犬の下痢、3つのチェックポイントと対処法

犬の下痢

「愛犬の下痢に合った、対処法がわからない。」そんな悩みを抱えていませんか?

犬の下痢には、様々な症状・原因があり、対策にも違いがあります。そのため、個々の下痢症状に合った「対処法」をとらなければなりません。

ただ、犬の消化器トラブルは複雑であり、正確な診断が難しいケースもあります。

そこで、このページでは、ワンちゃんの下痢を3つのチェックポイントで分類し、その分類に基づく「対処法・食事対策」をまとめてお伝えします。記事を読んでいただくことにより、「愛犬の下痢」のお悩み解決をサポートできれば幸いです。

<目次>

犬の下痢、3つのチェックポイント

獣医療において、犬の下痢・軟便を見極めるために、下記「3つのチェックポイント」を見ることが多いです。

  1. 「急性下痢」か「慢性下痢」か
  2. 「小腸性の下痢」か「大腸性の下痢」か
  3. 「消化器に原因」があるのか「消化器以外に原因」があるのか

以上の3つのチェックポイントについて、順にご案内します。

1.「急性下痢」か「慢性下痢」か

まずは、犬の下痢が「急性」「慢性」どちらなのか、チェックすることが重要です。

「急性の下痢」は、自然に治ることが多く、動物病院での対症療法を行えば問題ないケースがほとんどです。もし、対症療法で治らなかったとすれば、慢性下痢として再度対処することになります。

最初から「慢性の下痢」と分かっている場合は、より根本的な食事療法や、各種検査を行うケースもあります。

2.「小腸性の下痢」か「大腸性の下痢」か

犬の下痢の原因が、「小腸」に由来するものなのか「大腸」なのか、特定することは非常に大切です。

「小腸性」「大腸性」の判別は、ワンちゃん個々の症状を詳しくチェックすることで、かなり正確な診断が可能です。例えば、次のような項目で鑑別することが有用です。

①下痢の頻度

下痢をする頻度(便の回数)について、「大腸性」の場合に多くなります。例えば、大腸性下痢の犬では、1日4~6回の排便が見られるケースが一般的です。

対して、「小腸性下痢」では、回数では異常が見られず、1日あたり1~2回です。

②1回の便の量

下痢の頻度に応じて、「小腸性下痢」では1回あたりの便の量が多くなり、「大腸性下痢」では少なくなる傾向にあります。

③血便がある場合の特徴

犬の下痢に「血液便」「血便」が混ざっている場合、便の色や形態にも「小腸性」「大腸性」で違いがあります。

「小腸性下痢」では黒色便となり、一見血便とはわかりにくいこともあります。「大腸性下痢」では、はっきりと鮮血(赤色の血便・血液便)とわかる場合が多いです。

④粘液便の有無

犬の「小腸性下痢」では、粘液便・粘膜便が見られることもあります。一方で、「大腸性下痢」では、粘液便・粘膜便は見られません。そのため、犬に粘液便・粘膜便がある場合、小腸にトラブル原因があることが考えられます。

⑤便を出すときの様子

犬が排便しにくそうにしている場合、それは「大腸性下痢」の可能性が高いです。小腸性下痢では、基本的に排便しにくそうな仕草はないことが一般的です。

⑥その他

下痢に「嘔吐を伴う」場合、胃や小腸にトラブル原因のある可能性が高いです。ただ、一部の「大腸性下痢」にも嘔吐を伴うことがあり、一概には言えない面もあります。

また、「体重減少」はどちらかと言えば「小腸性下痢」で見られる現象です。犬の「大腸性下痢」では、食欲不振に陥ることはまれですし、体重減少の傾向はあまりありません。

小腸性下痢・大腸性下痢の「見極めチェック表」

下記、ご案内した犬の「小腸性下痢」「大腸性下痢」をチェックポイントを一覧表としてまとめます。

  小腸性下痢 大腸性下痢
下痢の頻度(1日あたり排便回数) 1~2回/日(回数は少ない) 4~6回/日(回数が多い)
便の量 排便1回あたりの量が多い 排便1回あたりの量が少ない
血便がある場合の特徴 黒色便 鮮血交じりの血便、血液便
粘液便の有無 粘液便・粘膜便のことがある 粘液便・粘膜便はない
便を出すときの様子 排便しにくそうな様子はない 便を出しにくそうな様子
その他 嘔吐を伴うこともある、体重減少の傾向 嘔吐なし・体重減少なし、の傾向

3.「消化器に原因」があるのか「消化器以外に原因」があるのか

犬の下痢には、「消化器以外に原因」があるケースもあります。犬の身体検査や症状により、できるだけ原因を見定めなければなりません。

「消化器以外の下痢原因」として、例えば、次のようなケースが挙げられます。

  • 慢性腎不全による下痢・嘔吐
  • リンパ腫など、がん・腫瘍性疾患
  • 黄疸などを伴う肝臓病

これら消化器以外に下痢の原因がある場合、その根本への治療が望まれます。

下痢の5分類について

ご案内した「3つのチェックポイント」に沿うことで、犬の下痢を下記5種類に分類することができます。

  1. 急性・小腸性下痢
  2. 急性・大腸性下痢
  3. 慢性・小腸性下痢
  4. 慢性・大腸性下痢
  5. 消化器以外を原因とする下痢

動物医療の現場では、犬の下痢をこれら5種に分類し、治療方針を立てることが一般的です。5種の下痢について、原因・対処法などをそれぞれ見ていきましょう。

①急性・小腸性下痢

「急性の小腸性下痢」では、全身症状がある(重症な)ものと全身症状がない(軽症な)ものに分けて考えることがポイントです。

軽症の「急性・小腸性下痢」

全身症状がない「急性・小腸性下痢」では、大きな心配はいりません。「不適切な食事」「ごみなどの誤食」「医原性」などであることが多く、しばらくすると自然に治癒します。

一時的には食事がとれず、ぐったりするかもしれませんが、脱水症状に気をつけながら最低限の治療とともに様子を見てあげましょう。

重度な「急性・小腸性下痢」

より重症度が高い、全身症状の見られる「急性・小腸性下痢」のワンちゃんでは、検査に基づく対処・治療が求められます。この場合、例えば次のような原因が考えられます。

  • 毒性のある細菌(サルモネラ・大腸菌など)・ウィルス(ジステンパー・パルボ・コロナなど)・寄生虫の感染
  • 有毒物の誤飲誤食
  • 出血性の胃腸炎
  • 急性膵炎

上記の根本原因が特定できれば、それぞれへの対処・治療が可能となります。

②急性・大腸性下痢

犬の「急性・大腸性下痢」には、下記のようなタイプがあります。まずは、どのタイプが根本原因となっているのか、見極めることが大切です。

  • 鞭虫を原因とする症状
  • 痙攣性大腸炎(過敏性腸症候群などとも呼ばれる)
  • 細菌性大腸炎

これらは、それぞれの治療薬・抗生剤の投与などにより小康化できますが、慢性症状に転化することもあるため、注意が必要です。

③慢性・小腸性下痢

犬の下痢の中で、最も症例数が多く複雑なものが「慢性・小腸性」タイプです。

「慢性・小腸性下痢」を厳密にチェックするためには、食事・各種の小腸疾患・腸以外の疾患、などを鑑別しなければなりません。しかし、これらを全てチェックするとなれば、膨大な検査を行うことになるため、臨床現場では獣医師の経験にもとづいた診断が進められることになります。

多くの場合、「抗菌剤(抗生剤)」「ステロイドなどの抗炎症&免疫調整剤」「整腸剤(ビオフェルミンや乳酸菌サプリメント)」「駆虫薬」などが治療薬として活用されます。

また、治療との両輪で、犬の小腸性下痢に合った食事療法も進められることになります。

④慢性・大腸性下痢

犬では、小腸性下痢に比べると「大腸性」は発症数が少ない傾向にあります。それでも、「鞭虫・寄生虫」「潰瘍性」「好酸球性」「細菌感染」「ポリープ・腫瘍」「アレルギー性」「異物」「痙攣性」など原因は多岐にわたるため、正確に診断するには困難が伴います。そのため、小腸性下痢と同様、獣医師の経験にもとづく治療が行われることが一般的です。

犬の「慢性・大腸性下痢」では、抗菌剤や整腸剤・駆虫薬などとともに、「食物繊維を活用した食事療法」が検討されます。

⑤消化器以外を原因とする下痢

「消化器以外を原因とする下痢」の場合、通常の下痢対策の対処・治療だけでは、症状が十分に改善されません。そのため、「腎不全」「がん・腫瘍性疾患」「肝臓病」などの病因への治療と「消化器」ケア、両方を意識することになります。

犬の下痢、7つの対処法

ここまで読み進めていただくことで、ご愛犬の下痢が5種類のどれに当てはまるのかを特定し、大まかな対処法のイメージを持ってもらえたのではないでしょうか。

ここかからは、各・対処法について、より具体的にご案内していきます。以下の記事により、ご愛犬の下痢症状にマッチした対策をつかんでもらえればと思います。

下痢対処1)3ポイントで見極める、「ビオフェルミンなど整腸剤」「乳酸菌サプリ」

ビオフェルミンをはじめとする整腸剤は、犬の下痢対策にもプラスに働きます。

ビオフェルミンなどの整腸剤は、乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸菌といった「犬の善玉菌」を薬剤化したものです。また、いわゆる「乳酸菌サプリメント」も医薬品の認可を受けている・受けていないの違いはありますが、整腸剤と同じような機能を果たします。

そして、犬の下痢の対処法として、整腸剤・乳酸菌サプリメントを検討する際、3つのチェックポイントがあります。「善玉菌の種類」「生菌or死菌」「善玉菌の数量」の3ポイントを抑えましょう。

(※ビオフェルミンなど整腸剤について、より詳しくは「犬にビオフェルミン(整腸剤)の効果」をご参照ください。)

ポイント①善玉菌の種類

まずは、整腸剤・サプリメントに含まれる「善玉菌の種類」をチェックしましょう。様々な菌の種類があるものの、大きくわけると「乳酸菌」「ビフィズス菌」「酪酸菌」あたりに分かれます。

選び方は様々ですが、犬の下痢症状が、「小腸」「大腸」のどちらに起因しているのかがわかれば、絞りやすくなります。つまり、小腸性下痢の犬では、小腸に生息しやすい「乳酸菌」タイプを、大腸性下痢の犬では、大腸に生息する「ビフィズス菌」「酪酸菌」タイプの整腸剤・サプリメントを選ぶと良いでしょう。

ポイント②生菌or死菌

犬の善玉菌は、生きて腸に届く「生菌」と、生きては届かない「死菌」があります。ただ、善玉菌は、死菌であっても腸内環境をよくする効果があるため、「生菌の方が良い」とは一概に言えません。それでも、有用な善玉菌を生きたまま腸に届けるという点において、「生菌」の方が幅広いメリットが得られると思います。

また、「生菌」の中でも、「犬の腸に定着する」タイプと「腸に定着しにくい」タイプの菌があります。もちろん、生きて腸に届き、かつ、腸に定着するタイプの善玉菌が理想です。

ポイント③善玉菌の数量

犬の整腸剤・乳酸菌サプリメント内の「善玉菌」は、基本的に数量が多い方が有用です。犬の腸は、とても広大な器官であり、できるだけ善玉菌優位な環境にするため、多量の善玉菌を取り入れることはプラスとなります。

一方で、菌の種類により必要な善玉菌の量が異なります。そのため、「乳酸菌○○億個!」などという宣伝文句をうのみにし過ぎず、どういった種類の菌なのかチェックしなければなりません。そして、その菌種の適量分が含まれている整腸剤・サプリなのかを判断するようにしましょう。

※整腸剤・乳酸菌サプリメントがマイナスとなるケース

実は、整腸剤や乳酸菌サプリが、犬の下痢対策にマイナスとなるケースもあります。犬の腸の損傷が激しく、腸粘膜がかなりダメージを受けている場合、多量の善玉菌がやってくることで炎症反応が増長することもあるのです。そのため、下痢・血便がひどい犬については、整腸剤・乳酸菌サプリの活用はじっくり経過をみるようにしましょう。

(※乳酸菌については、次のページで詳しくご案内しています。→「犬への乳酸菌の効果を高めるコツ」)

下痢対処2)犬の下痢にも良い?!「ヨーグルト」

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犬の下痢対策を長い目で考えると、「ヨーグルト」を続けて与えることもお勧めです。ただし、ヨーグルト量が多すぎると、逆に下痢を悪化させるリスクもあるため、過剰になりすぎないように注意しましょう。

(※ヨーグルトに関して、より詳しくは「犬にヨーグルトは大丈夫?」もご参照ください。)

下痢対処3)下痢止め

動物病院の治療で「下痢止め」が行われることもあります。確かに、犬の下痢症状によっては、下痢止めの力を借りなければならないシチュエーションも多いですが、乱用は禁物です。

理由として、犬の下痢は、異物・有毒菌の排出や体内コントロールのためにおこる生理現象であり、それを無理にストップすることは、健康そのものに悪影響を及ぼすリスクがあるためです。

もちろん、獣医師の指導・判断で「下痢止め」を検討することが大前提。しかし、飼い主さんご自身が犬の症状をチェックし、下痢止めの妥当性をチェックすることも大切です。

下痢対処4)抗生物質(抗生剤)

犬の下痢は、腸内細菌が深く関わっています。有害菌の感染による急性下痢はもちろん、犬に常在している腸内細菌のバランスが崩れ、下痢を誘発することもあります。

そのため、犬の下痢では、抗生物質(抗生剤)が力を発揮するケースも多いです。

一方で、抗生物質は、諸刃の剣でもあります。悪玉菌・有害菌をやっつける一方で、犬にとって善玉菌をも押さえつけてしまうためです。

そのため、抗生物質は、適切に扱わなくてはなりません。理想としては、悪さをしている菌を特定し、その菌に対する抗生物質を適量投薬することが望ましいです。

そして、よほどのことがない限り、抗生物質の投与を継続することはリスクがあります。実際に、抗生物質を長年投薬された犬では、腸内細菌がほとんど存在しない、というケースも報告されています。

下痢対処5)胃腸薬、酵素剤

犬の下痢症状において、胃腸薬が効果を発揮することもあります。胃腸薬には、「消化を助ける」「胃腸を保護する」といった性質が一般的ですが、そういった機能が、犬の下痢症状を緩和してくれることがあります。

同様に、酵素剤・酵素サプリメントなども、犬の下痢緩和にプラスとなりえます。

胃腸薬・酵素が合っているケースは、犬の「胃」「膵臓」のトラブルを原因とする下痢や胃腸炎などが挙げられます。

下痢対処6)ステロイド、抗炎症剤

犬の下痢では、炎症や免疫反応が過剰となっていることもあります。その場合、ステロイドや抗炎症剤が、犬の下痢症状を緩和してくれます。

ただし、ステロイドや抗炎症剤は、あくまで対処療法にすぎません。根本的な解決のためには、腸内細菌バランスの改善・食事対策・胃腸組織の修復、といった対処が望まれるところです。

また、ステロイドや抗炎症剤の乱用は、犬に副作用をもたらします。免疫やホルモンのバランスを崩し、下痢以外のトラブルや内分泌疾患などにつながるリスクもあります。

下痢対処7)駆虫薬

 

犬の下痢、食事対策3ステップ

犬の下痢の対処法として、最も重視したいポイントが「食事対策」です。なぜなら、下痢は消化器官である胃腸が関わるトラブルであり、食事による影響を大きく受けるためです。

そして、下痢の症状により、犬の食事内容も異なります。「愛犬の下痢には、どんな食事対策が合っているのか」、次の3ステップをチェックしてみましょう。

ステップ①急性下痢かどうかの見極め

まず、犬の下痢が「急性」かどうかを見極めることがファースト・ステップです。

急性下痢の場合、感染や異物の誤食などが原因として挙げられますが、食事対策を講じている余裕もないケースが多いです。急性の場合、下痢・嘔吐の症状がひどく、全くご飯を食べない犬がほとんどです。そのため、脱水症状の対策をとりながら、点滴を含めた栄養失調のケアを行うことになります。そして、一時的に「絶食」状態になりますので、食欲が戻ってきたら、急に普段の食事・ドッグフードを与えるのではなく、より消化のよい食べ物をあげるようにしましょう。

ご愛犬が急性下痢ではない場合、次のステップ②に進んでください。

ステップ②「小腸性下痢」「大腸性下痢」、どちらかチェック

第2ステップは、犬が「小腸性下痢」「大腸性下痢」どちらなのか、チェックすることです。犬の「小腸性下痢」「大腸性下痢」を判断するポイントをまとめると、次のとおりです。

  • 小腸性下痢 → 液状の水っぽい下痢、嘔吐が見られることも、黒色タール状の血便が混ざることも、多量の下痢
  • 大腸性下痢 → ゼリー状の粘膜・粘液便、赤い血が混じることも、少量頻回の下痢

ステップ③下痢対策の食事実践

愛犬の下痢が「小腸性」「大腸性」、どちらか判断できれば、それぞれの具体的な食事対策を見ていきます。

小腸性下痢の食事対策

小腸性下痢の犬では、「高消化・高栄養」の食事内容が望まれます。つまり、消化が良く栄養価が高い食事・ドッグフードにより、少ない量でも栄養を補給できるようにし、犬の胃腸負担を減らすことが目的です。

  1. タンパク質・脂肪・炭水化物、それぞれの消化性(消化率)を高める
  2. 高カロリー・高タンパク質・高脂肪
  3. 犬の腸に合った食物繊維バランス(胃腸負担が少なく、消化を妨げないタイプの水溶性食物繊維・不溶性食物繊維をバランス良く少量配合)
  4. 脱水対策のために、ナトリウム・クロール・カリウム等のミネラルバランスを調整
  5. 腸内善玉菌を増やす工夫(乳酸菌などを配合する、腸内善玉菌のエサとなるオリゴ糖や難消化性炭水化物などを増やす、等)

大腸性下痢の食事対策

大腸に起因する下痢タイプの犬では、「高食物繊維」をベースとした食事対策となります。具体的には、犬に合った食物繊維を増量することにより、腸の運動性や分泌異常を回復し、腸内細菌バランスを整えることを意図します。

  1. 犬の腸に合った食物繊維を増量した食事・ドッグフード
  2. できる限り、タンパク質・脂肪・炭水化物の消化を妨げない内容(食物繊維の増量は、消化性を低くしてしまうが、できる限り消化が悪化しないようにする)
  3. できる限り、総合カロリー・各栄養価を落とさない内容(食物繊維の増量は、総合カロリーや栄養価を落としてしまうが、できるだけ高栄養をキープするようにする)
  4. 脱水対策のために、ナトリウム・クロール・カリウム等のミネラルバランスを調整
  5. 腸内善玉菌を増やす工夫(乳酸菌などを配合する、腸内善玉菌のエサとなるオリゴ糖や難消化性炭水化物などを増やす、等)

なお、これらの食事対策は、すぐに下痢症状の改善を期待するものではなく、長い目で犬の健康そのものを良くしていくような取り組みとなります。そのため、食事は根本対策という理解のもと、継続して対処してあげなければなりません。

また、「小腸性下痢」「大腸性下痢」ということで大別しましたが、犬によっては、大腸性の下痢であっても「高消化・高栄養」が合うケースや、その逆パターンのこともあります。そのため、慎重に経過をチェックしながら、食事対策を進めるようにしましょう。

まとめ

この記事は、複雑でわかりにくい「犬の下痢」について、できるだけ個々のワンちゃんで対処法を見つけて実践いただけるよう、整理することを心がけました。ご愛犬の下痢症状に合った、対処法を把握いただけましたでしょうか?

下記、本ページ内容の「まとめ」です。犬の下痢について、ご不明な点など、末尾の問い合わせフォーム等から仰ってくださいませ。

  • 犬の下痢は、個々の症状に合わせた対処法をとることが大切。そのために、まずは「犬の下痢・9種の症状」一覧をチェックし、愛犬の状態・対処法を知ることが第一歩。
  • 犬の下痢の対処法には、「ビオフェルミンなど整腸剤・乳酸菌サプリ」「ヨーグルト」「下痢止め」「抗生物質(抗生剤)」「胃腸薬・酵素剤」「ステロイド・抗炎症剤」、そして、「食事対策」などがある。
  • 犬の下痢の食事対策は、「急性の下痢かどうか」「小腸性下痢・大腸性下痢の見極め」「各下痢対策の食事実践」という3ステップで考えることがお勧め。