犬とグレープフルーツの栄養学

グレープフルーツ

グレープフルーツは、犬に与えても大丈夫なのでしょうか?グレープフルーツには、犬にとって好ましくない成分も含まれており、そのことを懸念する情報も散見されます。

しかし、栄養学の視点でみると、グレープフルーツは犬に良い面が多い食べ物であり、適量であれば与えるメリットがあります。

このページでは、動物栄養学の観点から、犬にとってグレープフルーツの良し悪しを見ていきたいと思います。

<目次>

犬にグレープフルーツが大丈夫な理由

一部の情報で言われているほど、グレープフルーツは犬に良くない食べ物ではありません。むしろ、犬にとってのメリットが大きい果物であり、過剰でなければ与えることがお勧めできます。

グレープフルーツが良くないとされる要因

グレープフルーツが、犬に良くないとされているのは、「ソラレン」という毒性成分の存在があります。ソラレンは、犬に中毒症状をおこす恐れがあり、グレープフルーツなどの柑橘類に含まれています。

グレープフルーツによる、犬のソラレン中毒はありえる?!

しかし、毒性が生じるほどのソラレンを、グレープフルーツから摂取するためには、かなりの量を食べなければなりません。犬が口にするグレープフルーツの量を考えると、ソラレンが過剰になることはまず考えられないところです。

実際に、私が調べた限り、グレープフルーツによる犬のソラレン中毒の報告は一例も見当たりません。ソラレン・リスクは現実的でないことが、犬にグレープフルーツが大丈夫な理由です。

グレープフルーツ、4つの利点

グレープフルーツ

さらに、グレープフルーツには、犬にとっての栄養学上のメリットもあります。下記、グレープフルーツに含まれる成分から、犬にとっての4つの利点をご紹介します。

①ビタミンC

グレープフルーツには、ビタミンCが多く含まれています。

ビタミンCは、犬にとっての必須栄養素ではありませんが、多く取りいれることで健康メリットのある成分です。熱などに弱いため、ビタミンCをドッグフードに含めることは難しく、グレープフルーツで補えることは、犬にとって利点となります。

(※ビタミンCについて、詳しくは「犬にビタミンCは必要?!」をご覧ください。)

②ポリフェノール

グレープフルーツは、ポリフェノールも豊富です。グレープフルーツに含まれるポリフェノール「リモノイド」「ノビレチン」などは、犬の体内で抗酸化物質として働きます。

(※ポリフェノールについて、より詳しくは「犬にポリフェノールの是非」をご参照ください。)

③クエン酸

グレープフルーツ成分「クエン酸」は、犬の疲労回復に役立ちます。

④水分の補給

グレープフルーツをはじめとする果物は、水分を豊富に含みます。犬は水分不足になりがちであるため、グレープフルーツなどから補えることは、有益なポイントです。

グレープフルーツの注意ポイント

一方で、グレープフルーツには、犬に与える際の注意ポイントもあります。

まず、皮を与えてはいけません。グレープフルーツの皮には、先にお伝えした有毒成分「ソラレン」が実よりも多く含まれています。そして、グレープフルーツの皮は、犬の消化にも悪く下痢や嘔吐につながるリスクがあります。農薬などの汚染も考えられ、特に外皮は絶対に与えないようにしましょう。

内側の皮や白いスジもできれば取ってからあげましょう。これらの部分も、犬にとって消化不良につながりやすいためです。犬にはグレープフルーツの「実」のみを与えることがお勧めです。

グレープフルーツの犬への与え方

それでは、実際にグレープフルーツを犬に与えるポイントをご案内します。次のように3つのステップで与えることがお勧めです。

ステップ1)外皮をむく

まず、外側の厚い皮をむいてあげましょう。先にお伝えしたように、グレープフルーツの外皮は、犬が口にしてしまわないように注意しましょう。

ステップ2)内皮と白いスジを取り、食べやすいサイズに分ける

グレープフルーツの内皮や白いスジも、犬にとって消化しにくいため、取ってあげましょう。そして、グレープフルーツ一房そのままでは、犬には大きすぎるため、その1/4くらいに分けてあげると良いでしょう。

ステップ3)生のまま少量の「実」を与える

グレープフルーツは、加熱しても構いませんが、熱に弱いビタミンCが壊れてしまうことを考えると、生のまま犬に与えることがお勧めです。そして、多量に与えると、お腹を壊すこともあるため、おやつ替わりなど少量のみ与えることに止めましょう。

まとめ

  • グレープフルーツの毒性成分「ソラレン」は、中毒症状があらわれるほどの量を取りいれることはあり得ないため、犬に与えても大丈夫。
  • グレープフルーツには、「ビタミンC」「ポリフェノール」「クエン酸」「水分補給」という、犬にとって4つの利点がある。
  • 犬にグレープフルーツを与える際の注意点として、外皮・内皮・スジを取り、実だけをあげる、ということが挙げられる。
  • グレープフルーツの犬への与え方は、「外皮をむく」「内皮・白いスジを取り、食べやすいサイズに分ける」「生のまま少量の実を与える」という3ステップがお勧め。

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