犬の甲状腺機能低下症には、食べてはいけないもの・注意すべき食事ポイントがあります。
このページでは、犬の甲状腺機能低下症において、与えてはいけない食べ物やドッグフードの注意点など、ご案内します。
<目次>
犬の甲状腺機能低下症、食事が要注意な理由
甲状腺機能低下症のワンちゃんは、甲状腺ホルモンの分泌量が少ない状態にあります。甲状腺ホルモンが不足すると、タンパク質・脂肪・糖質、といった栄養代謝のバランスが崩れてしまいます。
そのため、犬の甲状腺機能低下症では、栄養に気をつけて食事を与えなければなりません。
また、甲状腺ホルモンの分泌に悪影響を及ぼす食品成分も知らています。これら、甲状腺にNGの食品も、犬に与える際には注意が必要です。
甲状腺機能低下症、食べてはいけないもの
それでは、甲状腺機能低下症の犬が、食べてはいけないものをご案内します。
1)高脂肪の食事
甲状腺機能低下症の犬は、脂肪代謝にトラブルを抱えており、コレステロール値・中性脂肪値が高くなりやすい状態にあります。実際に、甲状腺機能低下症と高脂血症を併発しているワンちゃんは多く、高脂肪の食事は避けなければなりません。
脂肪分の多いお肉は、甲状腺機能低下症の犬に与えないようにしましょう。
酸化した脂肪もNG
また、さらに悪いものが「酸化した脂肪」です。何度も/長時間 加熱された肉類・保存期間が長い(酸素に触れる時間が長い)脂肪を含む食品などは、甲状腺機能低下症の犬が食べてはいけません。
2)変性したタンパク質
タンパク質は、強い加熱処理・調理により、「変性」とよばれる構造変化をおこします。変性したタンパク質は、消化が悪くなり、栄養源としての質が著しく落ちてしまいます。
甲状腺機能低下症の犬は、タンパク質の代謝にも問題を抱えています。そのため、消化しやすい良質なタンパク質を与えることが好ましいです。
余計な加熱処理を行わず、できるだけ新鮮なお肉・魚を与えることもポイントとなります。
控えめにすべき4つの食品
犬の甲状腺機能低下症では、与えることを控えた方がよい食品もあります。甲状腺の機能をブロックしてしまう食品成分が幾つか知られており、下記にまとめました。
1)キャベツなどアブラナ科野菜
キャベツやブロッコリーなど、「アブラナ科」に属する野菜は、甲状腺機能低下症の犬に注意が必要です。
アブラナ科野菜に含まれる「ゴイトロゲン」という成分は、甲状腺ホルモンの分泌を阻害する、という報告があります。
ただ、甲状腺ホルモンに影響を及ぼすほどの「ゴイトロゲン」を取り入れるとなれば、相当量のキャベツ・ブロッコリーを食べることになるため、犬に多量に与え続けなければ、問題ないと考えられています。
2)大豆食品
豆腐をはじめとする大豆食品も、犬の甲状腺機能低下症では取りすぎNGです。
アブラナ科野菜とおなじく「ゴイトロゲン」が含まれている上、「ゲニステイン」と呼ばれる大豆イソフラボンも甲状腺の機能を低下させることが知られています。
また、大豆には、甲状腺ホルモンをつくるために必要なミネラルを吸着する性質もあり、その点もマイナスです。
それでも、アブラナ科野菜と同様、大豆をかなり多量・継続的に与えない限りは、甲状腺機能低下症の犬にも悪影響にはなりません。大豆を与えるのであれば、少量にとどめるようにしましょう。
3)海藻
海藻に含まれる「ヨウ素」という成分には注意が必要です。
ヨウ素を過剰に摂取すると、甲状腺機能を低下させるリスクがあると報告されています。
ただ、海藻についても、犬にたっぷり与えた際に、甲状腺機能低下症を悪化させるかもしれない、ということなので、控えめにする程度でOKです。
4)レバー
レバーにも、犬の甲状腺機能をおさえる作用があります。そのため、甲状腺機能低下症の犬には、レバーを控えた方がよいでしょう。
犬の甲状腺機能低下症の食事ポイント
食べてはいけない・控えめにすべき食品、をふまえながら、逆に「甲状腺機能低下症の犬」に与えたい食事・栄養のポイントをご案内します。
1.良質な低脂肪
高脂血になりやすい甲状腺機能低下症のワンちゃん対策に、「低脂肪」の食事を与えることが大切です。そして、低脂肪にとどまらず、良質な脂肪がポイントとなります。
甲状腺機能低下症の犬にやさしい、「良質な脂肪」とは、「酸化していない」「オメガ3脂肪酸が豊富」といったものになります。
できるだけフレッシュで余計な熱をかけていない、肉・魚を与えることが大切です。
2.良質なタンパク質
脂肪と同じく、良質なタンパク質を与えることも重要です。タンパク質についても、フレッシュで加熱をひかえめにすることがポイントです。
甲状腺機能低下症の犬にとって消化しやすくアミノ酸バランスのとれたタンパク源を与えましょう。
3.腸内環境を整える食事
犬の腸内環境を整えることも大事です。腸の力が衰え、腸内細菌のバランスが崩れてしまうと、代謝への負担が大きくなります。甲状腺機能低下症の犬にとって、腸の乱れは禁物です。
犬の腸内環境を整えるためには、消化の邪魔をせず、腸内善玉菌のエサとなり、腸の運動性をアップさせるような食事が重要です。具体的には、「難消化性の炭水化物」に該当するような成分がポイントとなります。
「難消化性の炭水化物」は、犬の胃腸で消化吸収されきらずに腸に届き、腸内の善玉菌のエサとなり、様々な恩恵をもたらします。そのため、難消化性の炭水化物を含む、穀物(小麦はNG)・イモ類がとても大切です。
まとめ
- 甲状腺機能低下症の犬は、甲状腺ホルモンの分泌低下により、「脂肪」「タンパク質」などの栄養代謝にトラブルを抱えている。そのため、悪質な「脂肪」「タンパク質」の食事を食べてはいけない。
- 「キャベツなどアブラナ科野菜」「大豆食品」「海藻」「レバー」には、甲状腺機能を低下させる成分が含まれており、甲状腺機能低下症の犬はひかえめにした方が良い。
- 甲状腺機能低下症の犬は、「良質な低脂肪」「良質なタンパク質」「腸内を整える食事」の3つを満たす食べ物が大切。
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