犬にヨーグルトは大丈夫?

ヨーグルト

犬に人間用のヨーグルトを与えても大丈夫ですか?」

ドッグフードのお客様から、よくいただく質問です。

「ヨーグルトは大丈夫だけど、注意も必要。」が答えになります。

このページでは、犬にとって、ヨーグルトの効果・良い面、そして注意するポイント、についてご案内します。

<目次>

ヨーグルトの乳酸菌は犬にも良い?

ヨーグルトといえば、「乳酸菌」ですね。ヨーグルトに含まれる「乳酸菌」は、人間と同じく、犬にも良いのでしょうか?

もちろん、良いです。でも、人間ほどの効果は期待できないかもしれません。

その理由は、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、犬の腸に届く前にほぼ死滅してしまうからです。犬の強烈な胃酸が、ヨーグルトの乳酸菌を殺してしまうのです。

私たちの乳酸菌・実験より

実際に、私たちはドッグフードの研究開発を行うにあたり、乳酸菌についても徹底的に実験を行いました。あらゆるヨーグルトを犬に食べてもらい、腸内細菌の検査を行いましたが、口から入った乳酸菌は全く生き残っていませんでした。(固い胞子形成をするタイプの乳酸菌は、腸まで届くものもありましたが、このタイプの乳酸菌は、ヨーグルトには使いません。)

ヨーグルト乳酸菌は犬に無意味?

それでは、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、犬に与えて意味がないのでしょうか?

いいえ、決してそうではありません。

乳酸菌の死骸は、犬の腸内を整え、もともと腸内に住む乳酸菌にプラスの影響を与えてくれます。そして、犬の腸内・乳酸菌をふやし、悪玉菌を減らすことに働いてくれます。

乳酸菌を生きて腸まで届けることが理想ではあるものの、死菌であっても、犬にはプラス効果をもたらしてくれるのです。

(※犬の腸内乳酸菌を増やす方法について、「犬への乳酸菌の効果を高めるコツ」もご参照ください。)

ヨーグルトは低脂肪がベター?

次にヨーグルトの脂肪分についてみていきましょう。

ワンちゃんに与えるヨーグルトは「低脂肪」タイプを選ぶ飼い主さんも多いと思います。私も、何も知識がない10代のころは、低脂肪のものを選んでいた記憶があります。

しかし、特に病気がない健康なワンちゃんであれば、プレーンタイプのものを選んでも構いません。犬は、元々肉食性の強い雑食動物であり、脂肪の代謝を得意にしています。他の食事との兼ね合いもありますが、低脂肪タイプのヨーグルトでなくても、問題ないです。

低脂肪ヨーグルトが望まれるケース

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ただし、高脂血症や膵炎など、脂肪をあまりとるべきではない犬の場合は、低脂肪タイプのものにしてあげた方が望ましいでしょう。

ヨーグルトに含まれる「乳糖」とは?

ヨーグルトには、「乳糖」と呼ばれる糖質が含まれています。乳酸菌による発酵プロセスで、牛乳などに比べると、ヨーグルトは乳糖がある程度分解された状態にありますが、それでもゼロになっているわけではありません。

乳糖は、腸内の善玉菌を増やすなどのプラス効果がある一方、犬にとっては比較的代謝しにくい糖質です。そのため、乳糖を多量にとりいれると、犬は下痢をすることがあります。

この「乳糖」による下痢が、犬にヨーグルトを与える際に最も注意すべきポイントになります。乳糖については、犬によって相性もありますので、ヨーグルトを与えると下痢をしやすいワンちゃんもいます。与えるヨーグルトの量と犬の下痢については、よく経過をみて適正を見極めてあげましょう。

乳糖以外の糖質について

元々のプレーンヨーグルトには、乳糖以外の糖質はあまり含まれていません。しかし、市販のヨーグルトには、加糖されているタイプのものもあります。

血糖値を上げやすい糖質は、犬にあまり与えるべきではありません。糖尿病をはじめとする病気の発症要因となり、肥満の一因にもなります。

そのため、加糖されたヨーグルトは、犬に与えないようにしましょう。

ヨーグルトのタンパク質

ヨーグルトをはじめとする乳製品は、犬にとって悪いタンパク質源ではありません。

ただ、ヨーグルトだけで犬に必要なタンパク質を補えるかというと、アミノ酸バランスが不十分です。そのため、タンパク源としては、ヨーグルトはあくまで補助的なものとお考えください。

犬とヨーグルト まとめ

  • ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、生きて犬の腸まで届かないものの、死菌として腸内の善玉菌を増やす効果がある。
  • 犬に与えるヨーグルトは、必ずしも低脂肪タイプでなくも良い。ただし、膵炎や高脂血症のワンちゃんには低脂肪タイプのヨーグルトが望ましい。
  • ヨーグルトに含まれる乳糖は、犬の下痢を引き起こす可能性がある。個体差もあるため、犬によってヨーグルトの適性量を見極めてあげることが必要となる。
  • 加糖タイプのヨーグルトは、犬に与えないようにする。
  • ヨーグルトは、犬にとって良いタンパク質を含むが、アミノ酸バランスが理想的な状態にあるわけではない。そのため、ヨーグルトは、犬のタンパク源として補助的な役割と考える。

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コメント

    • 土田 ひろみ
    • 2017年 6月 14日

    はじめまして。
    愛犬のボクサー 雄 6歳が肥満細胞腫と診断されました。
    まだ腫瘍が小さいので小さくなる事を期待し経過観察中です。
    食事療法を取り入れようとネットで検索したところ
    こちらのサイトに辿りつきました。
    良かれと思って与えていた物(ブロッコリーやトマト)もあり、、反省すると共に大変勉強になります。
    そこでお伺いしたいのですが、、
    市販の歯磨き用のガムは与えても良いのでしょうか。
    メインは牛皮でできているのでものです。
    今までは、中型犬用の小さめのものを日に4本与えていました。
    ご回答をお待ちしています。

      • dogfoodlabo
      • 2017年 6月 15日

      コメントいただき、ありがとうございます。
      ワンちゃんの健康について、お力になれればと思います。

      歯磨き用のガムについて、私自身、研究や検証を行ったことがないため、何とも言えないところです。
      商品も様々なものがあり、確かなことをお伝えすることが難しい状況です。

      ただ、腫瘍に対しては大きな問題にはならないと思います。
      腫瘍性疾患のワンちゃんにとって、まず避けなければならない成分は、「血糖値がアップしやすい糖質」ですが、歯磨きガムということもあり、これが含まれることはまず考えられないためです。
      もちろん、味付けのための合成調味料や悪質な原料には注意しなければいけませんが、ある程度安全安心なものを選んでいただければ大丈夫だと思います。
      むしろ、口内ケアとともにストレス解消にもつながりますので、良質な歯磨きガムはお勧めできます。

      気になることなど、いつでも仰ってくださいませ。
      よろしくお願いいたします。

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