家族の一員である愛犬たちは、飼い主さんの食べているものを欲しがりがちです。特に、飼い主さんが美味しそうに食べているものには、犬自身も食べたくなるようです。
秋の味覚「モモ」も、犬が欲しがる食べ物の一つです。でも、人間には美味しくて良い食品でも、犬に大丈夫とは限りません。
犬の栄養学の視点でいうと、「モモ」は与えてもOKな果物です。犬にモモを与えても大丈夫な理由、どういうところがモモの利点なのか、与え方のポイント、などをご紹介します。
<目次>
犬にモモを与えても良い理由
犬は肉食性が強い動物であるため、植物質の野菜・果物を与える際には、チェックが必要です。
それでも、モモについては、犬にとっての問題はあまり見当たりません。犬が苦手とする成分を含まず、水分補給やプラスとなる栄養素もあるためです。
モモの利点
具体的に、「モモ」の犬にとっての利点をみてみましょう。
1)水分補給
モモに限ったことではありませんが、果物の80~90%は水分です。犬の中には水を飲むことを苦手にする子もいることから、モモなどの果物から水分を補給できることは助かります。
2)ビタミン群
モモには、ビタミンC・ビタミンE・ビタミンB1などが含まれています。ビタミンCとビタミンEは、犬にとって相乗効果を発揮する成分であり、市販ドッグフードから取り入れにくい栄養素でもあるため、モモから摂取できることはメリットです。
※ビタミンC・ビタミンEについては、次のページもご参照ください。ビタミンCについて→「犬にビタミンCは必要⁈」、ビタミンEについて→「犬にとってのビタミンE」
3)食物繊維
モモに含まれる食物繊維は、「ペクチン」と呼ばれる成分が主体です。ペクチンは、犬の腸にも優しい食物繊維であり、整腸作用も期待できます。
(※ペクチンをはじめとする食物繊維と犬の食事について、「犬と食物繊維の相性」にて詳しくお伝えしています。)
モモと犬の糖尿病
「モモはとても甘いけれど、犬が糖尿病になったりしませんか?」という疑問を持つ飼い主さんもいらっしゃることでしょう。
でも、大きな心配はいりません。
モモが犬の高血糖につながりにくい理由
モモは、確かに甘みがあり、糖質もそれなりに含まれています。
でも、モモの糖質は「果糖」という成分が多く、ブドウ糖・ショ糖(砂糖の主成分)などに比べて、血糖値があまりアップしません。さらに、モモの食物繊維が糖質の吸収スピードを穏やかにしてくれるため、より高血糖につながりにくくなります。
実際のところ、モモは食後血糖値の指標である「GI値」が高くありません。(GI値55以下で血糖値が上がりにくい食品、という基準が一般的なところ、モモはGI値41となっています。)
そのため、モモは犬の血糖値をさほど上げるわけではない素材、ということができます。
犬にとって、モモの注意点
犬にモモを与える際に注意する点は、2つあります。
一つは、「与えすぎない」ということです。モモの食物繊維は犬に合っている、とお伝えしましたが、多量すぎるとお腹を壊す一因となります。あくまで、一口程度を与えることにとどめましょう。
二つめは、「種を与えない」ことが挙げられます。モモの種には、毒素「青酸カリ」が含まれています。モモ1個分の種あたり、平均88㎎の青酸カリが含まれているそうです。青酸カリは、人でも150~300㎎が致死量とされており、小型犬が種を一粒食べるだけでも、悪影響が考えられます。
モモの与え方
それでは、モモの犬への与え方をステップごとに見ていきましょう。
ステップ1)モモを切り分け、種を取り除く
犬が食べやすいサイズにモモを切り分け、種を除いて与えましょう。
ステップ2)少量のみにとどめる
お腹を壊したりしないよう、適量のモモを与えるようにしましょう。
(※モモを含めた果物全般のことについては、「犬と果物の栄養学」にまとめています。)
まとめ
- モモは犬に与えてもOKな食品。
- モモを食べることは、犬にとって「水分補給」「ビタミン群の補給」「食物繊維」などのメリットがある。
- モモは甘くて糖質も多いが、高血糖リスクが低い食品。
- 犬にモモを与える際の注意点として、「多量に与えすぎない」「種を与えない」の2点がある。特に、モモの種には「青酸カリ」が含まれており、絶対に犬に与えてはいけない。
- 犬にモモを与える際、切り分けて種を除く→少量にとどめる、というステップがポイント。
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