野菜好きの犬は、ブロッコリーを好むことも多いです。そして、飼い主さんからしても、人間にヘルシーなブロッコリーは犬にも良い食品、という感覚で与えられることと思います。
しかし、犬にとってブロッコリーは、注意が必要な食材です。
なぜ犬に与える際にブロッコリーに注意が必要なのか、ブロッコリーのどういうところが注意ポイントなのか、ブロッコリーを与えるコツ、などをご紹介します。
<目次>
ブロッコリーが要注意な理由
犬は、肉食性の強い雑食動物です。野菜もある程度食べることができますが、野菜食に適した動物ではありません。
人間には大丈夫でも、野菜の成分には、犬が苦手とするものも多く含まれています。
ブロッコリーも例にもれず、犬が苦手な成分を含んでいます。
犬にブロッコリー、4つの注意点
具体的に、ブロッコリーの栄養成分から、犬にとって注意すべき4つのポイントを見ていきましょう。
1)グルコシノレート
ブロッコリーに含まれる「グルコシノレート」は、犬の甲状腺機能低下症につながる恐れのある成分です。グルコシノレートは、ブロッコリーがもつ酵素や消化酵素、犬の腸内細菌により「ゴイトリン(ゴイトロゲン)」という成分に変換されます。このゴイトリンが、甲状腺機能低下症に関連していると報告されています。
そのため、犬に過剰量のブロッコリーを与えることは、リスクがあります。
一方で、グルコシノレートは、しっかり加熱することで毒性がかなり減ることも知られています。
2)シュウ酸
ブロッコリーには、「シュウ酸」と呼ばれる成分も含まれています。シュウ酸は、ほとんどの野菜に含まれており、犬のシュウ酸カルシウム結石・腎臓結石の原因となる成分です。
3)βカロテン
「βカロテン」は、多くの緑黄色野菜に含まれている成分で、犬をはじめとする哺乳動物の体内でビタミンAに変換され、栄養として機能します。ブロッコリーにもβカロテンが豊富に含まれています。
犬にとっても必須栄養素のβカロテンですが、継続的な過剰摂取には注意が必要です。
その理由は、犬は哺乳動物の中で「ビタミンA中毒」が起こりやすいことが挙げられます。犬は、βカロテン→ビタミンAの体内変換が強力に働く動物であり、ビタミンA過剰になりやすいのです。
ビタミンA中毒は、犬の肝臓トラブルなどにつながるため、ブロッコリーの過剰摂取にも注意が必要です。
4)食物繊維
「ブロッコリーの食物繊維に要注意」というと、「?」に感じる方も多いことでしょう。
実は、ブロッコリーに限らず、野菜の食物繊維は犬の腸に合っていません。野菜の繊維質に多く含まれる「セルロース」などの成分が、犬にとっては硬質で、腸に負担を与えるのです。
硬質な食物繊維、という観点からも、犬にブロッコリーは控えめにした方よいでしょう。
(※食物繊維の留意点について、詳しくは「犬と食物繊維の相性」をご参照ください。)
ブロッコリーの利点
一方で、ブロッコリーには、犬にとっての利点もあります。ブロッコリーの犬に良いところをご紹介します。
1)水分補給
ブロッコリーの約90%は水分です。ほかの野菜にも言えることですが、ブロッコリーで水分補給できることは、犬にとっての利点です。
2)ビタミン群
ビタミンCやビタミンB群など、犬に取り入れたい栄養素をブロッコリーは持っています。
3)スルフォラファン
ブロッコリーに特徴的な成分として、「スルフォラファン」があります。
スルフォラファンは、抗酸化物質であり、毒素排出についても報告がなされています。犬にとってもプラス効果が期待できます。
4)食物繊維
要注意な成分としても取り上げた「食物繊維」ですが、ブロッコリーをしっかり茹でてあげると繊維質が軟化し、犬への負担も和らぎます。
犬にとって、食物繊維はバランスが大切です。そのため、茹でて柔らかくしたブロッコリーの食物繊維を少量取り入れることは、犬にとっても有用です。
犬にブロッコリー、与え方
犬にとって、要注意点と利点、両面があるブロッコリー。注意点を抑え、利点を引きだす、ブロッコリーの与え方をご案内します。
ステップ1)しっかり茹でる
ブロッコリーは、しっかり茹でることがお勧めです。茹でてしまうと、ビタミンCなどは活性を失いますが、「グルコシノレート」「シュウ酸」といった毒素を抜くことができ、「βカロテン」も少なくすることができます。また、ブロッコリーの食物繊維を柔らかくし、犬の腸への負担が和らぎます。
ステップ2)茹で汁を捨てる
ブロッコリーを茹でた後は、茹で汁を捨てましょう。茹で汁には、「シュウ酸」などの犬にとっての毒素が抜け出ているため、捨てた方が良いです。
ステップ3)適度なサイズにカット、少量を与える
ブロッコリーをしっかり茹でても、犬にとってはまだまだ負担のかかる食品です。そのため、食べやすい小さめサイズにカットし、少量のみを与えるようにしましょう。
まとめ
- 肉食性の強い犬にとって、ブロッコリーをはじめとする野菜類には注意が必要。
- 犬にとって、ブロッコリーには、「グルコシノレート」「シュウ酸」「βカロテン」「食物繊維」という4つの注意点がある。
- ブロッコリーには、「水分補給」「ビタミン群」「スルフォラファン」「茹でて軟化した食物繊維」という、犬にとっての利点もある。
- ブロッコリーの注意点をやわらげ、利点を引きだすために、「しっかり茹でて茹で汁を捨てる」「適したサイズで少量のみ与える」という与え方がお勧め。
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