「みかんは、犬に与えても大丈夫。」というお話をよく目にしますが、動物栄養学の観点から言えば、「与えすぎはNG」と考えられます。
どうして、みかんの与えすぎが良くないのか、その理由を中心に「犬とみかん」をテーマにご案内します。
<目次>
- 「多量のみかん」「みかんの継続」が犬にNGな理由
- みかんの利点
- みかんの与え方
- まとめ
「多量のみかん」「みかんの継続」が犬にNGな理由
みかんは、犬にとっても、健康メリットのある果物です。たっぷり与えても、すぐに中毒症状があらわれるようなことはありません。
でも、長い間みかんを一定量以上与え続けると、ジワジワと犬の負担となるリスクがあります。
具体的には、みかんに含まれる「βカロテン」「ビタミンA」が、犬にとってのリスク要因です。
みかんのβカロテン・ビタミンAのリスク
みかんは、βカロテン・ビタミンAが豊富な食べ物です。βカロテンやビタミンAは、犬にとって必須栄養素であり、健康に貢献してくれる成分です。
でも、犬は哺乳類の中で、特にビタミンA過剰になりやすい動物であることが栄養学として報告されています。つまり、βカロテン・ビタミンAが多く含まれるみかんは、ビタミンA中毒になるリスクを有しているのです。
そのため、「多量のみかん」「みかんの継続」は、犬にお勧めできません。
(※ビタミンA・βカロテンについては、次のニンジンに関する記事で詳しくご案内しています。→「犬にニンジン、要注意な理由」)
みかんの利点
一方で、みかんには、次のような犬への健康メリットもあります。
①ビタミンCが豊富
みかんは、ビタミンCがとても豊富です。
ビタミンCは、熱に弱いなど壊れやすいため、市販ドッグフードに安定して含みにくい成分です。そして、犬にはたっぷり与えたい成分でもあるため、みかんを取りいれることはメリットがあります。
(※ビタミンCについては、「犬にビタミンCは必要?」で詳しくご案内しています。)
②ビタミン群のバランスが良い
みかんには、ビタミンC・ビタミンA以外にも、バランス良くビタミン群が含まれています。ビタミンEやビタミンB群も、みかんから取り入れることができ、犬にも嬉しいポイントです。
③犬に合った食物繊維が豊富
食物繊維もみかんには豊富です。しかも、みかんに含まれる食物繊維は、犬に合ったタイプのものであり、腸の健康に寄与してくれます。
ただし、みかんの外皮はもちろん、薄い内皮も、できれば犬に与えない方が好ましいです。みかんの薄皮にも、犬の消化負担となる硬い繊維質が含まれており、皮をむいて与えることがお勧めです。
(※食物繊維について、詳しくは「犬と食物繊維の相性」をご参照ください。)
④水分補給
みかんなどの果物には、約90%の水分が含まれています。犬は、水を飲むことが苦手な子もいるため、みかんなどから水分補給できることはプラスです。
みかんの与え方
以上のように、みかんには犬にとってリスク要因が存在するものの、多くのメリットもあります。リスクを抑えながらメリットを享受できる、犬へのみかんの与え方をご紹介します。
ステップ①みかんの外皮&内皮をむく
みかんの外皮はもちろん、薄い内皮をむいてあげましょう。(できれば、白いスジも除くことが好ましいです。)皮・スジを除いた「みかんの果実」は、犬にとって消化負担が少なく、ビタミンCなどの栄養をしっかり補うことができます。
ステップ②少量のみを与える
みかんを与える量は、少しにとどめましょう。犬におこりやすい「ビタミンA中毒」リスクを避けるためです。ビタミンA中毒により、肝臓などにトラブルがおこることが多く、注意が必要です。
ステップ③毎日与え続けることは避ける
犬のビタミンA中毒を考えると、毎日与え続けることにもリスクがあります。果物好きな子であれば、みかんを与えた次の日は違うものを与える、などと工夫してあげましょう。
(※みかんを含めた果物全般のことについては、「犬と果物の栄養学」にまとめています。)
まとめ
- みかんを多量に継続的に与えることは、犬のビタミンA中毒の恐れがあり、要注意。
- 犬にとって、みかんには「ビタミンC」「ビタミン群のバランス」「食物繊維」「水分補給」といった利点がある。
- みかんのリスク要因をおさえ、メリットを享受できる、犬への与え方として「みかんの皮をむく」「少量のみ与える」「毎日は避ける」のステップを踏むことがお勧め。
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