犬のダイエット 4つの食事対策

犬のダイエット

病気になるリスクが高く、短命な肥満犬。太ったワンちゃんは、健康的なダイエットがとても大切です。かといって、「減量」だけを追いかけ、犬に負担となるダイエットを強いてはいけません。基本的な栄養を取り入れながら、焦らず、自然に体重が落ちていくような食事を目指しましょう。

<目次>

犬の健康ダイエットのカギ、4つの食事対策とは?

健康的なダイエットを実現するためには、「低カロリー」のみならず「必要栄養の補給」をしっかり行う必要があります。さらに、肥満犬が抱えるリスクについて、食事対策をとることも大切です。

肥満犬が抱えるリスク、メタボ・新4基準

肥満犬が抱える健康リスクとは何か?その最たるものが「犬のメタボ」です。

「犬のメタボ」というと、何だか曖昧なイメージがあるかもしれませんね。実際、「犬のメタボ」の基準は今まで定まっておらず、肥満で不健康なワンちゃん?!といった解釈が一般的でした。

ところが、犬の肥満が常態化し、それに伴う生活習慣病が多くなるにつれ、「犬のメタボ」基準が設けられることになったのです。それが、次の「犬のメタボ・新4基準」。

  1. 肥満:BCS(肥満指数)5段階中3.5以上
  2. 高血糖:血糖値120以上
  3. 高脂血:中性脂肪165以上、総コレステロール200以上
  4. 免疫力低下:アディポネクチン(免疫系ホルモン)10以下

これら4基準は、2016年秋より、動物病院で導入予定です。曖昧だった「犬のメタボ」について、明確な数値管理がなされることになります。

もし、「肥満」だけが問題となっているワンちゃんでも、「高血糖」「高脂血」「免疫力低下」が表面化するリスクが潜んでいます。そのため、犬のダイエットでは、これら4つの基準全てにおいて、対策をとることがポイントとなります。

犬のダイエット、4つの食事対策

犬の食事対策

それでは、犬のメタボ基準を反映した、4つの食事対策を見ていきましょう。

1)低糖質

1つめのダイエット食事対策は、糖質・炭水化物を少なくすることです。

特に、消化吸収されやすいブドウ糖や砂糖、可消化性デンプンといった糖質・炭水化物に注意が必要です。これらを多く含むドッグフードは避けるようにしましょう。

食品としては、「甘いもの」はもちろん、白パン(食パンなど)も好ましくありません。炊飯した白米も吸収されやすいため、あまり多く与えない方が良いでしょう。

2)低脂肪

犬の健康ダイエット対策、2つめは「低脂肪」。そして、脂肪の量を少なくすることはもちろん、「脂肪の質」にも気を配りましょう。

  • 取りいれなければならない「必須脂肪酸」の適量補給
  • 脂肪の酸化防止

これらは、ダイエットに限らず犬の健康全てに大切なポイントであるため、別ページで詳しくご案内します。

ダイエット手作り食のコツとして、脂身の多い肉よりも鶏のササミや胸肉、魚など、脂肪分の少ないタンパク源を、加熱は軽く茹でる程度にとどめて与えるようにしましょう。(高温により、脂肪の酸化が進むためです。)

3)タンパク質・アミノ酸・ビタミン・ミネラルの補給

「低糖質」「低脂肪」に配慮することで、「低カロリー」が実現され、犬の減量はもちろん、高血糖・高脂血をケアすることにもつながります。

それらにプラス、必要な栄養素をしっかり補給してあげることも重要です。

まず、タンパク質をしっかりと与えましょう。タンパク質により、犬の活力がキープされ、基礎代謝を高めることにもつながります。さらに、タンパク質の構成要素「アミノ酸」をチェックすることがより望ましいです。特に「リジン」「カルニチン」という2種のアミノ酸が、犬の脂肪燃焼・ダイエットに効果的です。

ビタミンやミネラルのバランスも、犬のダイエットフードのチェックポイントです。ビタミンC・ビタミンE・セレン・ナトリウム・カリウムの適した配合バランスが、犬のダイエットに貢献します。

4)免疫力キープ

犬のメタボ4基準の中で、特徴的なポイントが「免疫力の低下」です。これは、人間のメタボ基準にはない要素となっています。免疫力キープが、犬の健康につながることはもちろん、基礎代謝を高め、ダイエットにも関係してきます。

免疫力をキープするとされている成分は、数多くあります。その中で、小腸などの表面で免疫応答の関わる成分が、最も深く研究されています。例えば、キノコなどに多く含まれる「βグルカン」や、細菌に含まれ穀物などにも付着している「LPS」という成分が挙げられます。

これらの免疫力キープ成分を犬に与えることは一つですが、腸内環境、特に小腸を健康に保つことも重要です。小腸には、免疫細胞の60%以上が集まっていると考えられており、小腸を健やかに保つことで、免疫力も維持されます。善玉菌を増やすこと、腸に負担をかけない食事・ドッグフードを与えること、などを心がけるようにしましょう。

おすすめのダイエットフード

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それでは、いよいよ実践編です。今までお伝えした4つ食事対策をもとに、おすすめできる犬のダイエットフードをご案内します。(ダイエットドッグフードのおすすめランキングを公開してほしい、という声もいただいていますが、私たちの主観で業者さんにご迷惑をおかけしたくないので、こちらでは控えさせていただきます。)

犬心 糖&脂コントロール

私たち自身が開発・販売しているドッグフードです。もともと、糖尿病・膵炎・高脂血症など、病気に対応した療法食として作ったフードですが、犬のメタボ4基準に全て対応した栄養内容となっています。さらに、ナチュラルな原料にこだわり、脂肪の酸化を防ぐ製法にもこだわった自信作のダイエットフードです。

犬のダイエットやメタボ・肥満対策に。食事療法療法食(ドッグフード)「犬心 糖&脂コントロール」がお勧めです。

「犬の健康ダイエット&メタボ対策」に。ナチュラル療法食(ドッグフード)

ロイヤルカナン 満腹感サポート および 減量サポート

全国の動物病院に流通している、ロイヤルカナンブランドの犬のダイエットフードです。両商品とも、摂取カロリーを制限しながらも、タンパク質・ビタミン・ミネラル等が補給できる内容となっています。

ヒルズ メタボリクス および r/d および w/d

動物病院向け療法食ブランドとして、ロイヤルカナンと双璧のヒルズ社製ダイエットフードです。カロリー制限を行いながら、栄養バランスを保てる内容の犬のダイエット食です。犬の肥満度合や病気により、3つのダイエットフードがラインナップされています。

鹿肉をはじめ、原料にこだわった犬のダイエットフードです。内容はとても優れていると思いますが、やや高額なプレミアム・ダイエットフードとなっています。

犬のダイエット、手作り食のコツ

市販のダイエット・ドッグフードに続き、手作りダイエット食について、ご案内します。市販ドッグフードと同じく、「犬のダイエット4つの食事対策」を意識しながら、取り組むようにしましょう。

犬のダイエットと「野菜」

「野菜」を犬の手作りダイエット食、ダイエットトッピングとして、活用される飼い主さんは数多くいらっしゃいます。野菜は、低カロリーで食物繊維豊富、ビタミン・ミネラルも含まれ、犬のダイエットに良い食品であることに違いはありません。

一方で、野菜活用の注意ポイントが2点あります。

まず、野菜の食物繊維について。もともと、肉食性が強い犬は、野菜の食物繊維を苦手にしています。肉食に適した犬の腸には、野菜の食物繊維は固すぎるのです。犬の腸に負担を与えるばかりか、場合によっては腸を傷つけ、病気につながることもあります。

次に、野菜の成分「βカロテン」について。当然のことながら、犬と人間は生まれもった栄養代謝の能力が異なります。「βカロテン」の代謝は、犬と人間で大きく異なる要素の一つです。具体的には、βカロテンを過剰に与えると、犬の肝臓などに負担を与えます。肝臓疾患につながるリスクも高く、βカロテンの過剰摂取は避けなければいけません。

βカロテンは、ニンジンなどの成分として有名ですが、その他の緑黄色野菜にも広く含まれています。そのため、犬の緑黄色野菜の過剰摂取は、避けなければなりません。ニンジン以外にも、大根やキャベツなど、犬に良いように思われていますが、留意しましょう。

以上、犬にとって、野菜活用の注意点2つ(固い食物繊維、βカロテン)をご案内しました。犬のダイエットで野菜を活用するためには、これら2点の対策を施しましょう。実践的な対策として、「野菜活用は少量にとどめる」「しっかり茹でてゆで汁は捨てる」というこをおすすめします。

犬のダイエットと「おから」

低カロリーなダイエット食品として、「おから」を活用されることが多いようです。しかしながら、「おから」を犬に与える際には、注意が必要です。

おからは、食物繊維などが豊富で、成分数値だけをみると、犬のダイエットにも向いているように思えます。ただし、おから(大豆)の食物繊維などは、過剰に与えると犬の消化器に負担となります。場合によっては、腸疾患につながることもあり、注意しましょう。

かさまし・満腹感付与を目的に、おからを少量のみ加えることは、犬のダイエットにもプラスです。適量は、犬によって個体差があるものの、便の状態をチェックしながら、健康便をキープできる範囲であれば、問題ないと思われます。

なお、おからに限らず、豆腐などの大豆食品全般に同様のことが言えます。犬にとって適量を見極め、与えるようにしましょう。また、おからを活用した、犬のダイエットレシピも別ページにてご案内予定です。

犬のダイエットと「寒天」「こんにゃく」

「寒天」や「こんにゃく」など、食物繊維豊富なダイエット食品を犬に与えることも多いと思います。これらは、犬に悪い食品ではありませんが、与える際には少し注意が必要です。

結論からお伝えすると、「高含量にしすぎない、大きな塊のまま与えない、与えすぎない」ということが挙げられます。

犬の消化器、特に腸は人間と大きな違いがあります。犬の腸は、人間と比べて、食物繊維の代謝に向いていないところがあり、繊維質をたっぷり与えることがプラスに働くとは限りません。そのため、寒天やこんにゃくをダイエット食として犬に与える際に、ある程度細かく砕いたもの、含量を少なめにしたもの、を少量与えるにとどめましょう。

犬の手作りダイエット食のポイント

手作りダイエット食により、犬の肥満対策を行うことは、意外と難しいといえます。その中で、実践可能なポイントをご紹介できればと思います。

まず、「お肉」について。脂肪の多いお肉を避け、鶏のササミ・胸肉・鹿肉などを与えるようにしましょう。肉をやめ、お魚に変えることも犬のダイエットには効果的です。(ただし、お魚は食べないという子も多いですし、いきなりお魚のみというのは難しいかもしれないので、肉とミックスさせるのがおすすめです。)

低脂肪のお肉・魚をメインにしながら、イモ類・穀類を適量加えましょう。穀類については、ダイエット目的なので、白米よりは玄米・雑穀・大麦などが好ましいです。より詳しいところでは、一部の穀物を炊飯し、一部は生穀物粉のブレンドが最良です。ただ、これを手作り食で実行することは困難であるため、100%炊飯したものでも構いません。イモ類・穀類は、犬にとって最低限のエネルギーを補給することにとどまらず、犬に優しい食物繊維源でもあります。そのため、血糖値上昇を穏やかにし、善玉菌アップも見込める食品です。

そして、場合によって、先にご紹介した「茹で野菜」「おから」「寒天」「こんにゃく」などを少量加えましょう。繰り返しになりますが、これらダイエット食品は、犬にとって負担になることもあり、あくまで適量(少量)のみにとどめるようにしましょう。

また、犬のダイエット用に手作りおやつを工夫されている飼い主さんもいらっしゃいます。おやつについても、ダイエットドッグフードと同じ考え方です。犬のダイエット手作りおやつのレシピなども、別ページでご紹介できればと思います。

犬のダイエットやメタボ・肥満対策に。食事療法療法食(ドッグフード)「犬心 糖&脂コントロール」がお勧めです。

「犬の健康ダイエット&メタボ対策」に。ナチュラル療法食(ドッグフード)

犬のダイエットフード まとめ

  • 犬のダイエットは、「低糖質」「低脂肪」「バランスよく栄養補給」「免疫力維持」という4ポイントを意識したドッグフード・食事が大切。
  • 市販ドッグフードには、「犬のダイエット4つの食事対策」に照らし合わせ、おすすめできる商品がある。
  • 手作りダイエット食のコツとして、低脂肪の肉魚+イモ類・穀類+少量の野菜など。