「ぶどう」は、犬の急性腎不全を起こすリスクがある、ということが最近わかってきました。
そのため、犬にぶどうを与えてはいけません。
このページでは、犬にぶどうを与えたときの、実際の医療現場での症例報告をお知らせしながら、ぶどうがNGの理由や食べてしまった場合の対処など、ご案内します。
<目次>
ぶどうによる犬の中毒症状の共通項
ぶどうによる、犬の中毒症状は、2001年にアメリカで報告された10症例を皮切りに、英国で4例、2005年にはアメリカで43もの症例が報告されました。そして、2010年には、日本でもぶどうによる犬の中毒死が報告され、獣医療において注目されるトピックスとなりました。
今まで報告されている「犬のぶどう中毒」では、共通の病理症状があります。まずは、その共通する症状を見ていきましょう。
犬のぶどう中毒に共通する症状
- ぶどう摂取後、5~6時間で嘔吐がはじまる
- 嘔吐後、高カルシウム血症・高リン血症・高窒素血症・血中肝酵素の上昇・尿比重の低下などが見られる
- 急性腎不全の症状であり、尿の量が少ない・尿が出ない、などが見られると死に至るケースが多い
(※犬のぶどう中毒の症例などについて、報告されている論文を共有いたします。→「日本小動物獣医学会誌(2010)」
犬にぶどうがNGの根本原因
犬にぶどうがダメな理由は、いまだわかっていません。原因の候補として考えられていることは、次のような内容です。
- 中毒物質として、ぶどうに付着したカビ毒・農薬
- ビタミンD類似物質(ビタミンD過剰により、血中カルシウム&リン濃度がアップするため)
- 重金属や環境中の毒物
- ぶどうの未知成分
いずれにしても、犬のぶどう中毒における、根本原因である物質の同定が待たれるところです。
愛犬が、ぶどうを食べてしまったら・・・
中毒を発症した犬は、多量にぶどうを食べた傾向があります。(ただし、多量に食べても大丈夫な犬や、より少量でも中毒になるケースもあります。)
もし、愛犬が、誤ってぶどうを多量に食べてしまったら、動物病院で診てもらうことはもちろん、応急処置として「嘔吐を促す」ことをしてあげましょう。ぶどうを上手く吐き出すことができれば、中毒になるリスクがぐっと下がります。
ぶどうを食べたときの治療方法
なお、ぶどうを食べたときの動物病院での治療方法は、次のような2ステップが挙げられます。
- 胃を洗浄する
- 活性炭の投与や利尿処理
レーズンやマスカットはどうなのか?
生のぶどうだけではなく、干しぶどう・レーズンも犬に与えてはいけません。
また、ぶどうの品種による犬の中毒の研究が進んでおらず、マスカットなども避けるべきです。
原因がわかっていない以上、ぶどう関連の食品は、犬に与えないようにしましょう。
(※ぶどう以外の果物については、「犬と果物の栄養学」をご覧ください。)
(※犬に与えてはいけない食べ物は、次のページでもご紹介しています。→「犬に与えてはいけない食べ物・食品」)
まとめ
- ぶどうによる犬の中毒症状(急性腎不全など)は、最近になって日本を含む各国で報告されるようになった。
- ぶどう中毒に共通する犬の症状として、「5~6時間後の嘔吐」「血中の高カルシウム・高リン・高窒素・高肝酵素」「尿比重の低下」「急性腎不全」などが挙げられる。
- 犬にぶどうがNGな理由は、まだわかっていない。原因の候補として、「ぶどうに付着したカビ・農薬」「ビタミンD類似物質」「重金属や環境中の毒物」「ぶどうの未知成分」などが挙げられている。
- もし、犬がぶどうを食べてしまったら、動物病院での診療とともに「嘔吐をうながす」ことが重要。
- レーズンやマスカットを含めて、ぶどう関連の食品は、犬に与えてはいけない。
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