クッシング症候群は、副腎ホルモンが過剰分泌される病気であり、犬でよく見られます。犬のクッシング症候群は、治療が難しい難治性の病気と言われています。
犬のクッシング症候群は、まだまだ未解明な病気ですが、乳酸菌をはじめとする腸内細菌との関わりが考えられます。
このページでは、犬のクッシング症候群と腸内細菌の関係について、科学の知見にもとづいたお話をご紹介します。
<目次>
犬のクッシング症候群と腸内細菌の関係
犬のクッシング症候群は「ストレス」がカギとなる病気です。
クッシング症候群の犬は、「コルチゾール」と呼ばれる副腎から分泌されるホルモンなどが過剰になります。この「コルチゾール」は、別名「ストレスホルモン」とも呼ばれており、犬がストレスを感じると分泌されるホルモンです。
つまり、クッシング症候群の犬では、常にコルチゾールが異常に分泌してしまうトラブルを抱えています。
コルチゾールが過剰に分泌されると、タンパク質・脂質・炭水化物、それぞれに代謝異常がみられるようになり、免疫力や肝機能なども不安定になる傾向が出てきます。
ストレスと腸内細菌
犬のクッシング症候群のカギとなる「ストレス」は、腸内細菌と深く関わっています。
まず、ストレスは腸内細菌の構成を変化させます。動物実験において、絶食・熱さなどのストレスは、明らかに腸内細菌バランスを変えるという報告がなされています。また、ヒトにおいても、宇宙飛行の訓練で過剰なストレスがかかると腸内細菌に異常が見られたことなどが知られています。
また、腸内細菌の内容が、ストレス耐性に関与していることも研究報告されています。
犬の腸内細菌とストレスの関係性を調べた研究は多くありませんが、動物やヒトでの知見から、深く関わっていることは間違いないでしょう。(参考:ストレスと腸内フローラ)
クッシング症候群と腸内細菌
お伝えしたように、犬のクッシング症候群はストレスがカギとなる病気です。そして、ストレスは腸内細菌と深く関わっています。つまり、犬のクッシング症候群は、腸内細菌と関係していることが考えられます。犬のクッシング症候群において、腸内細菌に期待できる2つの要素を見てみましょう。
①コルチゾール抑制?!
まず、乳酸菌やビフィズス菌など、犬の腸内善玉菌が優勢になると、クッシング症候群で過剰分泌が問題となる「コルチゾール」が抑制される方向へ働くことが期待できます。
②根本原因・腫瘍対策?!
合わせて、乳酸菌などが優位な腸内環境は、犬の免疫力を良い状態にキープしてくれることが考えられます。この点、クッシング症候群は副腎や脳下垂体に「腫瘍」ができることが根本原因とされており、免疫力を高い状態に保つことは、腫瘍対策としてもプラスに働くことが想像できます。
これら、「犬のクッシング症候群と腸内細菌」の関係性について、今後の研究成果が待たれるところです。
クッシング症候群をひも解く?ストレスと腸内細菌の研究例
ここで、犬のクッシング症候群と腸内細菌の関係について、参考になりうる研究事例をご紹介します。内容は、「アスリートと腸内細菌」です。
アスリート(スポーツ選手)は、激しいトレーニング・勝負へのプレッシャーといった異常なストレスにさらされています。そのため、犬のクッシング症候群と同様に「コルチゾール」が多く分泌されています。そして、腸内細菌の状態も良くないケースが多いようです。
そのような高ストレスのアスリートが乳酸菌を取りいれることは、コルチゾールが関わる炎症を抑えるなど、プラス効果が報告されてます。
「高コルチゾール」という点で、犬のクッシング症候群と重なる要素もあり、腸内細菌をケアすることが期待できる研究例だと感じています。
クッシングの犬にお勧め、乳酸菌・ビフィズス菌を増やす工夫
最後に、クッシング症候群の犬にお勧めできる、腸内乳酸菌・ビフィズス菌を増やす工夫について、ご案内します。詳しくは、「犬への乳酸菌の効果を高めるコツ」でお伝えしていますので、このページでは簡単にご紹介します。
1)乳酸菌・ビフィズス菌を与える
乳酸菌・ビフィズス菌そのものを与えることは、クッシング症候群の犬にお勧めできます。死菌・生菌、どちらでも構いませんが、「生きて犬の腸まで届く」タイプのものがベターです。また、「腸のどの部分に届くのか」「定着するのか」、そして、「乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸菌など、善玉菌の種類」などもチェックポイントとなります。
2)腸内善玉菌を増やす食事・栄養
元々、犬の腸内で生息している善玉菌を増やす食事も、クッシング症候群の対策では良いと思います。具体的には、「発酵性の食物繊維」「難消化性炭水化物」「オリゴ糖」などの栄養成分を含んだ食事・サプリメント・ドッグフードは、クッシング症候群の犬に一考の価値があると思います。
(※クッシング症候群の治療方法や食事については、「犬のクッシング症候群、治療と食事」でより詳しくご案内しています。)
まとめ
- 犬のクッシング症候群と腸内細菌は、深く関係していることが考えられる。
- クッシング症候群の犬には、「乳酸菌・ビフィズス菌を与える」「腸内善玉菌を増やす食事・栄養」といった工夫がお勧めできる。
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