犬の糖尿病 インスリンと食事の関係性

注射

犬の糖尿病では、インスリン投与と食事療法が2大対策になります。そして、「インスリン」と「食事」は合わせて考えなければなりません。

このページでは、食事に合わせたインスリンの投与方法・投与量、犬が高血糖/低血糖になった場合の対策、などをご案内します。

<目次>

インスリンの投与方法・タイミング

ほとんどの犬の糖尿病では、インスリンの投与が必須となります。(※中には、インスリン投与が必須ではない糖尿病のワンちゃんもいます。)

そして、インスリンの投与方法は食事に合わせることが基本です。

インスリンと連動した食事

まず、糖尿病の食事については、1日に必要なカロリーを計算し、その半分の食事を1日2回与えます。1日1回の食事では、血糖値を安定させることが難しいため、ご注意ください。食事の給与は、12時間おきに行うことが理想です。

(※インスリンと連動した犬の糖尿病の食事について、次のページもご参照ください。→犬の糖尿病の食事療法 2つのパターン

食事に合わせたインスリンの投与方法

インスリンは、食事に合わせて1日2回投与します。与えた食事によるエネルギー補給量を試算し、それに合ったインスリンを探ことになります。

インスリンの選択方法

インスリンと言っても、多種類の製剤があります。どの種類を選ぶのか、症状・犬種・体重・活動量などにより適正が異なります。この点は、獣医師との連携が大切なポイントです。

また、インスリンは、身体のどの部位に投与するかで効果の発揮時間や吸収速度が変わります。そのため、糖尿病の症状によっては、インスリンの種類だけではなく、投与部位も選択しなければなりません。

インスリンの投与量

犬の糖尿病では、基本的なインスリンの投与量は0.4~0.8U/kgの範囲です。食事のエネルギー計算を間違えていない限り、投与量の変動は多くありません。

ただし、糖尿病の進行、他の病気との併発が見られる場合など、インスリン量を増やさなければならないことがしばしばあります。

インスリンで高血糖になった場合の対策

インスリン投与量と食事内容のバランスが悪く、高血糖になることがあります。この場合、インスリンの量と種類、食事内容を見直さなければなりません。

インスリンによる高血糖・症状の2つのケースを見ていきましょう。

ケース1)食後8時間以降「高血糖」、食後4時間以内の「低血糖」は無し

例食後8時間以降に高血糖がみられる場合、投与しているインスリンの効果が早い段階でなくなっている可能性があります。そのため、インスリン投与量を増やすことを検討しなければなりません。

ケース2)食後8時間以降「高血糖」、食後4時間以内の「低血糖」あり

食後4時間以内の低血糖が合わせて見られる場合、インスリン投与量を増やすことは危険です。さらに低血糖の症状がひどくなる恐れがあるためです。

そのため、製剤の種類をより「長時間型」に変更します。もしくは、食後の血糖上昇が早めにあらわれるドッグフードを活用することも一つです。

インスリンで低血糖になった場合の対策

犬の糖尿病において、食後8時間以降でも低血糖が見られる場合、投与しているインスリンの効果が遅れていることを意味します。

その場合、インスリンの種類をより「短時間型」に変更することが一つの対策です。

また、食事を1日2回から3~4回に分けることで、低血糖が改善されるケースもあります。

インスリンに合わせた食事について

繰り返しになりますが、犬の糖尿病では「インスリン」と「食事」を連動して考えることが大切です。そして、「どのような食事を」「どれくらいの量」与えるかを検討しなければなりません。

インスリンに合わせた食事の選択

犬の糖尿病対応の療法食などを与えることが理想ですが、食べようとしないワンちゃんもいます。食事をとってくれないことには、インスリンを投与することもできず、体力が落ちる一方です。そのため、糖尿病用のドッグフードを食べないワンちゃんには、食べてくれる食事を与えることになります。

(※糖尿病対応のドッグフードなどについては、次のページでご案内しています。→犬の糖尿病 治療と食事

目標体重の計算

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ドッグフード・食事の選択とともに、ワンちゃんにとって理想的な「目標体重」を決めましょう。肥満度の指標「ボディコンディションスコア(BCS)」の測定値などを参考にしながら、「目標体重」を算出します。

フード量の決定

与えるドッグフード・食事を選び、目標体重を設定すれば、フード・食事の量を決めます。

ドッグフード・食事のエネルギー量(カロリー)から、目標体重に合った量を算出し、規則正しく与えるようにしましょう。

与えるドッグフード・食事の種類と量が決まることにより、インスリンの種類と量も正しく設定することができます。

犬の糖尿病に対応した食事療法療法食(ドッグフード)、「犬心 糖&脂コントロール」をお勧めします。

「犬の糖尿病」に対応、ナチュラル療法食(ドッグフード)

まとめ

  • 犬の糖尿病では、食事に合わせて、インスリンの種類・投与量・投与タイミング・投与部位を検討することが大切。
  • インスリン投与により、食後8時間以降に高血糖がみられるワンちゃんの場合、食後4時間以内に低血糖があるかどうかで対策が異なる。
  • インスリン投与により、食後8時間以降に低血糖がみられるワンちゃんは、製剤やドッグフードの変更を検討する。
  • インスリンに合わせた食事は、ドッグフード・食事内容の決定→目標体重の設定→食事量の決定、というプロセスを踏んで決める。

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