犬の乳腺腫瘍を悪性化させる4つの食事

犬の乳腺腫瘍の悪性度が高まると、乳がんとなり、治療も難しくなってきます。

乳腺腫瘍の悪性化が進まないように、食事内容にも気を配らなければなりません。

このページでは、犬の乳腺腫瘍の悪性化をさける手引きとして、食事についてご案内します。

<目次>

犬の乳腺腫瘍を悪性化させる4つの食事

犬の乳腺腫瘍を悪性化させる食事として、下記4つのポイントに注意が必要です。

1)血糖値を上げやすい糖質

2)質の悪い脂肪・タンパク質

3)犬の腸内環境を乱す食品

4)乳製品

これら4つの食事が、どうして、犬の乳性腫瘍を悪性化させるのか、見ていきましょう。

乳腺腫瘍の悪性度を高める理由

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1)糖質がNGの理由

糖質は、犬の乳腺腫瘍に限らず、がん・腫瘍性疾患にはNGの成分です。なぜなら、糖質は、がん細胞・腫瘍が好む栄養源であり、進行させる成分であるためです。

特に、「血糖値を上げやすい糖質」を避けなければなりません。がん細胞・腫瘍は、血液中の糖質を奪いとり、進行や転移のためのエネルギーとして利用するからです。

「血糖値を上げやすい糖質」とは、ブドウ糖や砂糖などを含むものや、すぐに消化されるタイプの炭水化物が挙げられます。そのため、スイーツ類・白米・白パンなど、乳腺腫瘍の犬には与えないようにしましょう。

参考値「GI」について

参考になる知識として、「GI」と呼ばれる数値があります。GIとは、食後血糖値の上昇スピードを各食品で指標化したものです。GIが高い食品ほど、血糖値がアップしやすいため、乳腺腫瘍の犬に与える食事の参考にすればよいと思います。

犬の乳腺腫瘍の悪性化を防ぐためにも、「血糖値を上げやすい糖質」を避けるようにしましょう。

2)悪質な脂肪・タンパクがNGの理由

犬の乳腺腫瘍の対策のために、糖質を制限すると、犬自身もエネルギー不足になります。

そのため、糖質のかわりに「脂肪」を補うことが、乳腺腫瘍の食事療法のポイントになります。ただし、脂肪の「質」に留意することが必要です。

悪質な脂肪とは?

乳腺腫瘍の犬にとって、悪質な脂肪とは、次のような内容になります。

  • 酸化した脂肪
  • オメガ3脂肪酸の含量が少ない脂肪

まず、脂肪は空気(酸素)にふれる時間が長かったり、加熱により「酸化」されてしまいます。酸化された脂肪は、犬の健康にダメージを与える毒となってしまいます。もちろん、犬の乳腺腫瘍を悪性化する一因ともなります。そのため、酸化していないできるだけフレッシュな脂肪を与えることが大切です。

もう一つ、犬の乳腺腫瘍では、「オメガ3脂肪酸」と呼ばれる成分が重要です。「オメガ3脂肪酸」は、がん・腫瘍に対する臨床データが豊富であり、乳腺腫瘍の犬に一定量以上与えることが望ましいです。逆に、オメガ3脂肪酸の含量が少なければ、犬の乳腺腫瘍の悪性度を高めることになりかねません。

悪質なタンパク質とは?

次に、タンパク質の問題についても、ご案内します。

犬の乳腺腫瘍を悪性化させうる、悪質なタンパク質とは、次のようなものを指します。

  • 変性したタンパク質、消化性の悪いタンパク質
  • アミノ酸バランスの悪いタンパク質
  • アルギニン・グルタミンなどが少ないタンパク質

タンパク質は、加熱などにより「変性」と呼ばれる構造変化をおこします。変性したタンパク質は、消化が悪く、腸内環境の悪化や内臓への負担となりえます。その結果、免疫力の低下を招き、犬の乳腺腫瘍の悪性化にもつながると考えられます。

次に、タンパク質の「アミノ酸バランス」も重要です。タンパク質は、約20種のアミノ酸を単位としてできています。各アミノ酸は、それぞれ役割が異なり、犬の健康のためには、バランスよくアミノ酸を取り入れることが大切です。犬にとって好ましいアミノ酸バランスが、研究により知られつつありますが、そのバランスが乱れると、乳腺腫瘍の悪化にもつながりかねません。

さらに、「アルギニン」「グルタミン」といったアミノ酸を豊富に取り入れることが、乳腺腫瘍の犬には重要です。アルギニンなどのアミノ酸は、がん・腫瘍性疾患への有用性で知られており、乳腺腫瘍の犬にも一定量以上与えることが望まれます。

3)犬の腸内環境を乱す食品

腸内環境は、犬の乳腺腫瘍の悪性化とも深く関わっています。腸内細菌バランスが悪く、腸が弱っているワンちゃんは、免疫力の低下を招き、消化能力も不十分で腫瘍の悪化を招きます。

過剰な肉類、質の悪いドッグフード・おやつ、などは犬の腸内を乱す食品です。また、食品ではないものの「抗生物質」「ステロイド」の乱用も犬の腸内を悪化させるため、注意が必要です。(※抗生物質やステロイドは、正しく処方されれば有用な治療薬になるため、頭ごなしに悪者扱いすることも間違っています。)

また、犬には野菜類も要注意です。野菜の食物繊維は、犬にとっては硬質であり、腸に負担を与えることもあります。野菜を与えるのであれば、しっかり茹でて過剰に与えすぎないことがお勧めです。

4)乳製品

牛乳などの乳製品を過剰に与えることも、乳腺腫瘍の犬にはお勧めできません。

乳製品には、エストロゲンなどの成長ホルモンが含まれています。成長ホルモンは、子牛の成長を促すための成分ですが、犬の乳腺腫瘍をも成長させる(悪性化させる)一因となりえるのです。

そのため、乳製品は、乳腺腫瘍の犬には与えない・もしくは与えるにしても少量のみにとどめておきましょう。

(※乳製品には、腸内環境への好影響・良質なタンパク源など、乳腺腫瘍の犬にとってもメリットと言える要素もあります。そのため、少量であれば、与えることでプラスに働くことも考えられます。この点、今後の研究成果が待たれるところです。)

乳腺腫瘍の犬がとるべき栄養

それでは、乳腺腫瘍の犬は、どういう栄養を取ればよいのか、整理してご紹介します。

1)糖質をOFF

血糖値を上げやすい糖質を極力さけることが、一つめの栄養ポイントです。

糖質OFFにより、腫瘍に栄養がまわらず、犬の乳腺腫瘍の悪性化をくいとめる一因となります。

2)フレッシュな高オメガ3脂肪酸

「オメガ3脂肪酸」をたっぷり与えることが、「糖質OFF」とセットで実施すべき栄養内容です。

「高オメガ3脂肪酸」により、犬のエネルギー補給とともに、乳腺腫瘍の成長をブロックします。

3)良質な高タンパク質・アルギニン

良質なタンパク質をしっかり与えることも重要なポイントです。

乳腺腫瘍の犬は、タンパク質不足となりがちで、筋力や免疫力・体力の低下を招きます。それを防ぐために、アミノ酸バランスがとれた&変性していない、良質なタンパク質を与えることが大切です。

さらに、アルギニン・グルタミンをしっかり与えてあげれば、乳腺腫瘍の悪性スピードを和らげることができるでしょう。

4)腸内環境の正常化

腸内の善玉菌をアップし、腸の力を維持するような食事も、乳腺腫瘍の犬にとってポイントとなります。

そのために、難消化性炭水化物(犬の胃腸の力では消化されず、腸内細菌により発酵される炭水化物)やオリゴ糖、犬に合った食物繊維などを与えること重要です。

犬の乳腺腫瘍に対応した食事療法食(ドッグフード)、「犬心 元気キープ」のWebサイトはこちらです。

「犬の乳腺腫瘍」に対応、食事療法食(ドッグフード)

犬の乳腺腫瘍、お勧めの食事内容

それでは、乳腺腫瘍の犬にお勧めの食事内容の例をご紹介します。

  1. 脂肪分の少ない肉(鶏ささみ・鶏むね肉・赤身の肉など)や魚をメインにそえ、軽く茹でる(全量の50~70%を肉魚で補うイメージ)
  2. 玄米・大麦・雑穀・サツマイモなど、血糖値が上がりにくく(低GI食)、犬の腸に合った炭水化物源を全量の20~30%ほど与える
  3. しっかり茹でこぼした野菜・海藻・キノコ・大豆食品を約10%ほど与える(フルーツを少量与えることもOK)
  4. 場合によっては、高オメガ3脂肪酸の食用油(亜麻仁油・えごま油・ココナッツ油など)をトッピングする

※犬の乳腺腫瘍の原因や治療方法については、「犬の乳腺腫瘍 治療と食事」でご案内しています。

まとめ

  • 犬の乳腺腫瘍を悪性化させやすい食品として、「血糖値を上げやすい糖質」「悪質なタンパク・脂肪源」「腸内環境を悪化させる食品」「乳製品」の4つが挙げられる。
  • 乳腺腫瘍の犬に取り入れたい栄養内容として、「糖質OFF」「高オメガ3脂肪酸」「良質な高タンパク質・アルギニン」「腸内環境を正常化する食品」がある。
  • 乳腺腫瘍にお勧めの食事例は、「低脂肪で良質な肉・魚がメイン」「血糖値を上げにくい炭水化物源」「少量の野菜・海藻・キノコ・大豆」「高オメガ3脂肪酸の食用油」などである。

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