犬に与える野菜の一つに「ダイコン」があると思います。
ダイコンは、犬にとって、どういうメリット・デメリットがあるのでしょうか?
このページでは、動物栄養学の知見から、犬にダイコンを与えるときのポイントをご案内します。
<目次>
ダイコンの良い点
まず、犬にダイコンを与えるメリットを見ていきましょう。
1)ビタミンC
ダイコンは、ビタミンCが豊富です。犬は、ビタミンCを体内合成できますが、それでも体外からビタミンCを取り入れた方がベターです。
市販のドッグフードでは、ビタミンCをたっぷり補給することが難しく、ダイコンをはじめとする野菜・果物を活用することが一つです。
(※ビタミンCについて、より詳しい内容は次のページもご覧ください。→「犬にビタミンCは必要?」)
2)消化酵素
ダイコンは、野菜のなかでも酵素の活性が高いことで知られています。特に、炭水化物(でんぷん)の消化を助ける「ジアスターゼ」の活性が高いです。
消化不良の犬にとって、「ジアスターゼ」をはじめとするダイコンの酵素はプラスに働きます。
3)食物繊維
ダイコンに含まれる食物繊維もうまく活用すれば、犬にメリットとなります。
ただし、ダイコンをはじめとする野菜の食物繊維は、肉食性が強い動物である犬にとって、苦手な面もあります。だから、多く与えすぎないようにしましょう。
(※食物繊維について、詳しくは「犬と食物繊維の相性」もご参照ください。)
4)水分補給
ダイコンの約90%は水分でできています。だから、水を飲むことが苦手なワンちゃんなどには、水分補給という点でも助かる食品です。
ダイコンの注意点
一方で、犬にダイコンを与える際には、要注意な点もあります。順番にみていきましょう。
1)シュウ酸
ダイコンには「シュウ酸」という成分が含まれています。
シュウ酸は、シュウ酸カルシウム結石の原因になるなど、犬にとって好ましくありません。
ダイコンのシュウ酸・リスクを避けるためには、「茹でこぼす」ことがお勧めです。茹で汁にダイコンのシュウ酸が抜け出てくるため、犬の結石ケアに有効です。
2)食物繊維
ダイコンの良い点でも挙げた食物繊維ですが、与え方を間違えると、犬に良くない成分になります。
先にお伝えしたように、ダイコンをはじめ野菜の食物繊維は、犬には合っていません。犬の腸に負担を与えやすいタイプの食物繊維なのです。
そのため、しっかり煮込んでダイコンの繊維質を柔らかくする、少量のみにとどめておく、ということがお勧めです。
3)ダイコンの葉
ダイコンの葉っぱは、人間にとっては栄養価の高い食材です。でも、犬には与えないほうが良いでしょう。
ダイコンの葉には、βカロテン・食物繊維などが根よりも豊富に含まれています。そういうことなら、ダイコンの葉は良さそうですが、「βカロテン」「野菜の食物繊維」は、犬にとって過剰摂取が要注意な成分です。もし、ダイコンの葉を犬に与えるにしても、ごく少量にとどめておきましょう。
4)甲状腺機能低下症
ダイコンに含まれる「グルコシノレート」という成分は、犬の甲状腺機能低下症に関わるリスクが指摘されています。実際に、ダイコンに含まれるグルコシノレートが、犬の甲状腺にどういった影響を及ぼすか、研究報告はありませんが、注意をしたほうが無難でしょう。
ダイコンの犬への与え方
それでは、ダイコンの良い点をできるだけ活かし、注意点を軽減する、犬への与え方をご案内します。
ステップ1)皮と葉を除き、適度なサイズにカット
犬にとって消化が悪く、要注意な成分を含んでいる「ダイコンの皮・葉」を除くようにしましょう。そして、小さいサイズにカットしましょう。
ステップ2)しっかり茹でる
犬にダイコンを与える際は、「しっかり茹でる」ことがお勧めです。実は、茹でてしまうと、ダイコンのビタミンC・酵素は壊れてしまします。でも、食物繊維が柔らかくなり、シュウ酸が抜け、グルコシノレートのリスクが減る、といったダイコンの注意点がかなり無くなります。
失われる「ダイコンの良さ」よりも、「ダイコンのリスク軽減」が上回るため、ダイコンを茹でて犬に与えることをお勧めします。
ステップ3)茹で汁を捨てて、少量のみ与える
最後に、茹で汁を捨てて犬に与えるようにしましょう。茹で汁には、犬の栄養も含まれていますが、シュウ酸をはじめとする有害成分もあります。茹で汁を捨てて、茹でこぼしたダイコンを犬に与えるようにしましょう。
そして、与えるダイコンの量も控えめにしましょう。茹でこぼしたダイコンでも、肉食性の強い動物である犬には、少量のみにとどめておいたほうが無難です。
まとめ
- 犬にとって、ダイコンには「ビタミンC」「食物繊維」「消化酵素」「水分補給」といったメリットがある。
- 一方で、ダイコンには「シュウ酸」「食物繊維」「ダイコンの葉」「甲状腺機能低下症」という犬への注意点もある。
- 犬にダイコンを与える際、「葉・皮を除いてカット」→「しっかり茹でる」→「茹で汁を捨てて少量のみ」というステップがお勧め。
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