を選ぶ

市販の牛乳は、色々な種類があります。プレーン・低脂肪・無脂肪・犬用をはじめ、ご紹介した山羊ミルクも視野に入れましょう。

多くのワンちゃんは、どの種類の牛乳でも問題ありませんが、より良いものを与えたいということであれば、犬用牛乳や山羊ミルクを検討するのも一つです。

(※乳製品として、ヨーグルトなどを検討することも選択肢です。ヨーグルトについては、こちらのページをご参照ください。→「犬にヨーグルトは大丈夫?」)

ステップ3)まずは少量与える

慎重に選んだ牛乳だけれども、愛犬に合っているとは限りません。やはり、試しに与えてみないと何とも言えないところです。まずは、少量を与えて、犬の反応や便の状態をチェックしましょう。

最初の数日は、少量を続けてみて下痢しないか、何か不調な様子はないか、経過観察するのが良いでしょう。

ステップ4)与える量・与え方をアレンジする

愛犬の様子をみて大丈夫そうであれば、牛乳の量を増やしていきましょう。そして、飲み物として与えるだけではなく、牛乳を食事のトッピングの一つとしてとらえてみるのも楽しいです。

また、食欲不振のワンちゃんなどには、市販ドッグフードを牛乳でふやかして与えてみる、手作り食をミルクスープのようにしてみる、などのアレンジ料理もお勧めです。

すぐに牛乳を試したい方へ

上記のステップをふまず、すぐに牛乳を与えてみたい飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんね。

その場合、人間用の市販牛乳を40℃くらいに温めて、少量を与えてみることがお勧めです。人肌に温まった牛乳は、犬にとっても飲みやすく、少量で経過をみていただければと思います。

まとめ

  • 犬にとって、牛乳は「善玉菌アップ」「良質なタンパク源」「水分補給」「食欲アップ」という4つのメリットがあり、健康にプラスとなる食品といえる。
  • 牛乳には、「乳糖が犬によくない」「脂肪分が犬にダメ」という誤解があるものの、動物栄養学上、それらは大きな問題とならない。
  • ただし、「高脂血・膵炎など低脂肪食が必要な犬」「牛乳アレルギーの犬」「お腹が弱い犬」については、牛乳に注意が必要。
  • 「山羊ミルク」は犬の母乳に近い栄養内容でお勧めできる。
  • 「事前に牛乳適正チェック」「牛乳の選択」「少量を与える」「与える量・与え方のアレンジ」という4ステップで、愛犬に安心して牛乳を与えることができる。

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