卵(鶏卵)は、犬にお勧めできる食べ物です。卵がお勧めできる理由は、犬が求める栄養素をバランスよく含んでいるためです。
一方で、卵には犬に良くない情報も見られます。でも、科学の視点でみると、卵のデメリットについても、さほど気にする必要はありません。
このページでは、動物栄養学の観点から、犬に卵がお勧めできる理由などをご案内します。
<目次>
犬に卵をお勧めできる、栄養学上の理由
卵が犬に良い理由は、含まれている栄養バランスが優れていることが挙げられます。特に、「アミノ酸バランス」が優秀で、タンパク質について、卵は犬の完全食とも言える食べ物です。
卵のアミノ酸バランスについて
栄養学上、タンパク質の内容は、「アミノ酸バランス」によって評価されます。タンパク質は、20種ほどのアミノ酸の連なりで作られています。つまり、犬に必要なアミノ酸がバランスよく含まれいれば、「良いタンパク質」ということになります。
この点、卵のアミノ酸バランスは、犬にとって非常に優れています。動物栄養学では、鶏卵のタンパク質を基準に、その他のタンパク源を評価しているほどです。卵は、単一のタンパク源としてとらえた時に、各種のお肉などと比べても、犬に理想的な食べ物と言うことができます。
「生卵」「ゆで卵」の違い
一方で、「卵は犬にデメリットとなる要素もある」という情報も出回っています。具体的には、卵の白身にふくまれる「アビジン」という成分が、ビオチン(ビタミンB7)の吸収を阻害してしまい、犬がビオチン不足になるという内容です。だから、卵の白身は犬に与えてはいけない、という論調です。
ただ、私自身、「卵の白身に含まれるアビジンリスクは、犬に心配ない」と考えています。理由として、アビジンによるビオチン不足の動物実験は、かなり多量の卵白身を与えた場合におこることであり、実際の犬の食事では現実的ではないためです。
それでも心配はぬぐえきれないかもしれませんが、「生卵」ではなく「ゆで卵」などを犬に与えていただくと、アビジンへの心配はほぼゼロになります。
「生卵」よりも「ゆで卵」の理由
生卵より、ゆで卵が安心できる理由は、加熱によりアビジンの毒性がほぼ失われることが挙げられます。アビジンは、ビオチンにくっつく作用があり、そのことがビオチン吸収阻害をおこすメカニズムですが、加熱するとアビジンはビオチンにくっつく力を失うことがわかっています。そのため、生卵の白身では、ある程度のビオチン吸収阻害がおこるものの、ゆで卵・卵焼き・目玉焼きなどの加熱した卵では、犬への毒性が失われていることになります。
いずれにしても、卵は犬にとって、最高クラスに良質なタンパク源です。何かの理由で、犬が食欲不振になっているときなど、ゆで卵を与えるだけでかなりの栄養を補うことができます。
まとめ
- 卵は、犬にとってアミノ酸バランスに優れた、非常に良質なタンパク質源である。
- 卵の白身には、ビオチンの吸収阻害をおこすアビジンという毒性成分が含まれている。加熱によりアビジンは活性を失うため、犬には「ゆで卵」などを与えると良い。
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